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音楽が気持ちを落ち着かせてくれることを伝えるのも音楽教室の任務やと思う。

新学期が始まっても、いつもと変わりない子もいれば、
明らかに、いつもの感じじゃなく
ハイテンションだったり、あくびが止まらなかったり
する子もいます。

今日来た女の子は、
音楽室に入った時から落ち着かず、
弾き始めたピアノも
ガッツンガッツンと
そりゃ工事現場の音ですかい?
と言いたくなるような音。

もっと優しく弾きなさいとか、
指をこんなふうに腕をこんなふうに、体をこんなふうに、
なんて、もしもそんな「指導」をしたって
きっと馬耳東風なので、
しばらく様子見。
そもそも問題はそういうことじゃあない。

ガッツンガッツンは
どんどん加速していって、
あっちこっちで脱輪しては
さらに女の子はストレスを溜め込んで、
怒りのため息。

「あのさ、ピアノじゃないことしよか」
というと、
「ボールがしたい」と、小さな声で。

子供用の弾む小さなゴムボールで
数歌に合わせて、マリつきをする、
うち独特の遊び方で、
一個つき、2個つき、3個つき、
と少しづつグレードが上がっていくのですが、
楽しそうにしながら、集中ができてきた様子。
体もほぐれてきました。

じゃ、ピアノ弾こか、

曲はさっきも弾いていてたオルガンピアノの本の
「つきのひかり」という曲。
静かな海辺の様子、
左手の波の音。
(さっきまでは工事現場だったが・・・)

ちゃんと音名も追っかけて、
テンポもうんと落として、
声に出して歌ってみる。
この曲のこと、わかってきてから
ピアノに向かう。

帰る頃には
表情も和らいで、帰りがけに手を振ってくれました。

音楽教室がピアノの弾き方だけを教えるものだとしたら、
私はつまらんな。

この女の子との、こんなやりとりが好きだ。
学校での緊張がピアノでほぐれたらいいね。


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愛媛の片田舎でがんばってます。いつかまた、東京やどこかの街でワークショップできる日のために、とっておきます。その日が楽しみです!