コンコン

強く叩きすぎないように注意してノックした。

この楽屋は何度訪ねても緊張しちゃう。

20センチほどドアを開いて声をかけた。

「失礼します」

「おう、柏木か。今日はお疲れさま」

気づいてくれたので、中に入ってから改めて挨拶した。

「タモリさん。本当にお世話になりました」

「よかったよ。今日のステージ。で、卒業はいつなの」

「はい、4月30日にAKB48劇場で卒業公演をやらせてもらいます」

「ああそう。ソロになってもまた来てよ」

「ありがとうござます。また出していただけるよう頑張ります」

「今から、皆で打ち上げ？」

「いえ、今日はちょっとほかの約束があるんで…」

「おおそうか」

「じゃあ、失礼します。本当にありがとうございました」

タモリさんの楽屋を出ると、いつものお店に向かった。先輩との会食は久しぶりだ。