スタニスラフスキーが良く使う表現についてのメモ1(однажды и навсегда)

однажды и навсегда
スタニスラフスキーはこの表現をよく使う。専門用語というわけではなく一般の生活でも使われる表現だ
однажды は一度、一回という意味で
навсегда は永遠、永久にという意味だ。
たまに、однажды の代わりに раз という1回を意味する別な単語を使うこともあるが、意味したいことは一緒だ。

直訳してしまえば、『一度そして永遠に』ということになるのだが、これだけではよく意味が分からない。

これは、一度取り決めた演技を、永遠に繰り返して同じように繰り返すことをスタニスラフスキーが否定的に表現している場面でよく使われる。つまり、「一度目が永遠に繰り返されていく」ということに対してスタニスラフスキーはこの表現を用いている。

彼が理想とする演技は舞台上で毎回感動を伴った演技をすることであり、一度作り上げた演技の形(身振りや発声など)を何も考えず感じずに繰り返すことは芸術にはふさわしくないと考えているためだ。

今のところ私は『一度ならず永遠に』という訳をあてている。

しかし、一方でこうあるべきだという主張の中でも同じ表現が使われており、その場合は「一回だけでなく常に」そうしなさいという意味で使われている。スタニスラフスキー自身はそれほど言葉の使い方に頓着していないタイプなので、翻訳者はその辺を同じ単語であっても訳し分けないといけないのがややこしい。

統一すべき訳語もあれば、柔軟に訳すべき用語もある。

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