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皆さんは「東大の1年生の授業」と聞いて、どんなイメージを持ちますか?
ギリシア文字にまみれた数学の授業、難解すぎる哲学の授業、最先端の器具を使った実験の授業……etc. 色々なイメージがあると思います。
では実際に東大にはいるとまずどんな授業を受けることになるのでしょうか。一日何時間授業があるのでしょうか。文系でも小難しい数学をやることになるのでしょうか。
この記事ではこういった疑問にお答えするべく、私たち文一・二17組、文三12組の学生の時間割を紹介したいと思います。


1.はじめに~授業の種類と履修について~

東大の1,2年は、教養学部前期課程と呼ばれ、駒場キャンパスで授業を受けます。いわゆるリベラル・アーツ教育に力を入れる駒場では、次のような授業の種類があります。
大きく分けて基礎科目と総合科目の二つがあります(実際は主題科目、展開科目もありますがここでは割愛します)。

(1)基礎科目
  ①外国語 ②情報 ③身体運動・健康科学実習
   ④初年次ゼミナール ⑤社会科学/人文科学/自然科学

基礎科目では、3年生以降、専門分野を定めて学問をするために必要な基礎技能を身に着けることが求められています。聞きなれない名前の④初年次ゼミナールとは、1年生の1学期(Sセメスター)に開講される少人数のゼミで、文献検索や発表のやり方などのアカデミックスキルを学ぶための授業となっています。ちなみに仰々しい名前をしている③身体運動・健康科学実習というのは、要は体育です。バスケやバドミントンからフィットネスという筋トレの授業まで、様々な種目が開講されています。

(2)総合科目
  L系列,A~F系列

総合科目は、個別の学問分野(例えば「進化学」とか「ジェンダー論」など)について、その入門編的な講義を提供する授業です。多様な学問分野の入口を見ることで、後期課程での進路をより深く考えることができます。系列のアルファベットは、Lは言語系、A~FはAに近いほど文系的(人文科学寄り)、Fに近いほど理系的(自然科学寄り)という組み分けになっています。

東大の1年生では、このうち基礎科目の①~④が必修、⑤が準必修となっており、また総合科目から決められた数の授業を受けて単位を得ることが必要とされています。また科類ごとにも細かな要求項目があり、例えば文科一類では、⑤社会科学のうち「政治Ⅰ/Ⅱ」と「法Ⅰ/Ⅱ」を両分野にわたって計2科目とる必要があります。(履修についての詳しい説明は、シラバスをご覧ください。)


2.東大新入生の一週間を覗いてみよう!~時間割紹介~

続いて、実際に私たちのクラスの学生の時間割をいくつか見ていきましょう。
ちなみに1限は朝8:30から(早い!!)、各90分授業で、最後の5限が終わるのは18:35となります(遅い!!)。

それではまずは文科一類の2名の時間割です。

文一1人目の時間割がこちら!

時間割①

〇コンセプト:簡単さより興味を優先&1限回避

〇一番面白い授業:英語中級(古田先生)
 ハンナ=アーレントの<陳腐な悪>という概念を中心に、TEDを見たり文章を読んだりして「個々人がいかに悪に陥らないか」を考える英語の授業。自分を見つめなおす機会になり有意義に感じた。英語学習という面でもためになる。

〇とって後悔した授業:数理科学概論
 授業内容は高校数学の発展で面白い。が……教授が雑談もなくひたすら板書をし続ける授業形式が苦痛……。一時間半黒板にしゃべりかけ続けられる教授を、逆に尊敬する。

文一生からもう1人!

時間割②

〇コンセプト:文系科目+生物ちょっと

〇一番面白い授業:初ゼミ(坂井先生)
 歴史社会学における重要文献について学び、各自発表をし、そこから学術的に意義のある問いを探し出すゼミ形式の授業。歴史社会学の方法論について学べると同時に、基本的なアカデミックスキルを身に着けられる貴重な機会である。

〇とって後悔した授業:情報
 必修なのでどうしようもないですが……。つまらな……いや、絶対値つけたら面白いかな!

以上、文一生でした。準必修の法Ⅰ・政治Ⅰはほとんどの人が受講しています。そこに毎日中国語の授業があるので、個性が出るのは総合科目の選択といえそうです。

続いて文二生から2名紹介します。1人目はこちら!

時間割③

〇コンセプト:一限回避して面白そうなのをとる!

〇一番面白い授業:英語中級(ミルズアンソニー先生)
 今のところ課題もなく、授業中にやるクロスワードが楽しい。ディスカッションがメインだが、純ジャパでも楽しんで会話ができる良い授業。

〇とって後悔した授業:計算機プログラミング
 Python初心者でも大丈夫、というガイダンスだったが、実際授業に行ってみると上級者ばっかり。友人も二人撤退してしまった……。

2人目の時間割も見てみましょう。

時間割④

〇コンセプト:やる気がある1Sのうちに頑張る!

〇一番面白い授業:ジェンダー論(瀬地山先生)
 内容も納得できるし、なにより先生が面白い!

〇とって後悔した授業:経済Ⅰ
 後悔というか、経済学部に進みたいのでとらざるを得ないが、やっぱり難しい(涙)

以上、文二でした。
経済学部への進学が多い文二では経済や数学をとっている人が多い印象です。また瀬地山先生のジェンダー論は大人気の名物講義で、教室の席の確保が大変だそうです。

最後に文三生を2名見て終わりましょう。まずは1人目!

時間割⑤revised

〇コンセプト:興味のある総合科目をとりつつ、必要単位をとる

〇一番面白い授業:社会システム工学基礎
 東京のインフラにまつわる色々な話を、歴史などの様々な切り口で聞けるから。

〇とって後悔した授業:古典ギリシア語
 文法をこれまできちんと学習したことがないのでキツイ。

続いて2人目。

時間割⑥

〇コンセプト:バランスよく履修する!

〇一番面白い授業:日本文化論Ⅰ
 芥川賞を受賞した作品や選評を実際に読みながら、その背後にある「日本文学」の構造を批判的に検討することができ、面白い。

〇とって後悔した授業:情報
 必修だからとらざるを得ないけど、授業内容に興味が持てないのに毎回小テストがあるのがつらい。

以上文三生でした。文学部と教育学部への進学の多い文三ですが、幅広い興味を持った学生が多いように感じます。上にあげた2人の例でも、ギリシア語や日本文化論など、面白そうな授業が見られます。ちなみに時間割中のALESAは、Active Learning of English for Students of the Arts の略で、英語で講義を聞いて英語で小論文を書くという授業です。理系ではALESS(ALE Students of the Sciences) となるこの授業は、1年の鬼門の一つとして恐れられています。

3.まとめ

これまで、文科各類から2名ずつ、計6名の時間割を見てきました。いかがだったでしょうか。東大の新入生の授業の様子が少しでも伝わっていれば幸いです。
本企画では、クラス内でのアンケート調査や、中国語の先生方へのインタビュー記事なども公開しています。ぜひご覧ください。
最後までお読みいただきありがとうございました。谢谢!
(担当:Y.U.)


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