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(感想 tacicaのみ)THE SUN ALSO RISES vol.206 tacica/paionia


はじめに

 F.A.D YOKOHAMAの対バン企画。tacicaとしては2度目。猪狩さん個人としてはもう幾度となく出演している。要するに定番といっても差し支えないツーマンイベント。tacicaとしては昨年のhump backとの対バン以来のおよそ1年ぶりとなる今回のイベント。猪狩さんの弾き語りで以前ボーカルの方と共演されていたpaioniaとの初対バン。
paioniaが先行。tacicaは後行。20時50分頃スタート。
余談だが、開場10分ほど前に外で中畑さんがタバコを吸っていたのには驚かされた。


感想①

先行paioniaの片付けをしつつ、tacicaのセッティング。これから始まるんだな感がより一層高まり、ワクワクが止まらない。もちろんpaioniaも最高だったのだが。

ギターの音が轟き始まったのはHERO。彼等の代表曲といっても過言ではない。しかし、聴くのは恐らく昨年のsingularityツアー振り。12月のメリロ、5月のhoshiotoフェスでも演奏しているが、そちらには参加できていなかった。

「tacicaです。よろしくお願いします」
挨拶もそこそこに次の曲へ。久しぶりな気がする鼈甲の手。イントロのドラムからボルテージが上がりまくる。余韻に浸る間もなく、金糸雀へ。ソコハカツアーで初披露された曲なのにもう何年も前からあるかのようにばっちりとハマる。

感想② 蚊を連れてくる小西さん

猪「楽屋に蚊がいて、もう大変です。交互に刺されました」腕を掻きながら2人を見る。中畑さんはきょとんとした顔を浮かべる。
猪「刺されてないですか?」
中「うん。小西くんは?」
猪「小西は刺されないです」何故か猪狩さんが即答。
小「いや、刺されたし、連れてきたの俺かもしれない」
猪「えっ、ちょっと待って。それ確認せずに話して大丈夫なやつ?」
小西さんがうん大丈夫と答えつつ、「裏口からコンビニに行ったんだけど、ちょうど外に蚊が大量発生してたからその時に連れてきたかも」

猪「……ちょっと変わった日だけどordinary dayという曲を」

とmc明けからはordinary day(何でもない日)という曲を演奏。いつかのmcで年々染み渡る曲というような発言をしていたような気がするけどまさに。そして、アコギのまま重傷と〜力強い声から始まるハイライト。ここ最近わりとこの2曲はセットで演奏されている気がする。

感想③まさかの曲披露

猪「楽屋で話してたんだけどpaioniaのベースの菅野くんと俺って似てる?」
小「うん。似てるかな」
髪型と髭の感じは似てるような気もした。
猪「何かステージの下手が上手に移ったみたいな」

曲やりますといつもの宣言からBROWNのイントロが会場に響き渡る。先日急遽ライブ音源の配信がなされていた。その時ともまた違う3人の音。ハイライトの歌詞にもあるが、同じ音色の日は二度とは来ないのだろう。
中畑さんのドラムが格好良く決まった所で少しの静寂。珍しくベースを持ち替える小西さん。これはもしやと思いつつ強烈なベースと、種も仕掛けも〜と歌い出されて衝撃を受けた。

まさかまさかのアロン。

前回varrentiaと対バンをしたときにも演奏されていたので、今回もやるんじゃないかとなんとなく密かに期待していたのだが、まさか本当にやるとは。2番の期待のしがいもない〜の部分は猪狩さんと小西さんのツインボーカルのように感じられた。と共にそれを引き立てる中畑さんのドラムテクニック。アロンはaloneからきていると前に語られていたので、その名の通り個々人が孤独に演奏してるのが相まって不思議と1つの音楽になっているような。もう何を言っているのか分からなくなるほど格好良い。色々と緩和されていたために歓声もここでは一際起こっていた。
余韻に浸らせてくれる時間もないほどにギターの心地よいリズムが続きLEOへ。夜という歌詞が出てくるからかあのmvからかこの曲は照明に目を奪われる気がする。

感想④好きなことの共有

猪「去年Vo.の高橋くんと弾き語りで共演して、その前からpaioniaはずっと好きだったから、いつかバンドで共演できたらいいなと話してたら割とすぐに今回のこのイベントが決まった。
自分の好きなバンドがみんなに知ってもらえるのって嬉しいんだなって思った。俺ら目当てで来た人もpaionia聴いてください」

好きなものやことを知ってもらう、共有することって幸せなんだよなと改めて思わされた。だからこそSNSが流行るんだろうなと。

「最後に1曲やります。今日はどうもありがとうございました」

定番の人鳥哀歌。前半のpaioniaに負けず劣らずの暴れっぷり。間奏中に起こる観客の手拍子も心地が良い。隣同士との距離感も緩和され、ライブハウスが臨場感を体感できるあの頃に戻ってきた気がした。

感想⑤2023まだまだ走り続けるtacica

時間が押していたからなのかアンコールはすぐ登場。

猪「あさってにもイベントがあって……」
中畑さんが後ろで首を横に振る。
中「しあさってだよ」
猪「あっ……」と中畑さんの方を向いて苦笑い。
猪「"しあさって"にもイベントがあって」と何事もなかったかのようにしれっと言い直す。
「8月にも、柄にもなくFCサイトをもうかれこれ3年やってて。鹿の仔っていうんだけど。そのオフ会をやります!その他にも今年はまだバンバンやっていくのでよろしく」と嬉しい宣言が飛び出す。tacicaのライブは次回予告が必ずある。これほど嬉しい知らせはない。  

猪「paioniaをヘビロテしてる時期に駅のホームで偶然高橋くんを見かけた。まだ面識のないときだったけど。だからなんか縁があるなと。またpaioniaと出来るようにがんばります」

高橋さんはmcで「浪人時代に地元のタワレコの視聴機でひたすらtacicaを聴いていた時があった。まさかこういう機会があるとは」とお互い認め合っているのが感じられた。


じゃあ最後に、とアースコードを演奏。
締めの曲に相応しい曲でありつつも力強さが溢れている。まだまだ終わりじゃないぞと思わされた。
ありがとうございましたと各々お辞儀をして退場。終わってみれば22時前。およそ1時間ほどのライブだが、なかなかに濃厚な内容だった。

セットリスト

  1. HERO (Human Orchestra)

  2. 鼈甲の手(jacaranda)

  3. 金糸雀(Sg)

  4. ordinary day (panta rhei)

  5. ハイライト(sheeptown ALASCA)

  6. BROWN(singularity)

  7. アロン(singularity)

  8. LEO (LOCUS)

  9. 人鳥哀歌(jacaranda)

  10. en.アースコード(parallel park)

()内はアルバム名。Sgはシングル。
先週のビルボードライブとセトリが全く被っていない。定番曲もありつつ久しぶりな曲もお目見えして、対バンながらもtacicaらしいライブになったのかなと思う。以前の対バンではワンマンのつもりでやります。とおっしゃっていて(後日反省していたのだが)今回もそんな意気込みを感じた。

 
おわりに

先週ぶりのライブ、先週ぶりの横浜。森田さんがいらっしゃらないとはいえ、全く別のバンドかと思うようなロックバンドだった。前半のpaioniaは初見ではあったけれど、Gt.Vo.の高橋さんの熱い演奏が目に焼きついた。mcも少なめで曲間ほぼなしで繋いでいく、その畳み掛けるような演奏に圧倒された。tacicaは、というか猪狩さんは曲の合間に飲み物を口にするが、高橋さんは口にせず、汗も滴るなかの演奏で逆に心配になるほどだった。
tacicaはというといつも通りに曲の繋ぎにもmcを挟んだりすることもなく、ただ懸命に曲を演奏する。それでもいつもよりかは力が入ってるような気がした。観客を煽ったり、手拍子を求めたりすることはないが観客を盛り上げる。盛り上がる。これぞtacicaだと思わせるライブだった。

今年3度目のfadで、雨男の私にしては珍しく雨の降らない、しかも七夕で最高の夜だったなと1人噛みしながら会場を後にした。

虹になって いつかきっと 讃え合いたい

アロン


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