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沙々杯 勝手にうつスピ賞 5句

こんにちは。

うつスピ賞の記事、続きます。

実は前回の記事は、今回の沙々杯のキャッチフレーズ、
「やさしさの風になろう」を踏まえて、優しい句、
「優しさの風うつスピ賞」の10句でした。


うつスピの感性で、「気にいった俳句」という観点のみで上位5句を選んだらどうなるかやってみました。
という記事です。


1句目

重力の精魂果てて軒氷柱

まず、「重力の精魂果てて」というフレーズに惹き付けられるものがありますよね。重力は常にあるもので、精魂果てるものでもないものに思います。

下五。軒氷柱。屋根の端の部分に、氷柱が出来ている情景であることの説明です。
重力の方が勝てば、氷柱は下に落ちる。今現在目の前にある軒先の氷柱は、
「重力の(が)精魂果てて」諦めた結果、残っているんだという句として鑑賞しました。このフレーズを見つけてきた作者の発見力、そしてそれを納得させる季語の選定。この捉え方が素晴らしいと思い選びました。


二句目

主を亡くしマフラー長く解けたまま

ご主人が亡くなったマフラーが部屋にあるのでしょうね。「長く」「解けたまま」長さが見える形で飾っているのでしょう。
この、「解けたまま」という単語に惹かれました。
マフラーは使われてその機能を果たすでしょう。
しかし、「長い」存在感、「解けたまま」のマフラーの「機能を果たしていない情景」を描くことで、よりマフラーの存在感、季節感が際立っているのではないでしょうか。
また、解けたままという単語の選定に、家族の(わだかまりが)解けるなどと単語もあるなかで、亡くした方への何とも言えない感情がまだ残っていることも描いているのではないかと感じました。
私も、鑑賞したときの感情がいまだに残ったままいます。


三句目

鍋焼の蓋より軽き余命かな

軽やかに命を詠んで、読者に重い感情を残す句だと思いました。
「鍋焼の蓋より軽き」と来て、読者は「箸など本当に軽いもの」を無意識に思い浮かべると思います。下五の余命かな。「余命」への詠嘆。
作者は死を身近なものと捉えているのだと思います。
鍋焼の蓋を持つという動作の中にも死があって、それよりも余命が軽いなんて。
日常と死の対比。涙が止まりません。
お年を召された方の人生への悟りを開いたかのような句に感じました。
作者を見てみると、菊池洋勝さん。
前回大会の句も私は上位5句に選びました。
(曼殊沙華ブレーキ踏んだあとが無い)
句歴と、人生への向き合い方から生まれた名句ですね。
「軽き余命かな」この表現は絶対自分には出来ない。この人生と向き合った俳句は自分には詠めない。と思ったのも評価を高くした理由です。


四句目

明くる日もギリギリ生きて雪達磨

「明くる日も」少しかしこまった言い方をしていますね。
「ギリギリ生きて」コロナ禍の句でしょうか。
私もいろいろとギリギリで生きてきました。
コロナ禍で、苦しい人もたくさんいると思います。
去年の紅白では、KAT-TUNが「ギリギリでいつも生きていたいから」なんて歌っていましたね。
2022年、明日がどうなるか分からず、ギリギリで生きている人も多いでしょう。
下五。雪達磨(ゆきだるま)。
俳句としての種明かしがあって、ホッとしたような、変な感情になりました。
「明くる日も」という大げさな言い方をしてるのも効いていると思います。
(明日まで)等だと下五の雪達磨の効果が減るかなと思いました。

みなさんは下五で種明かしをした句、という評価に留まるでしょうか。
私は時代の中で、「雪達磨」が自分達を暗喩しているような気持ちにもなりました。
もちろん景色としては、次の日に少しとけそうになっている雪だるまを想像する俳句だと思います。
私の中では時代とリンクした句として鑑賞しました。



五句目

ひこにゃんの角を残して埋める雪

よく情景が浮かびますよね。
ゆるキャラを俳句に描くには、世間に認知されているのは10種類ぐらいではないかと思っています。
(ひこにゃんのことは知っていましたか?知らなくても、検索してキャラが出てきますね)
私の鑑賞としては、雪だるまでひこにゃんを作った。
その夜ひこにゃんの体まで埋まる雪が降って、次の日庭にはひこにゃんの角だけが出ている。という景で鑑賞しました。
銅像のひこにゃんの角という鑑賞もあるかと思いますが、雪だるま説を推します。
埋める雪。「埋める」でいいのか。最初は思いました。5文字の雪の季語も探せばあるのではないかと。
ただここで、「埋める」ということに、作者の感情が乗っかっているのだと思います。埋めてしまったことに雪へ恨めしい気持ちが乗っかっているのではないでしょうか。
ドラえもんやピカチュウじゃなくひこにゃんを選んだこと。
ひこにゃんのフォルム、ひこにゃんへの愛着。
角だけ出ているという風景を想像したときの、おかしみ。
雪が埋めてしまったんだという雪への何だよ埋めたのかよ、という感情。
俳句をやっているやっていないにかかわらず鑑賞が出来る素敵な句ではないでしょうか。



ということで、うつスピ賞、上位5句を見てきました。
下に行くほど上位でした。
おめでとうございます!

上手い俳句で言うと、あの句とかこの句とかありましたが、
みんなの俳句大会、うつスピ賞なのでよろしくお願いします。

さて、果たして何句本選に残るでしょうか。
これからも大会を楽しんでいきましょう!

書き忘れていました!みんなガンガン私設賞作っていきましょうね!

愛を込めて。

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