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トラウマ治療のゴールについて、主治医に聞いてみた

春休みです。ばんざい。成績も出ました。意外と、なかなかに良い成績が返ってきました。2重にばんざい。

それはそうとして、体調も心調も、ここ最近、最悪だ。吐き気がして、常に眠い。何かをする気力が起こらないので、布団に潜って丸まって寝てしまう。そうかと思えば夜は眠れず、中途覚醒して焦燥感でうめく地獄を味わった。

主治医にそれを話すと、もはや「テスト後の疲れ」とは判断できないと考えたのか、薬が1つ増えた。抗うつ薬。ジェネリックじゃないので、高い。何気に困る、かもしれない。もう直ぐジェネリックになるらしいので、それを心待ちにしていよう。

ところで、主治医に聞きたいことがあった。ちょうどカウンセリングを再開したところだったのだ。

「ね、先生。カウンセリングでトラウマについて扱っていい?心理士さんには〇〇先生(主治医)に聞いてみてほしいって言われたんです」

「う、うーーーーーん…」

先生はしばらく考え込んでしまった。そして話し出した。

「人によっては、トラウマ治療をしている間は入院が必要になることもあるんだよ。さっき、小さい頃のことを想起してしまう、って言ってたけど、治療を始めたらそれが四六時中起こる可能性もある」

「うん、そんな感じします」

「だから、学期中はお勧めしない。だからチャンスがあるとすれば、2月の終わりから3月にかけてなんだろうけど、そんなに短い時間では….」

「解決するはずがないですよね…」

「うん、そうなんだよ。僕は、空木さんがどう思っているのかを知りたいよ。トラウマについて、扱いたいのかな?」

私はちょっと答えに窮してしまった。

「扱いたいかどうかって言うと、自分の気持ちはよくわからない…。でも、扱わないとまずいんじゃないかって思ってます」

先生が言葉を返す。

「そうか…。僕は、空木さんがカウンセリングの中で『話したいな』と思ったタイミングで、ポロッと口から溢れるような、そんな感じがいいと思ってるんだよね。多分、毎回トラウマについて扱う覚悟で通うのは、相当しんどいだろうから」

「…うん」

「あのね、空木さん」

「はい?」

「トラウマの治療って、空木さんの子ども時代…辛かった出来事が起こっていた時間と同じぐらいの時間をかけて回復していくと考えられているんだよ。何年も安全な場所にいて、ようやく『あぁ、もう自分は大丈夫だ』って思えるようになるような。…だから、気長にね。」

「… 長いって、先生…」

ちょっと泣きそうになるのを堪えて、私はそんな一言しか返せなかった。

先生の言っていることはもっともで、焦って良い結果を得ることなどなかなかないことを、私は経験で知っている。主治医は私に何度も「気長にね」と言ってくれて、焦る私を落ち着かせてくれる。

でも、その期間の長さには、立ちすくんでしまう。だって、私が18の時から治療に乗り出したとして、じゃあ、私が楽になれるのは、36歳?

そんな簡単にはいかないだろう。私がこれから進む道に、障害物がないわけがない。きっと、いっぱい傷つく。その度に「今つけられた傷」の修復をするしかないから「昔できた傷」の修復は後回しになる。何度も経験してきたことだ。

私は、いつになったら楽になれるんだろう。

私は、いつまで、何と、闘えばいいのだろう。

これは、何の罰なんだろう。

長いなあ…。とはいえ、その長さに絶望するような心はもう持っておらず、どうにかして生き延びたいとは思えるぐらいのメンタルにはなっているんだけれども。それにしても、気が遠くなるぐらい長い。


誰かが言った。「傷は一生消えない」のだと。一生付き合っていくものなのだと。

きっとその通りだ。傷を背負って歩く覚悟を持たなければならないのだ。きっと。

だけど、これは一体、何の罰なんだろう。


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