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東京の休日(映画を見る)

①「百姓の百の声」(柴田昌平監督)
東京神田の「農業書センター」で「百姓の百の声」と言うドキュメンタリー映画が、西武池袋線江古田の古藤画廊で、最後の上映会があることを知り観に行った。ストーリーは、日本全国で農業の新しい取り組みをしているドキュメンタリーである。昔からの代々引き継がれた手法による農業から脱皮し、工夫をこらした取り組みが素晴らしい。これを観て自分ももっと農業の勉強をしなければいけないと、考えさせられた。新しい発想の農業が始まっているという実感を得たドキュメンタリー映画であった。


②「サステナ・ファーム」(川上敬二郎監督)
これからの農業を考える上で押さえておきたい問題点を見つけるため、TBS DOCSの「サステナ・ファーム」ドキュメンタリーを観ることにした。
ヒューマントラストシネマ渋谷にて「TBSドキュメンタリー映画祭2023」で放映された。テーマは、農薬の実態である。
殺虫剤「ネオニコチノイド系農薬」は、害虫だけでなくミツバチやトンボにも悪影響が及んでいる。そう言えば昔たくさん飛んでいた赤トンボが、最近あまり見なくなったように思う。この農薬は、人への懸念も浮上している。
また、化学肥料も問題が含まれており有機農業の大切さをしみじみと悟った。
文藝春秋4月号も「日本の食が危ない!」という特集記事を載せている。大変有益なアプローチだと思う。
参議院議員の川田龍平氏の妻でもある堤 未果さんの著書「日本が売られる」で取り上げられている「ミツバチの命が売られる」の項の実態がこのドキュメンタリーで身に染みた。

③「荒野に希望の灯をともす」(谷津賢二監督)

江古田の古藤画廊で中村哲さんに関わる映画を3本観た。
「荒野に希望の灯をともす」「仕事・働くということ」「アフガニスタン用水路が運ぶ恵みと平和」
中村 哲さんのこと。
1984年パキスタン、ペシャワールの病院に医師として着任から2019年12月4日凶弾に倒れるまで、実に35年の間「持たざる民」へ寄り添い続けた生涯であった。医者を150人送っても病人は減らない!何故か、根本的な原因は貧困。
その貧困の原因が干ばつによって食糧の生産が出来ない。
100ヶ所診療所を建てるより1本の用水路だ!食べ物が足りない、腹を満たそうと水を飲む、その水が不衛生な水で赤痢になり脱水し死んでいく。水をなんとかしなければ。この信念のもと2000年に井戸事業を開始する。2002年「緑の大地計画」を発表。医者には無理とされた川から水を引き込む大土木工事を自ら先頭に立って大工事をやり遂げる。(クナール川からガンベリー砂漠まで総延長25Kmを超える)現在、その干ばつの地には水が引かれ緑の大地に変わり、農作物が稔り65万人という人が食べていけるようになったのである。

中村哲さん亡き後もこの事業は、中村さんの意思を引き継ぎ現地スタッフ、教え子などが建設をおこなっている。2022年現地の人々の手による新しい堰が完工した。
凶弾に倒れた中村さん、その棺をアフガニスタン大統領が自ら先頭にたち担ぐ姿をテレビで見て、いかに中村さんが尊敬されていた人であったと感じたことを思い出した。それにしてもである、その棺が日本に着いた時 テレビの画面から総理大臣はおろか、政府の高官がだれひとり出迎えているようには見えなかった。何故なんだ!悲しく思ったのを昨日のことのように思い出した。アフガニスタンでは、2018年に中村哲さんの功績に対し「国家勲章」を授与している。
私は思う。日本はこのような人にこそ「国民栄誉賞」を贈られて然るべきではないかと考えるのは、私1人だけだろうか
この映画を見て、改めて後援団体の「ペシャワール会」を見守っていきたいと強く感じた次第だ。

④人生フルーツ(伏原健之監督)

津端修一さん90歳、英子さん87歳風と雑木林と建築家夫婦の物語。
かって日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきた。1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。しかし、時代はそれを許さなかった。東京オリンピック(64年)GDP世界第2位(68年)などに象徴される高度経済成長期。結局、完成したニュータウンは理想とは程遠い無機質な大規模団地だった。修一さんは、それまでの仕事から次第に距離を置くようになる。1975年自ら手掛けたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てはじめた。
そこから50年、四季折々、キッチンガーデンで育てられた70種類の野菜と50種類の果実が妻英子さんの手で美味しいご馳走に変わる。「家は、くらしの宝石箱でなければならない」(ル・コルビュジェの言葉)に導かれコツコツゆっくりと築いてきた。この映画を見て我々も後に続こうではないかと思った次第だ。





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