ターゲットを絞ると言う覚悟

ターゲットが絞られた商品を売ることについて、
前職で学んだことがあるのでまとめてみます。

私は広告代理店に務めていましたが、大手や求人広告とは違い、ちょっと特殊な媒体を取り扱ってました。
(特殊なので、有料記事にてご説明します)

私が売っていたのは「自治体」の広告媒体。
市政だよりやガイドブックなどの広告枠を売っていました。入札に参加する形で仕入れて、電話で売り込みます。

私たちが売っているのは、単純に「出来るだけ多くの人に届けるための広告枠」ではなく、
「自治体発行物の広告枠」ということになります。

これ、欲しいと思った人います?

「自治体と繋がれそう」「信頼性アピールに使えそう」と言うメリットを感じて掲載してくれる企業もいますが、正直これが刺さることってなかなかありません。
結局ネガ消しをしているうちに、自治体広告媒体だから、ではなく、「発行部数多いから」「広告掲出のタイミングだったから」などの替えのきく理由での掲載が多かったのではないでしょうか。
なので、あまりリピートはしないですよね。

そもそもの話で、私たちがターゲットとしている層は存在しているのだろうか、と疑うようになっていきました。
「どうしても信頼を得たいので自治体の広告がいい!」と言う企業のニーズを調査していなかったので、売ってるものの尖り具合が無用の長物に見えてくるのです。

その会社は上場したばかりだったので、とにかく売上達成が急務でした。
締切当日に空き枠があれば、例え99%引きでも売らなければなりません。
30万円もする広告枠が埋まらなくて、何度も断られた企業に「5000円でもいいので買って下さい」とお願いをする始末。
まったく広告出すほどの規模ではない個人事業主や、読者層からかけはなれた業種にもお願いし倒していました。

尖ってる商品を売っているプライドはどこへやら。
ヴィトンの販売員が、売上達成に迫られてしまむらのお客さんにしまむらと同じ金額で売ってるようなもの。

自分が売る商品が「尖っている」のであれば、
今すぐ欲しくない層や、ターゲットとしていない層から断られたとしても、「仕方ない」と割り切る覚悟が必要だなと感じます。

ターゲットと言うのは、売り手が勝手に作り上げるのではなく、
仮説を立てて、実際に検証をした上で設定した方がよいのです。

やってる取り組み自体とても有意義な事だったのでがむしゃらに取り組んでましたが、
この事業がベースで、ここをこれからも大事にしていくと社長がおっしゃっていたので、去りました。

いつか「しまむらの客層」から離れられるのを願うばかりです。

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