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偶然の出会いがまさか

この数カ月で馴染みの本屋が2軒も書籍販売をやめ、我が町に本屋が無くなった。どういうわけか、そのことがとても衝撃的で、自分でも驚くほどに打ちのめされている。

近年、書店の減少に歯止めがかからないとは言われてきた。そりゃそうだよね、とは思っていたが、いざ最寄りの本屋が閉店となると、
大袈裟に言うならば一つの文化資本(文化インフラ)が失われ、ますます文化度が低下していくような喪失感、知的文化から取り残されていくこの田舎町の未来を一瞬想像してしまったのかもしれない。

あらゆる面で、田舎暮らしに不便ない世の中になったけど、子どもを持っていよいよ実感した。どうしても都会には叶わないもの、それは大きな博物館、美術館、資料館、大劇場、科学館などが身近にあって身構えずに文化芸術に触れられること。そんな文化的大都市-地方間の差が、たかが本屋の一つでさえ、さらに開く実感が悔しすぎたのかもしれない。

本屋がなくなって寂しいけれど、実際に困るかといえばそうでない時代だ。
欲しい本は買える、欲しい資料は手に入る。
が、知らなかった本との偶然の出会いはない、興味ないジャンルの流行もわからない、賑やかな宣伝文句に鮮やかなポスターが強制的に目に飛び込んでくることもない、ああ、わたしってこんなに本屋が好きだったのか。

ということで、最近某書店で何気なしに見つけた書籍を1冊紹介します。

Book review 5
「近畿地方のある場所について」
背筋
出版社:株式会社KADAKAWA 発行年:2023

とにかく怖すぎるから読まない方がよいです。
読むとただ事ではないことになります。
特に巻末袋とじの資料集は先に見てはいけません。
とりあえず丹後地方ではありませんので詮索しないように。

(こういうのをモキュメンタリーっていうの初めて知りました)

追記:この文章を書くにあたって偶々読んだ論文がとてもわかりやすくて面白かったのでこちらも紹介します。
「ネット時代における書店の役割と経営に関する研究」
a1210444.pdf (kochi-tech.ac.jp)

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