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コミュニティの成熟度が利益につながるって話

今日営業のマネジャーと来期の営業戦略会議をしていたのだけれど、その中で出てきたワードで自分の中にとても腹落ちしたワードがあった。

「コミュニティに必要なプロダクトを供給することでコミュニティの価値創造を加速させる」というワードである。
この言葉が生まれてくるまで実はかなりモヤモヤが続いていたのだけれど(本当に半年くらいモヤモヤしていた)それがクリアになったからとても気持ちが良かったのと、あとはずっと続いていた点が線になったので備忘録として残しておきたいと思った。
それだけではなく、その思考の過程でブランド運営や会社運営や、その他コミュニティの運営においての成功の法則が少しずつ見えた気がしたのでもし参考になればいいなという思いもある。


コミュニティとは

コミュニティとはなんだろう?

Wikipediaによると
コミュニティとは、共通の目的興味地域などによって結びついた人々集まりを指す言葉である。

ということらしい
例えば会社も共通の目的を持ったコミュニティであるし、趣味やファンなどももちろんコミュニティである。
人は図らずとも複数のコミュニティに所属している。
例えば地域、会社、友人、推し活、もしかすると馴染みの飲食店も「ファンコミュニティ」であるかもしれない。

僕たちはファッションを扱う仕事をしているわけだけれど、このファッションというのも「コミュニティ」なのだと思うのだ。
例えばコレクションブランドはもちろん一種のファンコミュニティだし、ブランドに限らず例えばBEAMSが好きとかいうのもコミュニティだろう。

コミュニティの成熟度によって消費金額が変わる

そして無意識に所属しているコミュニティは別として、意識的に所属しているコミュニティではその成熟度によって使用金額が大きく変わっていく。

例えば芸能のファンコミュニティだとわかりやすいけれど、初めはクリアファイルであったりポスターやカレンダー、アクスタなど安価なものを買っていく。
そして「自分がそのコミュニティに居場所がある」とわかるとそのコミュニティの象徴である商品を買うようになっていく。
その次のステップとして面白いのがオフィシャルだけではなく、ファン同士で(同担同士 )などで新たな小さなグループを作ってそこでオリジナルグッズを作ったりし始める。
最初はTシャツを作ってみたりするわけだけど徐々に作るものが高付加価値に変わっていく、ぬいぐるみを作ったり、そのぬいぐるみの洋服を作るようになったり、オリジナル商品を作っていくわけだ。
もちろんオフィシャルの商品は購入している。

こんなふうにファンはそのコミュニティの中でさらに細かなコミュニティを作りより強固なコミュニティに所属する。
それがコミュニティの熟成の一種だと思うのだけれどそうなってくると消費金額が大きくなる。

ファンビジネスだとわかりやすいが、そのほか地域コミュニティやファッションコミュニティでも基本的に同じことが起こっていく。


ファッションブランド立ち上げにおけるコミュニティ

ファッションブランドもコミュニティだと話をした。
もちろんマーケティングを踏みながらコミュニティ形成をせずにブランドを立ち上げていく場合もあるだろう。
しかしここ5-6年の流れを見ていると間違いなくファッションブランドもコミュニティ化している。
今までものがなかった時代においては「どうやって認知するか」が非常に重要であった。
認知さえすれば「必要な人」が買ってくれるから。
これはもう確率論で、投下した広告費よりも購入してくれる確率とお客様単価のバランスが取れれば利益が出るという考え方だった。

しかし、現在はものが溢れて久しくなり認知を拡大するだけではものが売れなくなっている。
これが「フォロワーが多くてもものが売れない」という状態である。

つまりうっすらとした「フォロワー」というコミュニティはあるもののその成熟度が浅くものを購入するまで至っていないのだ。

だからファッションブランドも自分自身のファンなのか、デザインのファンなのか、世界観なのか、なんでもいいのでとにかく成熟度の高いコミュニティを作る必要があるのだ。

もちろん「ファンクラブを作れ」なんて意味ではないがブランドとお客様のコミュニケーションを取れるツールとしてSNSを活用していく必要がある。

僕は年間数百件のブランド立ち上げの相談をお受けしているが、その中でいつも確認するのは「コミュニティを持っているか」もしくは「コミュニティを作ることができるか」である。

コミュニティを定量化して
・会員数
・フォロワー数
・メルマガ登録数
などとしてみることもできるがとにかくこういうコミュニティを自分で作っていくことができるかどうかが必要なのである。


コミュニティの成熟度による「ガチ化」

コミュニティが成熟してくるごとにプロダクトも"ガチ"になっていく。

例えば僕は詳しくないのだけれどサウナが流行っている。
一緒にサウナに行く人たちは最初の方がチーム意識が芽生えてその辺のTシャツプリント屋さんで作ることができるTシャツをお揃いで作ったりする。

同じTシャツを着ながらキャンプイベントなんかやったりしているうちに手拭いを作ったりする。
そのうちにトトノッた体にいいズボンやパンツを作りたいと思うようになる。

これはそのハマった人がそうなっているのもあるけれど、サウナコミュニティが発展することによって発生する「ガチ勢の発生」によるプロダクトの「ガチ化」である。

僕たちはこの「プロダクトのガチ化」にめっちゃ強い。
ヴイツクってサービスで今までに世の中になかった商品を0から作ることができるから。

これは企業においても発生する、
最初はお揃いのTシャツやパーカーを作ろうなんて話になるのだけど、そこからブランディングとして一緒に持つマグカップなどを作るようになる。

そして「ガチ化」が進むとお揃いでジャケットを作ろうって話になったり、パーカーでも唯一無二なものを作ろうとする。
工場なんかではユニフォームがオリジナルになっていくし、飲食店だとお店のファンと一緒にコンセプトTシャツを作ったりするようになる。

これは企業というコミュニティの成熟度が高まり自然発生的に「ガチ化」しているのだ。

コミュニティのガチ化のためのプロダクト

そしてコミュニティの成熟に「そのコミュニティにしかないプロダクト」は非常にいいカンフル剤になるし、またそれを測るメジャーにもなる。

広く浅いコミュニティ時点ではまず安くて一般的なプロダクトを作ることで「自分がそのコミュニティにいるのだ」ということを認識してもらう。
これが企業やイベントのTシャツだったりパーカーだったりする。

次にコミュニティの中でもある一定の人たちしか持つことができない中価格帯の商品によってロイヤリティを上げていく。
イベントでいうと「一般的なTシャツ」ではなく運営だけが着ることができる特別な色や刺繍が入ったTシャツや、オリジナルのシャツなどである。

そこからさらに成熟するコミュニティには完全にオリジナルのプロダクトを作っていく。
企業であれば揃いのスーツかもしれないし、ファンコミュニティではそのタレントさんが作ったオリジナル商品かもしれない。

この最終段階である「オリジナルを作る」までできるようになるとめちゃくちゃ強くて正直何を売っても売れるし何をやっても一定の成功ができるようになると思う。
本を書いても読んでもらえるし、グッズを作っても、ある程度の価格のオリジナルグッズを作っても問題ない。
そのコミュニティがファンに受け入れられている証拠だと思う。


浅いコミュニティに対する危機感

ここまでコミュニティの重要性や成熟度について書かせてもらったのだけど、逆に「浅いコミュニティ」に対して僕はめちゃくちゃ危機感を持っている。

昔ある芸能関係の方にこんなことを言われた
「僕はYouTubeでとんでもない再生数を出している○○というアーティストはこのままでは売れないと思うんですよね」
なぜですか?と聞いてみると
「コミュニティがまだ浅いんです、例えば昔の浜崎あゆみさんのファンは今でもファンなんですよね、その後ファンが結婚して子供ができて、イベントに子供を連れて行ったりして、コミュニティの成熟度がすごいからライブは埋まるし何をやっても売れる、だけどタダでyoutubeを見ている人がわざわざ休みを取ってチケット買って有料でライブに行くかというとそうじゃないんですよね」


もちろんこれはその後コミュニティの深まりによって変わっていくだろう。
しかしながら、確かにyoutubeで認知しているだけのアーティストのライブはもしかしたらいくかもしれないが、そこでライブグッズを買って、ファン同士で「あそこが良かったよね」と話をしたり、ファン同士でオリジナルグッズを作ったり、そんなふうなコミュニティを作っているかというとそうではない。

だから認知が広いに越したことはないが、それだけでは安心してはいけないと思うのだ。

理想的なのは「YAZAWA」コミュニティだったりするんだろうな。なんて

だからブランドを始める人は結構口を揃えて「認知を拡大」なんていうのだけれど、それよりも深いコミュニティをどうやって作っていくかを考える必要があると思うのだ。
そして僕たちのものづくりはそんな「ガチ化」を加速させるものづくりなのだ。
そう気づいた時にすごくワクワクしたし、皆さんのコミュニティの「ガチ化」をぜひお手伝いさせてほしいです。
っていうお願いでした。

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