メタルギアソリッド かなり正直な感想
『待たせたな』
皆さま、ご機嫌よう。
前回、メタルギアソリッドシリーズについてご紹介する記事を作成しました。
今回はネタバレ全開で、このシリーズについて思うことをかなり正直に話していきたいと思います。
※プレイしていない方はかなり閲覧注意です
メタルギアの思い出
まずは個人的な思い出から。
自分は世代的に、PSPのメタルギアソリッドオプス+をやっていました。
マルチプレイで遊べたので、持ち寄って対戦したものです。
それきっかけでメタルギアに興味を持つようになり、このゲームは昔からあるシリーズで、ストーリーがあることを知りました。
どんな物語なのかと興味を持ったのが馴れ初めでしたね。
その何年か後。
たまたまMGS1からプレイできる機会があったので、プレイし始めました。
PS1で発売したMGS1をPS3でやり始めたので、最初は既に時代遅れだったグラフィックのゲームに満足できるか正直不安に思っていました。
しかし、そんな心配は必要なかった。
グラフィックの良し悪しなど関係なしに、気がつけばその世界観に惹き込まれてクリアまで夢中でプレイしてしまっていました。
そして、MGS4まで一気に駆け抜けました。
もう衝撃でしか無かったですね。
ぶっちぎりで、プレイして良かったと思えるゲームNO.1に輝きました。
割とたくさんのゲームをプレイしてきたそこそこのゲーマーである今であっても、正直圧倒的NO.1にプレイして良かったと思えた作品です。
だからこそ、ゲームを紹介する第1作目にこの作品を取り上げたかった。
考えさせられる物語
メタルギアの魅力は、考えさせられる深いストーリーです。
ご紹介の記事でも書いたことですが、物語がとにかく重厚です。
物語の舞台は近代で、そう遠くない過去のリアルな戦争のお話。
現代も続く戦争や核の脅威など、
現代を生きる人間だからこそ真剣に考えなくてはいけない問題を物語のテーマに置いています。
メタルギアに出てくる登場人物は、その殆どが幸せな結末で生涯を終えられていません。
戦争を経験した登場人物ほぼ全員が、争い合ったがために命を落とします。
悲劇の物語なのです。
ソリッドもリキッドも、第二次大戦時代の負の遺産であるがために、苦しんでいます。
争いは悲劇しか生まない。
制作者の深いメッセージが込められた作品でした。
意味のある登場人物
ビッグボスという男
自分が好きな登場人物は、やはりビッグボスです。
権力や特定の思想に迎合せず、理想を求めて生き抜いた男。
全ての傭兵の英雄、正にビッグボス。
ゼロとの軋轢が火種となり、『国境なき軍隊』MSFを立ち上げて、傭兵たちの安住の地『アウターヘヴン』を築き上げようとした人物です。
彼は『メタルギアソリッド』より前の『メタルギア』という作品の中で、自身のクローンのソリッドに倒されてしまいます。
死んだと思っていたので、MGS4ラストで彼が出てきた時は驚愕しました。
ゼロとの対面は涙なしには見れませんでしたね。
ゼロが病床に伏せてからは、『愛国者達』含めサイファーは完全AI管理となり、ビッグボスとの溝をさらに深めていきます。
現代技術のAIを作品に取り入れて、その舵取りに警鐘を鳴らすということを同時に行っていますね。
そういうのが本当にうまい。
後からMGS5ファントムペインで分かりますが、メタルギアで死んだビッグボスは彼にそっくりに作られた影武者のヴェノム・スネークでした。
彼のファントムが存在していたのですね。
つまりビッグボスとは、二人の男の功績を指していたのです。
この設定には素直に驚かされました。
ビッグボスとは自由の象徴であり、正に傭兵たちの偶像でした。
そしてプレイヤーにとっては、愛着のある登場人物でもあります。
現代から見れば危険な秩序の欠けた軍隊の先導者であったとは言え、
本物のビッグボスに真実を告げられた時は、
君もビッグボスになれる可能性を秘めていると作り手から言われているようで、鳥肌立ちましたね。
『俺たちは、二人で『ビッグボス』だ』
格好良すぎるだろ。
オセロットが暗躍しているのも、これまでのシリーズにしっかりと倣っていてたまらなかったです。
エンディングで彼が出てくるのはお約束ですからね。
ビッグボスは圧倒的な権力に抗い、理想を追い求め続けた男でした。
そんな彼が好きなので、彼の前日譚を描いた
・MGS3
・オプス
・ピースウォーカー
・MGS5ファントムペイン
はやはりお気に入りの作品です。
このオマージュ画像最高。
余談ですが、
正直ザ・ボスとの物語は、もっと詳細に見たかったなとは思っています。
ザ・ボスがMGS3でいきなり出てきたというのもあって、あまり彼女の存在が心に残らなかったというのは正直なところです。
小島監督がコナミを離れた今、ザ・ボスのスピンオフは流石に無理か。
ザ・ボスこそまさに戦時を生き抜いた伝説の英雄。
その人生には戦争に対する葛藤も、考えさせられる人間ドラマもビッグボスと同等かそれ以上にあったことでしょう。
小島監督が関わっていないのは不安ですが、もし作ってくれるのだとしたら泣いて喜びます。
ザ・ボスのスピンオフ待ってます。
復讐の鬼となったミラー
カズヒラ・ミラーも大好きな登場人物です。
最初は気さくな明るい奴だったのに、
陰謀に翻弄されて五体不満足の盲目の身体となり、仲間や家すら奪われて復讐の鬼となって行く。
ビッグボスの右腕だった彼。
サイファーの襲撃で大切な家と仲間を失ったことで、報復心が彼を突き動かすようになります。
しかし彼は、完全に心を無くしたわけではありませんでした。
かつてのような軽さはあまり見せなくなってしまったものの、
仲間に対しては昔の表情も見せていますし、人一倍人情に熱い男だったことがわかります。
密かにスネークに内緒でハンバーガーショップを経営していたり、全く憎めないユーモアのあるキャラクターです。
その無線が結構面白いので貼っておきます。
あの大手ファストフードのオリジンを垣間見れるかも?
カズはMGS5ファントムペインのラストで、自分が共に行動していた男は本物のビッグボスでないことを知ります。
ボスに裏切られたと感じたのでしょうね。
彼の子供たちを育てて彼を討つとまで言っていますから。
人情に熱い彼は、自分のことを切り捨てたボスのことが許せなかったのでしょう。
そして物語は、『メタルギア』へと繋がっていくのです。
彼は最終的にMGS1で、ソリッドがシャドーモセス島に潜入する前にリキッドに殺されてしまっていました。
MGS5のラストで仲違いしてしまったオセロットの画策であると考えてまず間違いはないでしょう。
こんな悲劇の結末が許されていいのか。
MSF襲撃を経験する前のミラーなら、本物のビッグボスに裏切られたとしても、もっと穏便に事を運べたのではないかとも思ってしまいます。
やはりあの痛みが、彼を復讐の鬼へと変えてしまったのでしょう。
とは言え、カズが不憫でならない。
もう許してやってほしいですね。
ソリッドとリキッド
『まだだ!まだ終わっていない!』
メタルギアを語る上で、やはり欠かせない登場人物がリキッド・スネークです。
ビッグボスのクローンでありソリッドと双子の兄弟であるリキッドは、劣等感に苛まれて生きています。
自身が生きる意味を見出せず、親父であるビッグボスを超えたいという想いを胸に秘めているキャラクターです。
クローンであるリキッドやソリッドにとって、ビッグボスは親とは呼べず、二人は親の愛情を感じる事なく育ちます。
愛を欠いた人間がやがてどうなって行くのかを示唆されているようで、考えさせられました。
この作品は、最強の傭兵と謳われたビッグボスの遺伝子に翻弄されるソリッドとリキッドの物語とも言えます。
彼らはクローン計画『恐るべき子供達』の犠牲者なのです。
MGS4で、ソリッドは老いた老人の姿で登場する事に。
不完全な遺伝子技術で生み出された存在のため、老化が早いのですね。
対するリキッドは、オセロットの身体を得て生き残っていました。
親父の姿形に縛られたくない彼を象徴しているようで、この演出好きでしたね。
MGS4でのラストの二人の殴り合いは、涙なしではプレイできません。
自身のアイデンティティのために他を傷つけようとする者、他を守ろうとする者の構図で、とても感慨深かったです。
正に最終決戦という感じがして震えましたね。
ソリッドの宿敵となるリキッドは、クローンとして生まれたことに対するコンプレックスを抱き続け、自分の可能性をずっと模索している。
そんな二人の対比が魅力的でした。
ソリッドにはオタコンがいたが、リキッドにはいなかった。
つまり、友がいなかった。
二人が運命を違えたのも、これが大きいのかもしれません。
裏切り者ヒューイ
オタコンはもちろん好きなキャラですが、
印象に残っているのはその親父のヒューイの方です。
マザーベースを襲撃させた裏切り者として彼は捕らえられますが、最後までどうしてわかってくれないんだと言い続けて追放されてしまいます。
このヒューイという人間は本質的に壊れています。
敵にマザーベースの情報を開け渡し、実験で自らの家族さえも危険に晒し、挙句に妻ストレンジラブを殺して自身の研究に没頭しています。
彼が愛したのは人ではなく、自身の研究だけという設定に度肝を抜かれました。
声や見た目が完全にオタコンでしたし、その姿形で出てくると無条件に信用してしまうという裏をかいた展開でしたね。
彼は本当に自身の研究が世のため人のためになると思って、研究に没頭していたのかもしれません。
しかし自身の家族である妻を殺してまで、その研究を成就させたかったのでしょうか。
倫理観が完全に破綻しています。
戦争に翻弄されておかしくなったのか、元々おかしかったのかは分かりませんが、
彼の父は原爆の開発『マンハッタン計画』に携わった人物なので、核に呪われた一人であったとも言えるのでしょう。
見た目的にも全く悪に見えないところがまた不気味でした。
『まともなのは僕だけか』と最後まで叫びながら追放された彼。
自分のしでかしたことを振り返ってなお、自分をまともと言っているのですから、やはりまともではなかったのだと感じます。
彼が裏切ったという決定的な証拠は挙がりませんでしたが、彼の事情聴取テープには考えさせられるものがあります。
彼は国家に帰属しない軍隊というものの危うさを、密かに危惧していたのかもしれません。
国境なき軍隊が核を持つのは反対だとはっきり言っていますしね。
であれば、彼が裏切った理由も納得できると言えば納得できます。
国家に属さない傭兵集団と、嘘で塗り固めてそれを崩壊させようとする男。
両方が狂っていると言えば、その通りだとも思えます。
傭兵たちは戦うことを止められなくなり、
ヒューイはそんな組織の暴走を危惧して崩壊させようとしたとも捉えられるのです。
ただ、証拠は挙がらなかった。
彼の言葉がどこまで本当かは、永遠に謎のままです。
考えさせられる物語を紡ぐメタルギアソリッドにおいて、この男はやはり語らざるを得ない存在です。
最後に
今回は、大好きなメタルギアシリーズについてお話してきました。
本当に興味深い神作品でしたね。
正にプレイする映画と言っていい作品でしょう。
戦争とは、遠い過去の出来事ではありません。
第二次世界大戦が終結したのは1945年。
100年も経っていないのです。
現在ウクライナとロシアの戦争や、イスラエルとハマスの戦争など、世界規模で大きな争いが続いています。
戦争の悲劇を経験する世代は、これから今以上にこの世を去って行く事になります。
その時戦争という選択に歯止めをかけなければならないのは、現在を生きる我々なのです。
特に被爆国である日本は、戦争に断固反対していかなければいけません。
たとえフィクション作品からであってもその惨状を知ることで、二度とそのような悲劇を繰り返さないように声を上げて行くことができる。
この作品には、作り手のそんな深い想いが込められていると感じます。
だからこそ、メタルギアは人生なのです。
小島秀夫という男の作品を世界が待ち望むのは、この偉作を生み出した背景があるからなのですね。
メタルギア、神作品でした。
人生でこの作品に出会えて本当に良かったです。
これからも、ゲームに関する記事はこちらにまとめていこうと思っています。よろしければご覧ください。
それでは、皆さま。
信じるものを、後世に語り継いでいきましょう。
ではでは。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?