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新しい作家の道を創る。絵本作家「兼濱麻美」

2018年6月、クラウドファンディングにより集めた資金で絵本「いがぐりねずみ」を制作、販売を始めた絵本作家の兼濱麻美さん。出版社から絵本を出すこれまでの絵本作家とは違い兼濱さんの活動範囲は驚くほど広い。VALUだけでなくTimebankを活用したり、箕輪編集室といったサロンにも参加する。彼女が目指す新しい作家の生き方とは? 兼濱さんの想いを聞く。

VALUが繋ぐリアルな縁

-VALUは何がきっかけで始められたんですか?
兼濱
:主人が先にやっていたんです。でも、自分は全然売れないから「やってみたら?」っていわれて始めました。私が始めたら主人より全然売れて(笑)面白いなと思って続けています。

-始められてすぐにVAを売買されましたか?
兼濱 
そうですね。でも、最初仕組みとかも全然わからなくて、そしたら私のVAを買ってくれた方がメッセージで使い方を教えてくれたんです。一番最初に買ってくれた方なんですけど、こうした方がいいよって。

-VALUを始めて、嬉しかったこと、楽しかったことはありますか?
兼濱 
VALUを始めて少ししたら、堀江貴文さんが私のVAを買ってくれたんです。それがすごい嬉しくて、著名な方もそうですけど他の方も、VAを買ってくれたことで見てくれてるんだとわかったんですよね。それで、VAの価格が上がったり下がったり、ショック!と感じることもあるけど、続けようって思ったんです。

-確かに、見てくれてるって思うと活力になりますよね。
兼濱
 そうですね。それから、VALUを通じて新しい友達ができたこともすごく嬉しかった。例えば、音楽活動をされている方からVALUのミュージックイベントをやるから出ないか?といってもらって、似顔絵屋さんとして出させていただいたんです。リアルで会って、繋がって、新しい何かが生まれたことが嬉しく、とても楽しいんです。縁を繋げてくれました。

-他のSNSとVALUの違いを感じることはありますか?
兼濱
 私の感覚ですけど、誠実な人が多い気がします。優待のやりとりなどがとても丁寧で。VALUはどんなことに興味があるのか、どんなお仕事をしているのか、全部見えているから安心感がありますね。

-難しかったところは?
兼濱
 数字(笑)私、数字が苦手なので、ビットコインの計算とかしないといけないじゃないですか。いくらで出すとかもあるし、慣れるまでは大変でした。

絵で生きていく。絵本出版の壁

-小さい頃から絵を描くのが好きだったんですか?
兼濱
 好きでしたね。田舎の保育園に通っていたんですが、自然と共に生きる環境だったので、様々なものが手作りだったんです。散歩に行って採ってきた椎の実やツクシ、イナゴをおやつに食べたり、工作したり、ペンキで壁に絵を描いたり、とにかくモノづくりをさせてくれる環境でした。そこで双子の妹も絵が好きだったので、お互い切磋琢磨しながら絵ばっかり描いてきたんだと思います。

-高校もデザイン科だったとのことですが、いつから絵で生きていこう!と考えていたんですか?
兼濱
 絵は、そうですね、それこそ小さい頃から思っていました。でも絵の中でも色々分野があるんですけど、最初は絵本でしたが、そのあと小説だったり漫画だったり、色々かじって、絵本に戻ってきたのは20歳の頃です。

-クラウドファンディングで絵本を制作されましたが、出版社を通してという道もあったかなと思うのですが…。
兼濱
 絵本の業界ってとても狭き門なんですよ。絵本をつくるのってすごくお金がかかるし、基本赤字なので、出版社もベストセラー作家さんにお願いする方が売れるじゃないですか。新人をあまり取り入れられない。埋もれている絵本作家さんは本当に多いです。

『いがぐりねずみ』に込めた想い

-クラウドファンディングを選んだ理由というのは?
兼濱
 絵本業界のシステムを変えたい、というか、私が今までの作家さんがされてこなかった動きをすることで、埋もれてる絵本作家さんとか、絵で表現したい人たちが世の中に出れるはずと思ったので、クラウドファンディングで絵本を制作しようと思いました。VALUやTimebankなどを活用するのも同じ理由です。

-これを絵本にしよう!という作品は決まっていたんですか?
兼濱
 最初は『いがぐりねずみ』ではなかったんです。クラウドファンディングを始める際、色々な方から「こうやったら達成できるよ」「こういう風にするといいよ」という話を聞いて、よし!こういう作品にしよう!と考えていたものがありました。でも、なんだか自分の中で腑に落ちなかったんです。

-クラウドファンディングを達成することが目的の内容になってしまった?兼濱 そうですね。それで、本当にやりたいことってそうなのかなって考えて、構想していた内容は違うんじゃないかなと。『いがぐりねずみ』は私のことを描いているんですが、私の人生のことだから、やっぱりこれを絵本にして伝えるのが一番じゃないかと思って決めました。

-一番大変だったことは?
兼濱
 メールを打つことです。元々メールが苦手で、クラウドファンディングもタイムバンカー総選挙も、始めると応援してくださいとLINEやメールを送るんですけど、ちょうど時期も近かったので、返信がきていないLINEにまた自分から送ってって…。それがちょっときつかったですね。身近な友達ほど返してくれないので、なんだか孤独感を感じていました。妹に相談したんですけど「でもそれ自分がやりたいことでしょ?」っていわれて、そうだよな、と我に返りました。正直、最近やっと色々気持ちも落ち着いて「あ、絵本つくったんだな」って実感しているんです。VALUでも思いますが、嬉しいと感じるのも大変だなと感じるのも人ですね、どちらも。

熱量の源。動きを止めない理由は?

-兼濱さん、ヒッチハイクで京都に行かれてましたよね?
兼濱
 そう、初めてやったんですけど、あんまりやりたくなかったんです(笑)経験かなと思ってやりましたが、結構しんどかった。「乗せてください」と人に頼むのって勇気がいるし、意外と方面が違ったりでつかまらない。。でもよく考えたら、今の世の中ヒッチハイクしている人間とか乗せるの怖い世の中だから乗せてくれたことに感謝です。

-さらに、日本一周されると伺ってます。
兼濱
 『いがぐりねずみ』を日本中の人に知ってもらいたいから手渡しで回りたいと思ってます。絵本を売りながら無料の似顔絵イベントもやって喜んでもらえたらいいな。でもワクワクの反面、本当に不安です。地図もダメで、実は人前で話すことも苦手、初対面もとても苦手なんです。

-でも本当に色々なツールを活用したり、様々な場に顔を出してますよね。どこからその熱量が?
兼濱
 本当は活動する熱量は下がっています(笑)家でこもって絵を書いてる方が好きなんです。でも、見てくれている人がいるので…。もう自分だけの夢じゃないんですよね。Facebookを3年間くらい毎日更新してるんですけど、わざと見えるようにして、自分で自分を頑張れ!って推してるんです。日本の次は海外にも行きます。『いがぐりねずみ』は翻訳していただいたので、英語できないけどたくさんの人に読んでもらえたらいいなと思って。これから英語頑張ります(笑)

-絵の活動されることで一番楽しかったことは何ですか?
兼濱
 ここ1〜2年の話ですけど、それこそVALUやTimebank、箕輪編集室に入って、世界が180度変わったこと。こういうシステムがあったんだ!とか、こういう考え方があったんだ!とか、自分が思っていた方向と別の方向から答えが返ってきたり。それで気づいたら夢が色々叶っていた!みたいな時が一番楽しい。人、ですね。人と会えて良かったなぁって思います。

-兼濱さんが活動される理由とは?
兼濱
 旅もそうですけど、私の活動を通じて、VALUだったりクラウドファンディングだったりTimebankだったり、こういうやり方でもっと自分の好きなことができるよっていうことを伝えたいんです。絵本に限らず色々な理由で何かを諦めてしまった、諦めかけてしまっている人が私の活動を見て「あ、やろうかな」と思ってもらえたらめっちゃいいなと思って。地方の方って本当に知らない人が多いんですよ。絵本も売りたいけど、そうやって自分の絵で、やり方、生き方を伝えられたらいいなと思います。

(書き手:鎌田智春)

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