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アマゾンが米国でアマゾンプライムを値上げ。何と年間1.6万円。

米国のアマゾンが、アマゾンプライムの年会費を、119ドル(約1.4万円)から139ドル(約1.6万円)に上げます。結構な値上げです。日本のアマゾンプライムの価格は、年間4900円ですので、3倍以上の価格差になります。日本が貧乏国になったと感じさせる差です。さすがに年1.6万円と言われたら、解約したくなりますが、米国のインフレ感覚で言えば、割とユーザーに受け入れられてしまうのかもしれません。米国の大企業は、圧倒的シェアを獲得すると、容赦なく値上げしてきます。Salesforceも大した理由もなく毎年3-7%程度の値上げを実施しています。インフレの原因にはなっていますが、企業業績が成長しやすい背景でもあります。

よく、日本経済が伸びない理由の一つに、一人当たりの生産性が上がっていない、それはIT投資が足りないからだ、従業員のスキルが低いからだ、などなど理由が挙げられています。ただ、一人当たりの生産性に大きく影響するのは、製品の販売価格です。なにしろ付加価値の計算は、売上から中間投入を引いて算出します。よって値上げして売上が増えれば中間投入との差である付加価値は自動的に増えます。従業員が優秀だろうが無かろうが、関係ありません。同じ製品を高く売れば生産性は向上します。日本の製造業は生産性が高く、日本のサービス業は生産性が低いのが問題だという話を聞いたことがあるかと思います。これも単純に、インフレの海外でモノを売っている製造業は付加価値が上がりやすく、デフレの国内でしか売上が立たないサービス業は一人当たりの生産性が下がりやすいのは当然です。

昨年来、食品や電力ガスの値上がりが続いています。ただ、これは前述の式で中間投入が増えた分、値上げしているため、差分である付加価値の増加になりません。一方で、一部企業は追加的に値上げしています。先日ここで取り上げた、葬儀場の広済堂や、最近では壁紙・床材のサンゲツ、リリカラといった会社は、目立ちませんが値上げを実施し、今期大幅増益を達成しています。消費者としては、値上げは止めて欲しいところですが、値上げ=インフレなくして、日本経済の再成長はあり得ないのも事実です。

日本のアマゾンプライムの場合、私の周りでは、気づかぬうちに加入していた人が多く、値上げを発表すると解約する人も多いかもしれません。日本人のシビアさがデフレ的に効いている例です。

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