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アスリートの部下が書いた日報と向き合う上司の話


クリアソンでは積極的にアスリートを採用している。自社でサッカーチームを保有しているため、アスリートはチームの即戦力として期待される。しかしクリアソンは「サッカーだけやってればOK」という組織ではないため、ビジネスの世界で活躍してもらう事を前提としている。


今までスポーツの世界で生きてきた人たちが、いきなり社会人として活躍することは難しい。ただ、どこの世界にも規格外な人間はいる。


井筒陸也

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社会人1年目から即戦力として活躍するアスリート。まあ、こんなアスリートは滅多にいない。彼のNOTEを読めばわかるが、言語化能力お化け。




ちなみに、ソンスさんは入社した当時2本指でタイピングしていた。

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ソンスさんが歓迎会で作成したパワポのスライドがこれだ。

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新卒1年目でも、もっと上手に作れるんじゃないかと言う出来栄え。ソンスさんが悪いのではない。




井筒がおかしいだけ。

これが普通なのだ。



今日は新人アスリートと上司がどう向き合っているのかについてNOTEで共有しようと思う。色々とあるので、まずは「日報」との向き合い方から紹介させてください。


大前提としてクリアソンは日報フォーマットがなく「まずは自分の中で感じた事、思った事、報告したい事をなんでもいいからぶつけてこい」みたいなスタンスで書いてもらっています。


新人アスリートが提出してくれた最初の日報がこちら。(この日報は井筒ではありません)

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おはようございます。昨日は面談頂きありがとうございました。
昨日の日報をお送り致します。宜しくお願い致します。

2月5日水曜 11時〜12時
達也さん、ソンスさん、だてさん
オフタイム集客MT
次回のオフタイムにダテさんが5人目標で集客をすることが決まったのですが、最初は参加費を払わせて、場所は都内限定でしか開催されないという条件の中で、5人集客をする事はとても簡単じゃない事だと思いました。
ただその理由は、友達などに急に営業して、その人と気まずくなってしまうんじゃないかとか、変に思われてしまうんじゃないかと言った不確実な先入観でしか考えていませんでした。ですが、大学時代の一つの経験を思い出し、この考え方を変えてくれました。

大学サッカーの試合では、リーグ戦でお金を取る試合は殆どありません。
ですが、●●●●大学では代々歴史のある関関戦という試合があり、それはイベント試合として入場料を取っていました。
その試合の集客の際も、ただ試合を見に来てください!と伝えるだけでは当然見に来る方は少なく、お客は二千人集まれば良い方でした。しかし、翌年はこの関関戦はどういう歴史でどういう学生がどういう思いでこの試合に臨むのかを伝えようと決め、両校で話し合いました。
その後決まったのが、見にきてくれる人たちに、お互いの大学を背負い、学生のがむしゃらさ、爽やかさ、ハツラツと真っ直ぐに戦う姿を、普段働いている方々や、高齢の方々にとっては非日常的な空間だからそれを味わい、感じてもらい、日々のストレスなどを発散させて熱く、感動させたいという想いでやろうと決めました。

その為に試合の一ヶ月前からビラ配りや、ポスター宣伝、SNSでの両校の意気込みや覚悟などを配信して、この想いを踏まえた上でお金を払ってきてもらう価値があると言う自信のもとで集客しました。すると、その成果もあり前年度の倍以上の五千人以上が集まり見に来て頂けました。この経験から、自信を持ってその人の為になると信じている事をちゃんと言語化して伝える事ができれば、その想いも伝わり、結果来てもらえるのではないかと思いました。自分が集客する方への伝え方次第で相手の受け取り方は変わるし、本当に来て欲しい想いを伝えれるように、まずはブラインドサッカーについて深く知る所から始めたいです。

15時〜16時
●●●● 執行役員●さん、竹さん

まずは、竹さんの情報収集能力が高く、出身地や、趣味で話を広げ、相手と共感をするものをみつける事で距離を縮め、話しやすく本音を引き出せるような環境作りをしていることが凄いと思いました。これは、サッカーにおける試合や練習の前のアップと似たところを感じ、体を温め入念にほぐす作業だと捉えました。
今回のお話を全て聞いて思ったのは、やはり竹さんは、入念なアップをしてここに試合をやりに来たんだと思いました。その理由は、まず竹さんが自分の生い立ちや挫折などを含めた話を始めて、どういう人間なのかを理解してもらう作業をしていました。これは試合で言うディフェンスラインのビルドアップだと思います。

その後、クリアソンを立ち上げるまでの経緯丸山さん、剣持さんなど役員を含めた方々との会社のビジョンのお話をしました。これは中盤での舵取りやボール回しと捉えました。そして、言い方は悪いですが竹さんの能力のお話、ドリブルデザイナーで活躍されている方をその道に導いたこと。広告代を金ではなく物で取る考え方など、これは、サッカーで言うサイドでの個人のドリブル突破に置き換えれると思います。

そして最後は、●さんに会社の理念を理解してもらい、是非ご一緒にお仕事が出来ればといった所まで話を持っていきました。これがサッカーではゴールだと思います。今回のこのお話を通して戦略、分析、技術の流れを感じ、それはサッカーと同じ原理だと感じました。算段を立てて、相手に合った攻撃(お話)をする事が大切だと気付かされました。

その相手というのは、今回●さんだと、私が感じたのは物腰が柔らかく何事も興味を持って話を聞いてくれる優しい方だという印象でした。話の時間の7割は竹さんがお話していましたが、その割合も、相手によっては使い分ける必要があると思いました。




彼が一生懸命書いた事は伝わってくる。
この日報に対して上司の私はどう向き合うべきなのか?


・もっと内容を簡潔にまとめろ!と伝えるべきか
・もっとこういうことを書け!と伝えるべきか
・よく頑張った!と伝えるべきか


まあ、日報を返信するにも色々と迷うものだ。
ここで上司が「もっとこうしろ」「もっとああしろ」みたいな発言をしてしまえば、彼の中で上司の命令通りに動くことが社会人の当たり前になってしまうかもしれない。だから考える。


俺は彼にどうなってほしいと思ってるのか?


もちろん部下が自分の思い通りに育つことなどない。それでも自分なりに、部下がこう育ってほしいというイメージをもつことはとても重要な事だと認識している。もう矛盾だらけだ。



部下が思い通りに育つわけないのに、
こんな風に育ってほしいと決める事。



色々と悩んだ結果、まずはビジネスを楽しめる人になってほしいと思った。「社会人も突き詰めていけば面白そう!そんな世界があるんだ!」と思ってもらいたい。


きっとサッカーをはじめたのだって、ボールを蹴るのが面白そうからスタートしているはず。いきなり「サッカーとはこういうもんだ」「シュートはこうしろ」みたいなコミュニケーションをとれば、子供たちはサッカーを嫌いになるだろう。


とはいえ、彼も厳しいアスリートの世界で頑張ってきた人間。興味喚起だけに特化するのではなく、彼を一人の男として認めた上で敬意をもって対応しようと思った。



だから正しいのかどうかはわからないが、こんな感じで返信してみた。

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お疲れ様です。

初回の返信なので手厚くしてます。2回目以降はスルーする事もあるかと思いますが、ちゃんと読んでますのでご安心下さい(笑)

●君の経験を、自分ならどのように解釈して頭の中で整理するのかについて
考えてみたので共有します。


まず集客の方法ですが、自分なら下記のように考えます。

① 心から集客したいと自分が思えるか?
実際にコンテンツに参加したことがあるか?
参加して自分は何を感じたのか?
本当に価値があるコンテンツなのか?
共感できているか?


まずここがないなら、集客は断ったほうがいいです。
仕事が作業になるので。


② どんな人だと価値が届き、どんな人には届かないのか
世の中全ての人を幸せにするコンテンツはありません。自分ならまずは、どういった状態の人、どれぐらいの年齢の人だと、このコンテンツが刺さりやすいのかを考えます。

その上で、「ターゲットとする人がこういう状態」という仮説を明確にした上で集客文章を考えます。


③ 集客の方法

集客の方法はいくつかパターンがあります。

A ダイレクト(直接知り合いに声をかける)
B SNSで不特定多数に発信してみる
C NOTEや、ブログなどを通じて、ブラインドサッカーに対して
 自分がどう思ったのかを記事にして書いてみる。



頑張ったの基準を考える時に、

Aも中途半端
Aをやった
Aをやりきった
Aもやって、Bにも挑戦してみた。
Aもやって、BにもCにも挑戦してみた。

という発想が頭の中で出来上がります。できるかできないかではなく、まず「やりきってみる」。やりきるとはどういうことなのかを考えてから行動します。


もし一生懸命努力しているのに成果が出ない時は、●君に責任はありません。部下が一生懸命やっているのに成果が出ないのは上司が無能だからです。ビジネスの世界において、成果の責任は全てマネージャーにあります。●君の仕事は与えられた仕事をやりきることです。



竹さんの商談について

自分は竹さんの話を聞く中でいいなと思ったのは、初回訪問で「クロージング」をかけるということです。クロージングとは、「買ってください。やりましょう。契約してください」という勝負をしかけること。恋愛に置き換えると、「告白しちゃう」という事です。

ビジネスにおいて、クロージングをする事はとても重要な意味を持ちます。
ダメな営業マンほど、ビビってクロージングができない。相手に押し売りしたくないと、引っ込んでしまう。


クロージングして断られた際に
「なんで相手が買わないのか?」
「何がネック(課題)なのか?」

という情報をきちんと入手する事。そして断られた理由を「課題」として捉えて、解決策を考えて提示するのが交渉です。


竹さんはそれをさらに高次元でおこなっていて、同じクロージングをするにしても関係性がある中でのクロージング、関係性が全くない中でのクロージングでは得られる課題情報が違うことを理解した上で交渉と向き合えてる点が、めちゃくちゃ理に適っているなと感じました。



新人アスリートの苦悩は続く。
上司の苦悩も続く。



苦悩と向き合う毎日が、成功した時の喜びを強くする。

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