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(7)6年生時代

 当時はありませんでしたが、ここ10年ぐらい「2分の1成人式」という言葉をよく聞きます。思い返せば、ケンとリュウも10歳を境にぐっとコミュニケーションがとれるようになりました。ただ、イメージは泣いてばかりいる赤ちゃんが2歳頃からちょっとコミュニケーションをとれるようになった感覚に近いです。「嫌なものは嫌」だった2人が少しだけ「なぜ嫌なのか」を話してくれるようになったのです。しかし、その理由は「白い線しか踏まない横断歩道」だったり「1回触ったら、もう1回触る」という儀式のような理由で、私はなかなか理解できませんでした。宿題をするのでも、「あの鉛筆じゃないとできない。買ってきて!」と言うのですが、私にはどの鉛筆でもできる、ただ宿題をやりたくないだけの理由だと叱っては親子関係がくずれていきました。結局、鉛筆を探して見つかった時にはもう眠たくなっていて宿題どころではなく、翌日の憂鬱につながりました。そんなやりとりを繰り返していると、実際に、その鉛筆を買ってきたらすぐ宿題を終えるという現象も起きました。親にとって何が正解かわからないのですが、そのこだわりの強さを自分では調整ができず、彼らは今でもその生きづらさを抱えています。自分で自分がコントロールできない様子は、ブログ「7人家族の真ん中で。」での過去記事でも描いていましたが…

リュウの異変  続・リュウの異変

 実はその後、リュウは何回でも自分の不注意で彼女の指を切ってしまって彼女が「痛いっ!」と手を引っ込めたシーンが脳内で再生されては、苦しむという現象が続きました。(俗にフラッシュバックと言われる現象でしょうか?)リュウが申し訳ない気持ちでいっぱいになるのはわかるけれど、それが1週間経っても1ヶ月経っても1年経っても、当事者の彼女が忘れてしまっても、その瞬間を思い出しては苦しんで落ち込むことがありました。親としては「ええ加減にせえよっ!」とツッコミたいところですが、なかなか乗り越えることはできませんでした。

 幼い頃と比べると、親の言うことは理解できるようになってきましたが、思考回路が独特で社会適合が難しくなってきたのはリュウの方が先でした。

〜6年生時代〜

 6年生に進級し、ケンとリュウの関係が変わってきた。同じクラスでケンに3人の友だちができた。類は友を呼ぶで、3人ともおとなしい男の子だった。ケンは漫画やゲーム、PCで得た豊富な知識をもって彼らを喜ばせ、学校では苦手な給食を先生にバレずに食べてもらうことに成功していた。アウトドアが苦手だったケンに、自転車での遠出の仕方や電車の乗り継ぎを教えてくれたのも彼らだった。彼らは学校の成績も良く、ケンの勉強にもよく付き合ってくれた。今、思い返してもこの6年生での1年間は、ケンがいろんなことに挑戦し、一番イキイキしていたように思う。
 一方、リュウはその頃からいじめにあっていた。


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