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4分のONE PIECE

「100万部売れるシリーズを作りましょう」

デビュー前、はじめて担当編集者がついたとき、一番はじめに言われた言葉である。

「子供の本って、どんな感じなんだろう…?
 きっとほわほわして、やさしい世界なんだろうなぁ…!」

と思っていた新人作家の僕へ。こんにちは! 数値目標だよ!

「なるほど…! 小説って…ほんとに売るんですね!?」

ほわほわやさしくて、おまんまが食えるかぁッ!
ようこそ、修羅の世界へ!!


ただ、出版業界のことなんてまったく知らないド新人には、「100万部」という数字が、どれくらいのものなのかがまずわからない。

僕が知っている唯一の部数の数字は、「ONE PIECEの新刊が、400万部」ということだった。
ネットかニュースかなんかで見て覚えてた。

思ったのです。

(ONE PIECEが400万部…。
 つまり、100万部といったら……4分のONE PIECE!)

……いけるんじゃない?

ONE PIECEはさすがに無理だけど、4分のONE PIECEなら、俺、いけるんじゃない!?


そんなこんなであれから10年以上経ちましたが、いまだに4分のONE PIECEいっておりません。ONE PIECEは強かった。
いや、5分のONE PIECEはいったんだけど、もう20分のONE PIECEの壁がなかなか厚くてね…。
ほら、児童書の初版なんて、400分のONE PIECEいかない世界だから…。


はい。
なにが言いたいか、わかりますね?

そうです。
ONE PIECEって言いたかっただけです。
ちなみに僕はNARUTO派です。

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