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缶詰の数え方

変なプレゼントをもらった。

誕生日にこんな本をもらいました。

『数え方の辞典』(飯田朝子、小学館)

休憩時間にパラパラ見ていたんだけど、コラムが面白かったので紹介させてほしい。

数え方の決め方【中身】

まず下の画像を見てほしい。

なんの変哲もないコカ・コーラ

どう数えるだろう?

間違いなく「1本」と数えるはずだ。

では次の画像も見てほしい。

キャンベルのトマトスープ缶

これはどうだろう?

おそらく「1缶」と数えるはずだ。

色も形もほぼ同じ物なのに、僕たちは「本」と「缶」を使い分けている。

一体なぜこんなことが起きるんだろう。

実は僕たちは無意識のうちに缶の中身を考慮して数え方を変えているんだ。

中身が液体なら「本」、中身が個体なら「缶」、といった具合だ。

※スープは液体じゃんと思うかもしれないけど、中身が個体の缶詰(例えばフルーツ缶)を「缶」と数えることは理解してもらえるはずだ。

中身がジュースかアスパラガスかの違いで数え方は変わる
ちなみに空き缶は「個」で数える

こういった事例はまだある。

数え方の決め方【友好度】

こっちはどうだろう?

左が天使、右が悪魔

天使は「1人」、悪魔は「1匹(あるいは1体)」と数えないだろうか。

僕たちは友好的かそうじゃないかでも数え方を変えている。

だから友好的な悪魔は「1人」と数え方が変わるはずだ。
チェンソーマンのレゼを「1匹」と数える人は少ないと思う。

無意識の恐ろしさ

数え方の決め方を二つ紹介させてもらったわけだけど、恐ろしいのは僕たちがこれらのルールを誰からも学んでいないことだ。

誰からも学んでいないのに使い分けができているし、ルールと違う使い方をされるとちゃんと違和感を感じることができる。

例えば、次の横断幕があったらどう思うだろうか。

「第3度 体育大会」

かなり違和感を感じるはずだ。

正しくは「第3回 体育大会」だろうとすぐわかる。

でも「回」と「度」って何がどう違うんだろうか。
これを説明できる人は少ないと思う。

「回」は繰り返されることが予測・期待されるときに使われる。
「度」は繰り返されることが予測しにくいときに使われる。

だから「仏の顔も三度まで」なんだ。

こうした使い分けがある。言われてみれば確かにそうだ。
でもこれって結構怖くないだろうか。

僕たちの言動は結構な割合で無意識に支配されているのかもしれない。
そんな意識の不思議を感じることができる素敵な本だった。

そのほかにも数え方に関するおもしろコラムが掲載されている。本当はもっと紹介したいのだが、それはなんか申し訳ないのでやめておこう。

気になった方はぜひ購入して読んでほしい。

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