想いは一方通行

私は学生時代、色んな人と出会ってきた。

まだまだ大海を知らぬ蛙でも、当の本人にしてみれば毎日が今と比べれば本当に斬新で勉強になる日々が多かった様に思える。

赤裸々な記憶。

それが所謂、人が人を想える様なシーンだったのかは分かりません。

なんせ大昔なのですから。

でも、たまに思い出す好きな事に凄い熱意を持ち打ち込んでいた子が居ました。

その子は小学生の頃からバレーボールに打ち込んでいました。

気になっていました。でも、シャイな性格と天邪鬼な性格でその子に話し掛ける時にしどろもどろになってしまっていた。

そして、ある時その子に対する感情がいつしか爆発しました。

不器用なりに「貴女がバレーに打ち込める、そのハートに私は惹かれました。好きです」とどもりながらも自分の気持ちを相手にストレートに伝えた事が今までで2回ありました。

しかし、相手からは「部活に専念したいの。でも気持ちだけ受け取っておくね」と私の気持ちを汲み取ってくれた。

ああ、これが人達の言う「失恋。叶わない恋」と言うものだと知る事が出来て、自分の感情を相手に想いは伝えられたしこれで良いのよ今はとその日の学校からの下校時は自転車漕ぎながらずっと自分に言い聞かせました。

何故彼女がバレーボールに打ち込めたか、それを知りたかった。でも、あまりしつこくも言えない…でもその子が「好きな事に打ち込める理由って何か?どこからそのパワーはきているのか?」そんな事を考えながらも、分からないまま日にちは過ぎ去って、中学を卒業したと同時にその子とは別々の進路へ。

この子はバレーボールで自分の掲げる信念の元にやっている。自分と似ている…分かる。
自分だって創作している時は周りの声が聞こえなくなり、自分一人の世界に入り浸り人との交流を閉ざす。それは、自分にも他人に譲れない信念があるから。そういうものではないかと、卒業式当日はその子の姿を背に取り敢えずは今は自分の進路に専念していこうと考えるのだった。

今思うと、気のない、意外な人からの告白を受けた事により、部活や夢の為に頑張っていたあの子に水を差す様に自分の気持ちを一方通行に伝えてしまったなって事に謝りたい。

かと言って、過去に戻れる術も、今その子がどうなっているかは定かではありません。

でも、「あなたが、ただ一心にバレーを頑張っていた。そんな事だけでも私も芸術に打ち込めるきっかけが出来た。今あなたがどんな事をしているかは私には分からないし、あなたも分からないでしょう(私に気があるかは知らんけど)が私は、あなたが今一瞬の内ででも幸せだと思える事があれば私はそれで良いよ。」と、まるで一昔前の駅の掲示板に何処かの勘違い恋愛野郎が、自分の惚れた好きな人への伝言の様な言葉を残して私は今を生きる事にする。