珍しい。
森保一監督がご自身の采配ミスを認める発言をした。それは間違いなくそうなのだが、今日に限っていえば、それが一番の敗因ではない。
実は、伊東純也選手処遇に関して離脱→ 帯同→保留→離脱と判断が二転三転した。そのため協会と選手たちの間に大きな溝が出来てしまった。特に矢面に立ったのが山本昌邦ダイレクターだ。当大会遠征団長でもある山本氏が独断で早々と離脱を決めてしまったので選手たちから相当な不評を買った。だからその後、不満を漏らす多数の選手たちの総意を汲んで決定を覆したのだ。さらにその後、結果として総合的判断により離脱と決定したのだが、この一連のプロセスに選手たちは振り回され、精神的にも疲弊した。結果としてチーム全体のモチベーションが下がったことは否めない。ここだけの話、選手たちはそれぞれ独立したプロだ。伊東選手が悪事を働いたのか、何もしてないのかなんてどうでもいいこと。現実問題として伊東選手がこのチームにいなければ優勝は覚束ないと皆分かっていた。伊東選手の存在はそれだけ大きかったのだ。
テレビ中継では伊東選手のことには一切触れず。不慣れな槙野智章さん（ピッチ解説）にも恐らく箝口令が敷かれていたことだろう。それは予想の範囲内なので仕方ない。そして、無い物ねだりをしても意味がない。
でも、返す返すも今回のトラブルがなく伊東選手が一つの駒として有効に機能していればイランに負けることはなかった。こんなみっともない形で。
それはさておき、パリ五輪を見据えてのことかとは思うが、大会を通してなぜGKに鈴木彩艶選手を使い続けたのか甚だ疑問だ。判断が中途半端でパンチングが小さく、危ないシーンばかりが目についた。中継では分からないが、背後からの指示の出し方にも問題があったのではないか？　バックス陣がお見合いをするシーンが散見された。解説の松木安太郎さん、内田篤人さん他、みんなそのことに気がついているのにコメントを避け、鈴木彩艶選手のことを慮っているのが見え見えだった。シュミット・ダニエル、大迫敬介、谷晃生のいずれかであればこんな結果にはならなかっただろう。
バックス陣についても不満が残る。冨安健洋は怪我上がりで本調子じゃなく、板倉滉は鈍足な上、今日は前半途中でイエローをもらい痛んでもいた。後半開始から谷口彰悟に交代すべきだった。さらに上背の高さで抜擢したのだろうが伊藤洋輝も相変わらずパッとしない。中山雄太の方が良かったのではないかと思う。
伊東選手に関して無用な混乱が生じて士気が相当下がっていること、中二日で後半の後半、足が止まってしまったこと（前節120分戦ったイランより日本の方がマシなはずだったのだが)、監督・スタッフへの不信感などが相まって、後半の出来があまりに酷かった。
ワールドカップ本大会でも、こんなに情けない試合は最近見たことがない。球際ではことごとく後手に回り、足が止まって動かないからパスの出しどころがない。中盤が間延びしてパスが通らないし、ルーズボールが多くなり、セカンドボールはほとんどイランに獲られる。これでは勝てるはずがない。
伊東選手とお笑い芸人M氏の事案には共通点が多い。伊東選手の場合、個人契約と思われる専属トレーナーと弱小芸能プロダクションのブローカーみたいな怪しい人物が糸を引いた。伊東選手は「エリート」ではなく、結果を積み上げてのし上がってきた選手。だから「成り上がり感」と「反主流派」・「マイノリティ意識」が強いことも災いした。
三笘とオレとどっちが好き？　なんて女の子に訊くか？　三笘派か伊東派か、さぁどっちだ？と二者選択を迫ったのだ。そりゃ三笘に軍配が上がってもおかしくないでしょ。そうしたら伊東選手、「あいつは真面目過ぎて外に出て遊ばないから面白くないよ」なんてさ。ま、これ、週刊新潮の受け売りなんだけど。でも、そう言いそうだから怖いんだよ。伊東選手の今置かれてる立場はかなり深刻。下手したら現役を続けられないんじゃないかとさえ不安視されている。
終わってからいうのは後出しジャンケンみたいで気が引けるのだが、戦前のボクの予想通りのスコアでイランに敗退する結果となった。
キックオフ前に川平慈英さんがいつもながら「勝つんです‼️」と言うのはいいが、それはあくまで希望であって予想でも当然でもなんでもない。にわかサッカーファンがそれを鵜呑みにしてパブリックビューイングなんかで女の子と一緒に楽しく応援している場面を見ると当たり前だが彼らには危機感がまるでない。
そもそもパリ五輪対策のための（GK）人選であったならアジアで最も強いイランに勝てるはずがない。優勝するなら他国と同じようにフル代表のベストメンバーで臨まなきゃ。アジアを舐めてはいけない。
辛口が過ぎて出番がなくなったセルジオ越後さん、そして田中マルクス闘莉王さんの苦々しいコメントを是非聞いてみたいものだ。伊東選手のことはボクみたいに露骨なコメントはしないだろうが、それ以外の見解はボクとほぼ一緒であろう。