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令和6年度の年金額改定について

令和6年度の年金額が公表された
4月分から+2.7%となり、前年に続くプラス改定

支給月は2月・4月・6月・8月・10月・12月でそれぞれ前月分までが支払われる
例)4月支給の年金は2月分・3月分をまとめて支給、よって今改定額が反映された年金を受け取るのは6月(4月分・5月分)から

この+2.7%という改定額がどのように決定されているのかであるが、
それは物価と賃金の変動に応じて決定される
なぜかといえば、物価と賃金は人々が生活する上で欠かすことのできない要素であり、世代間平等といった観点からも両者の関連性が強いから
物価→働かなくなり、年金に依存するようになった高齢者にとって物価の変動は重要な関心事
賃金→年金を原則受給していない働く現役世代にとって賃金の変動は重要な関心事
例えば、物価が前年比5%と急激に上昇、賃金が2%と物価ほどに上昇していない場合で年金額を高齢者のために5%も上げてしまうと、2%しか賃金が上昇していない賃金生活者である現役世代が不公平に感じる
↪︎世代間平等の観点からこのケースでの年金額改定率は賃金変動率の2%となる
(令和6年度のケースも同様、物価上昇率+3.2%>名目賃金変動率+3.1%より+3.1%を採用)

さて、ここで年金の改定率を名目賃金変動率の3.1%にするところであるが
実際の2.7%改定と比べて0.4%ほどの差がある
この差は何なのか

問いの答えは「マクロ経済スライドによる調整分
マクロ経済スライドとは…
賃金や物価の改定率を調整して緩やかに年金の給付水準を調整する仕組み
→公的年金全体の被保険者数の減少率(3年平均)に平均余命の伸びを勘案した一定率(0.3%)を加えた率
令和6年度はー0.4%
よって3.1%−0.4%=2.7%改定となった

参考:厚生労働省

なお、去年は物価変動率(2.5%)より名目賃金変動率(2.8%)の方が高かったため、ルールにより新規裁定者(67歳以下)は名目賃金変動率を、既裁定者(68歳以上)は物価変動率を用いて改定した
この結果、令和5年度のマクロ経済スライド調整(−0.6%)後の年金額は、新規裁定者で令和4年度から+2.2%の増額改定、 既裁定者で令和4年度から+1.9%の増額改定となった

話が少し逸れますが、物価変動率が2%〜3%台と定着し始めているので日銀の金融緩和修正が今春にもなされる可能性が高い
植田和男総裁は賃金データ次第と話すが、いよいよ現実化してきている
物価や賃金の変動は生活にも経済にも重要な指標であると改めて感じさせられる


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