肺がんが見つかったじいじへ。

こんにちは。しおです。
私は何者でもなく
東京のとある大学に通う、ただの大学生です。

本日は
肺がんが見つかった
大好きなじいじに向けて言葉を綴ろうと思います。

私のじいじは温厚で優しい人です。
でも、母が言うには
お堅い、真面目な、頑固な人だといいます。
私はその姿をあまり知らないから、
孫には特別優しいのかもしれません。

私はじいじの入れるコーヒーが大好きです。
というより、
朝早くからコーヒーを入れて飲んでいるじいじの姿が好きだと言った方が正しいかもしれません。
コーヒーを飲めるようになったのも最近なので。(笑)

朝起きると
じいじがコーヒーを入れていて
ばあばと座っておしゃべりをしている。
おはよう、よく寝れたかな?、と
素敵な朝が始まる。
この当たり前の日常が
当たり前ではないのかもしれないと思った時に、
なにか言葉で残しておかなければならないと感じたのです。

じいじからは3ヶ月ほど前、
肺がんが進行していると言われました。
そして
抗がん剤治療など、体に負担のある延命治療はしないと決めた、と言われました。

私はじいじとばあばの選択を心から尊重しています。
2人がそう選んだなら、そういうことですね。


じいじの思い出の地、ドイツ

じいじがものすごく若い頃、
仕事でドイツに住んでいた経験がありました。
そして是非、ばあばをその地に連れて行きたいと
夢見ていたようでした。
がんが見つかり、
思い出を作りたいと1ヶ月ほど前に決め、
1週間ほど、ドイツ旅行に行って帰ってきました。

何十年も前だから
街はすごく変わっていたけれど、
とてもいい思い出になったと
写真を見せながら楽しそうに、少し自慢げに話してくれたその姿を、私は一生忘れないと思います。

つい最近会いに行った時に
じいじがお小遣いをくれました。
お金の管理はばあばでいつもはばあばがくれるから
じいじからもらったのは生まれて初めてでした。
「遊びに来てくれてありがとう」
と言いました。
これも生まれて初めて、
素直に気持ちを伝えてもらいました。
涙が出そうなのをぐっとぐっと堪えて、
「ありがとう、また来るね。」

もしかしたら最後になるかもしれない。
お互いどこかで思っているから
寂しいような、
どこか安心させてくれようとしてくれてるのかな、と
不思議な気持ちに包まれました。

じいじからの最初で最後のお小遣い。
袋に入れてしまっています。
いつか大切なものを買う時に使わせてもらうね。


じいじ
ばあばと楽しく幸せに生きて。
だいすきだよ


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