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怪談11「ある廃ホテルの近くの家」

 私の地元には、いくつか全国的にも有名な心霊名所があります。
 そして、あまり雑誌には載らないが、それに匹敵するというか、人気のある廃ホテルがあります。
 そこは、海沿いの断崖に建っているホテルで、もう平成に入るぐらいのときにはすでに潰れていたと思います。
 そこは幽霊が出ると噂されてました。
 というのも、その近くに大きい橋があり、そこから身を投げた人の遺体がその断崖の・・つまりホテルの下に流れ着くそうです。
 そのホテルに関しての話はそのうち書こうと思いますが、そのホテルまで行く途中に当時は3件の家がありました。
 そのホテルまでは、途中の国道から細道に入って下っていくとたどり着くのですが、その道沿いにその3件はあります。
 (いまはあるかどうかわかりません)。
 その3件のうち、一番ホテルから遠い家の方とたまたま母親が知り合いました。
 その方を仮にSさんとして話していきます。
 母親が入院して隣のベッドにいた方がそこの奥さんだったんですね。
 それで、その廃ホテルの事は有名ですからいろいろ聞きました。
 その廃ホテルはある部屋で自殺があり、それ以降ホテル内に霊が頻繁に出ると騒ぎになったという噂があるのですが、これが、当時働いていた人に聞くと「そんな事件なかったよ?」と言うんですね。
 で、Sさんにもその噂の事を聞くと「ん~そんな噂は聞いたことあるけど、そんな事件なかったはずよ~」と言ってました。
 次に幽霊が出まくることについては「あ~それは本当だったみたいよ~」と言ってました。
 「へ~やっぱり当時出たんですね~」と言うと「だって、あそこは身投げした人がホテルの断崖の下に流れつくからねぇ~。そんなこともあるよね~」って言ってました。

 そして、ここからが面白かったのですが、そのSさんは「でもね~うちらの家のほうがひどいよ~(笑)」って言うんです。
 特にホテルに一番近い民家が、もっとも現象が多いとのこと。
 「私たちの家って、そのホテルができるころにリゾート感覚の民家って流れで当時売り出されたもので、その頃からあるんだけど、まぁ~バブル期のあおりで旅行客も多かった時代よねぇ。そのせいで、その近くの橋で身投げする人が増えてさ・・そこからかなぁ」とSさん。
 「私の家は、せいぜい声が聞こえたり、気配感じたりとかなんだけど、次の家はそれに人影や夜中に目が覚めると立ってたりなんてザラらしいし、一番近いところの奥さんが言うには、そっちはポルターガイストがすごいらしいのよねぇ~」と笑ってました。
 「茶碗飛んだり、椅子が動いたりするのが頻繁に起こるし、夜中にチャイム鳴ったりするって言ってたわねぇ」と・・・。
 それ怖くないですか?と私が尋ねると「ん~もう慣れてるからねぇ~特に一番近い家の奥さんとかは「馬鹿たれ!死んでまで人に迷惑かけるな!」とか怒鳴ると静かになるから大丈夫って言ってたし」と言ってました。

 いやはや、慣れって怖いですね。
 ちなみに、そのホテルの近くの自殺の多い橋というのは「怪談4」で出てきたのですが、その時に通った橋の一つです。

 この橋にまつわる話でなかなか怖いものがあるのですが、当時聞かせてくれた先輩と今は連絡がつかないので、話として勝手に書いていいか思案中です。
 (なんかで再会して許可が取れたら書こうと思います)。

 なお、こういった物事に必ずついてくるのは「お祓いはしないのか?」という部分ですが、こちらの3件はまったくそのつもりがないそうで、呼んだことはないそうです。
 「だって、そのぐらいだから死にはしないし、困ってないし・・・やたら呼んでもお金かかるだけだからねぇ・・・それで収まればいいけど、そうじゃなかったら損だしねぇ」とSさんは言ってました。

 ただ、この廃ホテルに関しては、さまざまな噂があり、先輩の一人が体験した話とかもあるのですが、その話はまた後日書こうかな?と思っています。
 (実はずっと気になっていたことがあって、最近、その謎が少し解けたような気がするのですが、それはなにやら犯罪のにおいが強いので、やたら書くのは避けようかなと思っています)。

 とまあ、偶然隣り合わせた方の話でした。
 学生のころから有名な廃ホテルの話などを聞けたのでけっこう面白かったです。
 そういう心霊名所とかの裏話などを聞けるとワクワクしますよね(笑)。

 それでは

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