風吹けば 落つるもみぢ 葉水清み 1話
暑さと寒さが混じり合う季節
葉が赤く色づき、乾いた風が吹く
なにごとにも中途半端な時期
学校が休みのなか行きたいわけでも
行きたくないわけでもないバイトに向かう
〇 : おつかれーっす
咲 : あっ〇〇さんお疲れ様です
この子は菅原咲月
高校生バイトの子でよく同じ時間にバイトをすることが多くてまぁまぁ仲も良い
〇 : あれ、店長は?
咲 : 今日いないらしいです
〇 : じゃあ2人か
そして2人で開店準備をする
平日は10時、休日は9時から20時ぐらいまで
休日は店長がいるはずなのに店を開けるだけ空けて
俺たちに任せっきりらしい
12時のお昼どき
そこそこ繁盛してくる
2人だから大忙し
〜〜〜〜〜〜〜
咲 : 〇〇さんフレンチトースト二つです
〇 : 咲月ちゃんコーヒー持ってってー
まぁなにごとなく過ごしている
そして15時ぐらい
少しゆっくりになってくる時間帯
1人の女性がくる
まぁそんなことよくある
〇 : 咲月ちゃん接客よろしく
咲 : はーい
咲 : 〇〇さーんコーヒーでーす
〇 : はいよ〜
咲 : あっ私持っていきますよ
〇 : 今空いてるから、少し休憩してて大丈夫だよ
そういって女性にコーヒーを渡しに行く
〇 : お待たせしましたコーヒーです
? : ありがとうございます
俺はその時気がついた
その女性の首元あたりにあざがあるのを
普通のことのようにも思うが
その人の様子も少しおかしかったし
なにかあるのではと思っていた
〇 : ねぇ咲月ちゃん
咲 : なんですか?
〇 : あの人なんか変だと思わない?
咲 : そーですかね?
〇 : 首にあざがあったから
咲 : 首にあざなんて私しょっちゅうですよ
〇 : どんな生活送っとるんや笑
咲 : まぁ気になるんだったら話しかけてみれば良いんじゃないですか?
その女性は本を読んだり写真を撮ったりゆったりとしていた
2時間後
その女性はお会計にやってきた
俺は気になって仕方がなかったため
聞いてみようと思っている
〇 : お会計1200円になります
? : これでお願いします
お会計が済んで女性がお店を出ようとする
〇 : ...すみません
? : はい?
〇 : あの〜勘違いだったら申し訳ないんですけど
〇 : なにかありましたか?
? : ...
? : うわーん泣
その女性はその場にしゃがみ込んでしまった
咲 : 〇〇さん?どうしたんですか
〇 : あの、さっきのを聞いてみたらこうなっちやって...
? : うわ〜ん泣
咲 : と、とりあえず椅子に座りましょう
咲月ちゃんのおかげでなんとかその場を落ち着かせることができた
お客さんの注文があったため
咲月ちゃんに話を聞いてもらい
俺は料理を作っていた
ひと段落した後
〇 : どう?咲月ちゃん
咲 : 〇〇さん。この方彼氏さんに暴力を振るわれてたみたいで...
〇 : だからあざがあったんですね
? : はい...
〇 : とりあえずコーヒー淹れてきますね
? : ありがとうございます...
コーヒーを淹れ2人で話を聞いていたら
店 : ごめん2人ともお店任せちゃって
咲 : てんちょー!
店 : ところでその女性はどうしたんだい?
〇 : 実は、
さっき2人で聞いた話を店長にもした
〇 : ということがあったらしくて
店 : なるほどね。それは辛かったでしょう
? : はい...
店 : なにより無事に生きていられたことが1番大事ですから
〇 : 店長もたまには良いこと言えるんですね笑
店 : 馬鹿にされちゃ困るねー笑
すると店長の奥さんがやってきた
奥 : どうしたんみんな揃って
店 : 色々あってな。この2人が女性を救ってくれたんだよ
咲 : 救ったなんて、そんな
奥 : あらたまにはやるじゃない〇〇君
〇 : 俺だけ?咲月ちゃんは当たり前みたいな
奥 : 人柄が違うね笑
そんなこんなで会話していると
奥 : そうだあなた
? : はい...
奥 : うちで働かない?
? : え?
咲 : なにいってるんですか?笑
〇 : ついに壊れました?笑
奥 : 失敬ね。私は本気よ
店 : 確かに。うちも人手不足だったし、うちならそんな悪い男なんていないからな
〇 : 2人とも無理強いは良くないですよ
? : ...ます...
咲 : え?
? : やります。ここで働かせてください!
奥 : いいねー。私見る目あるかもしれない
〇 : 強要しただけでしょ笑
奥 : まぁいいわ。あなた名前はなんていうの?
? : 私、筒井あやめっていいます
奥 : そう。あやめちゃんね。よろしく
筒 : はい!よろしくお願いします
その女性は話すうちにどんどん元気を取り戻していって一緒にバイトをすることになった
続く
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?