暗殺者とファン 7話
遠 : "私のお家来ませんか?"
桐 : ...え?
遠 : 私のお家...来て欲しいな...って
電話越しに聞こえる推しの声
絶対にありえないはずの声に嬉しさと惑いが込み上げてくる
桐 : え、えっと〜
遠 : どう...ですかね...
電話越しでもわかる推しの柔らかい声
これも好きで推しになったといっても過言ではない
桐 : っ、わかりました
遠 : あっありがとうございます
桐 : えっと、じゃあ場所...教えてもらっていい...ですか?
遠 : あっはい。わかりました
家を出る時に"一応"道具を持っていく
遠藤さんに教えてもらった住所まで行く
桐 : こんな所に住んでるのか...
着いたのはとある普通のマンション
遠藤さんの部屋の前
桐 : ふぅー
大きい呼吸を一つ
ピンポーン
夜中、道路を走る車の音だけが聞こえる時間帯
一瞬の無音から聞こえてくる扉を開ける音
ガチャ
遠 : ...こんばんは...榊さん
扉を少し開き顔を覗かせながら話す遠藤さん
桐 : こんばんは...遠藤さん...
遠 : フフ笑
桐 : っ!
ノーメイクで微笑む推しに心を揺さぶられる
遠 : どうぞ中へ
桐 : ありがとうございます
遠 : ど、どうぞ...
桐 : お、お邪魔します...
人生初の女性の部屋
しかも推しの部屋
これは現実なのかと疑ってしまう
遠 : あっ飲み物入れますね。座っててもらっていいですよ
桐 : あっすみません。ありがとうございます
遠 : ...
桐 : ...
今
推しの家で
推しと
同じソファに座っています
俺はこんな状況でも
"いつか推しを殺さなければならない"
桐 : ...あの
遠 : なんですか?
桐 : なんで...呼んだんですか?
遠 : ...
遠 : 電話が...あんま好きじゃないんです...
桐 : ...なるほど...
変な理由だなとは思うが推しだから突っ込めない
お返しのように遠藤さんが口を開く
遠 : あの...
桐 : はい
遠 : なんで今日...いたんですか?
桐 : ...
桐 : ...
遠 : ...聞いちゃだめ...でした?
桐 : だめ...じゃないですけど...
桐 : 多分聞いたら...
遠 : ?
桐 : ...やばいかもしれないです...笑
遠 : ...ほう
桐 : あの...
遠 : はい?
桐 : 嫌じゃないんですか?
遠 : ...どういうことですか?
桐 : 一人の'ファン"と連絡先交換して、しかも家にまで呼ぶなんて。メディアにバレたら終わりじゃないですか
遠 : ...
遠 : 呼びたかった...じゃだめですか...?//
桐 : っ!
桐 : ...嬉しい...です
遠 : もう一つ...お願いがあるんですけど...
桐 : ?
遠 : これからも来てくれませんか?
続く
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