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【導かれし者たち 1】点滴とは

先生、メインガ1本足リナイノデ  処方シテイタダケマスカ?

側管カラ  痛ミ止メヲ落トシタノデ  処方ヲ  オ願イデキマスカ?


初日の挨拶後に、いきなりコレをお願いされた先生もいることでしょう。
ワタシ達が処方する薬は、『内服薬』と『注射薬』に分かれています。
今回のテーマは注射薬、点滴のお話です。


4月からの研修のため、補液や薬、当直や手技など、
みなさん色々な医学書に目を通していると思います。
ですので、薬の内容などの詳細は、そちらの図書におまかせします。

まずは処方するに当たり、点滴とはどういうモノなのか、をお話します。

点滴のオーダーでは、
『メイン』と『側管(そっかん)』と呼ばれるモノがあります。
(イラスト1 参照)


イラスト1  赤矢印:メイン、黄矢印:側管

メインルートとして使用するモノが、皆さんが勉強している輸液剤です。
そして側管からは、色々な薬剤(注射薬)を投与します。
(抗生剤、降圧剤や昇圧剤、鎮痛剤、鎮静剤など、たくさんあります)


注射薬は、『アンプル』『バイアル』『バッグ』と呼ぶ容器に入っており、
アンプル:1A(アンプル)、1筒(とう)、1管(かん)
バイアル:1V(バイアル)、1瓶(びん)
バッグ:1B(バッグ)、1袋(ふくろ)
という単位でワタシ達は呼んでいます。(イラスト2 参照)

イラスト2  左:アンプル、中央:バイアル、右:バッグ


病棟で渡される処方リストに『○○ 1A』と書いてあるのに、
電子カルテ上の処方では『○○ 1管』と表示されることがありますが、
同じコトなので大丈夫です。

『アンプル』
そのまま静脈内に投与する静脈注射(intravenous injection、i.v.)と、
生理食塩水(normal saline、NS)などに混注し、
側管から投与する方法があります。

『バッグ』
薬剤が、すでにバッグ内に投与可能な状態で入っているため、
そのまま繋ぎ、投与が可能です。

『バイアル』
ワタシ達の処方内容では、抗生剤が主だと思います。
大部分が生食100mlに溶解し、側管から投与します。


抗生剤を投与する場合、毎回シリンジを使って溶解し、
生食に戻して投与するのは手間がかかるため(コスト面は良いのですが)、
『生食溶解液キット100ml』という製品があります。(イラスト3 参照)

イラスト3 生食キット

コレは、必ず早い段階で病棟で確認して欲しいのですが、
頭頂部に針が付いている生食で、針にバイアルのゴム部を刺して溶解し、
そのままバッグから投与できる優れものです。
溶解作業がバッグで出来るため、時短になります。

ですので、抗生剤と溶解・投与する生理食塩水をオーダーする場合は、
生理食塩水を普通の『生理食塩水100ml』ではなく、
『生食溶解液キット 100ml』で処方するように気をつけてください。


『生理食塩水100ml』で処方した場合、注射筒で溶解し、
バッグに戻してから投与してくれるのは看護師さんになります。


【おまけ】
口頭でオーダーをお願いされるが、最初は謎に感じるモノたち

  • 5% Glu 1A (5%ブドウ糖液 1管) 『ゴ プロ ツッカー イットウ』

  • ECG(EKG) 『エーカーゲー』 、、、など


ドイツ語も混ざってくると、最初は何言われてるのかよく分かりませんが、
分かってしまえば、簡単です。
このような言葉は色々ありますが、少しずつ覚えていってくださいね。


大切な事は、薬剤の名前や作用機序などを全部覚えることは不可能です。
不可能と言うか、ありすぎて無理ですよね。


まずは何度も処方を依頼される薬剤から、徐々に勉強すれば大丈夫です。
辛くなるので、頭に詰め込みまくるスタイルはやめましょう。


先生方が臨床医として進むのであれば、
勉強は遅かれ早かれ、どこかでみんな一定のレベルを超えられます。
(各専門医試験で受験年代幅を越え、合格してないと将来キツいです)


最初の2年間は、必要と思った事を勉強する程度でも構わないと思います。
実際、患者さんは個々違うため、勉強した事が当てはまらない場合が多く、試行錯誤しながら治療し、レベルアップしていくものと考えています。


研修医時代に、何が何でもやって頂きたい事は『手技の経験』です。
コレは経験数で明らかに技術の差が出ます。
経験を積んだ(上手な)先生の雰囲気は、準備を見れば大体分かります。


ピンチの時に呼ぶ上級医も、猛者の風格が漂っているハズです。
そこに失敗する空気感はなく、ほぼほぼスパッと終わります。


以前も書きましたが、最初の2年間は温かく守られる期間なので、
是非その期間を自分の技術向上に使ってみてください。


勉強面は今後、ほぼみんなが同じレベルに到達すると思って大丈夫です!


2年間で素晴らしいラーニングカーブを描けるように、
手技の機会は積極的に参加することを心がけてみてくださいね!

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