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六本木のキース・ヘリング展へ行ってきた!#010

先日、六本木の森アーツセンターギャラリーで開催されていたキース・ヘリング展へ行ってきました。
今日は、キース・ヘリング展についてのnoteを書こうと思います。


キース・ヘリングってどんな人?

キース・ヘリングは、1980年代のアメリカ美術を代表するアーティストです。
キースヘリングは、80年代初頭にニューヨークの地下鉄で、黒い紙が貼られた使用されていない広告板を使ったサブウェイドローイングというグラフィティ・アートを始めました。

サブウェイドローイング

こちらはサブウェイ・ドローイングの作品の1つで、巨大なコンピューターに人間が飲み込まれる姿をコミカルに描いています。
このサブウェイ・ドローイングが完成した頃に、Appleのコンピューターが発売されたと思います。
コンピューターを操るはずの人間が、コンピューターに人間が操られているようにも見えます。
このようにキース・ヘリングのサブウェイ・ドローイングは、コミカルかつ風刺的にアメリカ社会問題を描き、地下鉄の通勤客の間で評判となります。

地下鉄から世界へ

サブウェイドローイングで有名になったキース・ヘリングは、次々と展覧会が開催され、国際的にも高く評価されました。
ニューヨークのタイムズスクエアのビルボードのアニメーションや舞台デザイン、キース・ヘリングのグッズを販売するポップショップ(ニューヨーク ソーホー)をオープンするなど、制作活動は多岐に及びます。

こちらは、舞台「スウィート・サタデー・ナイト」のための舞台セットで、縦3m 65cm×横6m10cmの作品です。

舞台「スウィート・サタデー・ナイト」のための舞台セット

ニューヨークの芸術劇場「ブルックリン・アカデミー・オブ・ミュージック」で行われたダンス・パフォーマンスの舞台背景として制作されてました。
「スウィート・サタデー・ナイト」は、1985年に上演された黒人のストリートダンスと、社交ダンスの誕生300周年を記念したパフォーマンスでした。
大きな画面いっぱいに描かれている絵にパワーをもらいます。

社会問題に敏感だったキース・ヘリング

キース・ヘリングが活躍した1980年台のニューヨークは、景気の低迷、人種差別、エイズ感染の拡大などの様々な社会問題を抱えていました。
キース・ヘリングは、エイズ予防啓発や反アパルトヘイト、アフリカ緊急救援基金、核軍縮など数多くのポスターを手がけており、ポスターを通して多くの人々へ問題提起を行ったと言われています。

当時のアメリカでは、エイズ感染が拡大していたのですが、アメリカ政府はエイズに対して沈黙を続けていました。
そこで、キース・ヘリングは自らのエイズ感染を公表し、作品を通してエイズ感染に関する啓蒙活動を行いました。
こちらの作品は「沈黙は死」という作品です。

「沈黙は死」

この作品のタイトル名「沈黙は死」は、エイズ予防啓発運動団体ACT UPが製作したポスターから引用されました。
この作品の真ん中の三角形は、ナチスの強制収容所で同性愛者の男性につけられたピンクの逆三角形のバッジがモチーフになっています。
ピンクの逆三角形を逆さにすることで、同性愛差別に対する偏見への抵抗を表現したと言われています。
三角形の背景にの人々が、目、口、耳を塞いでいるのは、「エイズを見ない、エイズを言わない、エイズを聞かない」大衆や政府のことを表現していると思います。
エイズへの偏見で命を落とした人々への追悼への想いを感じました。
この作品を発表後、アメリカではエイズの注目度が高まり、アメリカ政府もエイズ感染の対策に動き出したと言われています。

エイズで亡くなるまで

1988年にエイズ感染が判明してから1990年に31歳で亡くなるまで、キース・ヘリングは製作活動に没頭します。
こちらは、キース・ヘリングが亡くなった年に出版した版画作品となります。

イコンズ

真ん中の光り輝く赤ん坊は、キース・ヘリングのトレード・マークのひとつだと言われています。
キース・ヘリングは、赤ん坊こそが人間の完璧な姿で、社会の色に染まらず純粋無垢で、未来への希望の象徴であると思っていたそうです。

キース・ヘリング展で感じたこと

キース・ヘリング展を通して、キース・ヘリングの人生を学ぶことができました。
キース・ヘリングは「LGBTQ+」で社会のマイノリティでした。
きっと、みんなと違う自分にたくさん悩み、苦しんだのだろうと思います。
そんな彼だから、黒人などのマイノリティの苦しみに寄り添い、大衆に対して社会問題の提起を積極的に行ったと思います。
彼の活動に多くの人が勇気づけられ、キース・ヘリングの「アートはみんなのため」になったと信じています。

彼は31歳という短い人生を全力で駆け抜けたと思います。
キース・ヘリングが亡くなってから30年以上が経過しましたが、今も多くの人々の心に響く作品を残しています。

東京展は閉幕してしまいましたが、神戸、福岡、名古屋、静岡、水戸で巡回展を行うそうです。
神戸展は2024年4月27日〜6月23日まで神戸県立美術館、福岡展は2024年7月13日〜9月13日まで福岡県立美術館で開催予定です。
ご興味のある方は、是非、巡回展へ足を運んでください!


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