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この国の縮図 障害者グループホーム 2


隣町のグループホームに引っ越し。

家族は内科、精神科への紹介状と病院の予約はもちろん、荷物や役所の手続きにおわれ何とか新しい環境が整いました。

一軒家にK君含め5人の入居者、食事の準備をしてくれる世話人、毎日声かけして体調や問題がないかを確認してくれる管理者。

自転車で通える距離の病院も見つかり、更には今後の事も考え作業所での仕事も決まりました。

しかし、暫く経つと家族の元へ管理者の方から連絡が入ります。

「K君が暴れて警察を呼びました!」

どうやら他の入居者の方と些細なことで口論となりグループホームの物を壊してしまったみたいでした。

慌てて両親が連絡をとり事情を聴いて相手方に謝罪、また管理者や世話人の方にも迷惑をかけてしまったので謝罪。

警察はすぐ帰りましたが新しい環境に適応する事はK君にとってはかなりのストレスがかかり八当たりのような形で自分自身を表現しているように僕にはみえました。

その後暫くはグループホームでの暮らしを送っていましたが作業所での仕事は長続きする事もなく、行ったり行かなかったり・・・何かと理由を付けて遅刻したり早退したり診察日以外に病院に行ったり。

家族はとにかく話し合いK君に働きかけますが毎日行きはじめてもやはり10日くらい経てばまた遅行・早退・休みが増えていきます。

個人的には実はこれも想定内と言えば想定内でした、障害者も健常者も同じで一人一人に向き不向きはあります。

K君は協調性をもち歩幅を合わせる事を有する工場での作業は苦手、精神疾患を患う前も割と一人での作業の多いドライバー業をしていました。

苦手な工場での作業を次へのステップとするのは違う気もしましたが、何しろ選びしろがないので勧められた作業所へ行きました。

暫くすると実姉である嫁さんのところにK君から電話が度々鳴るようになります。

どうやら同じ利用者で隣の部屋の方の独り言や奇声・日常的な言動に苦しめられていて眠れないそうです。

この時期くらいにK君が頼りにしていた管理者と世話人がグループホームを退職していきました。

家族とのパイプ役になって頂いていた方達だったのでこの退職は残念でしたし、言うまでもなく雲行きは怪しくなっていきました。

他の利用者の方も障害の度合いは違えど障害者であります、K君は隣の部屋の方の独り言や夜中に壁を叩く音・たまに発せられる奇声が気になりナーバスになっていきます。

隣の部屋の方は暴言も吐く方でK君に対して普段から色々と言っていたみたいでK君は何で言われるのかも理解出来ずストレスを溜めていく一方でした。

「おまえはブスでキモイから」

と、言われたりご飯を利用者皆んなで食べてる時にも

「お前みたいな不細工には抱かれたくねぇわ」

と、気分が悪くなるような意味の無い事を言われ、たまらず部屋で1人で食べた事もあったようです。

以前は世話人や管理者が異変に気付いたり毎日のように体調や、調子の善し悪しや変化を尋ねてくれたりしていましたが人が変わってしまった事でバランスは簡単に崩れていくものです。

少なくとも僕はそう感じていました。


続く







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