『アボカドの種』雑感 九首


それぞれの金色詠めば懐古趣味
    あなたは晶子私は八一

時を経て甘さのわけも変はりけり
    水蜜桃と福島の桃

言の葉はつむがれ続け天に舞ふ
    弟上娘子の想ふ火の穂も

君もまた同じ病か
   点滴の針の感触それぞれに詠む

同年代二人に一人の確率の
    独りになりて有名無名

シャルドネも熟成せねば旨からず
    グラス回せば涙が語る

アボカドの果肉のごとき文節よ
   嗚呼もどかしきわが文語体

アボカドの種の形にまろまりぬ
   寒き夜半読む歌集の栞

大津波警報! 逃げてください! 
 連呼する電波に重なる君の「つむぐ」が

俵万智七番目の歌集、[アボカドの種]から得た雑感を歌にしてみました。
まだまだ歌にしてみたい作品がありますが、
とりあえずマセラシオン.カルホニック(Macération carbonique)的な九首を、。
どの歌も日常に寄り添うように柔らかく汎用性のある言葉で綴られ、共感しましたが一番ガツン❗と来たのは「あとがき」でした。
『言葉から言葉をつむぐのはA I にだってできるだろう。』 その『たとえば』に思い切り重さを感じてしました。仮にA I が歌を詠むことができるるとしても他に歌を詠むのは我々人間だけですから。

『アボカドの種』雑感 九首


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