中国株には強気になれるか

参考:WSJ 中国の経済再開に賭けた投資資金が流入

米国上空に侵入した中国の気球が撃墜されたことで、米中の対立が再び強まっている。しかし、経済面においては金融、実業ともに中国のゼロコロナ解除への期待が強まっており、さながら米中は政冷経熱の状況にある。

中国の代表的な上場企業であるテンセント、アリババは昨年10月の安値から6割上昇しており、また中国株に投資する米国のミューチュアルファンドとETFには、以下の通り年初から資金流入が続いている。

出所:WSJ

今後期待されているのは、欧米が21年に経験したような厳しいパンデミック政策からの反動減とリベンジ消費の盛り上がりであり、かつ緩和された不動産規制による住宅需要の再燃であろう。
また中国はロシアから安い燃料を輸入することができるため、エネルギーコストのインフレが限定的であることも中国への賭けを後押しする要因となっている。

一方で、半導体規制や気球問題の飛び火、そして中国共産党から経済通の面々が消えたことによる影響が反対材料となっている。財産権の保障はイノベーションには不可欠であるため、共産主義への回帰は今後確実にマイナスに働くだろう。

投資家はやや強気。短期筋ならば勝負する場面であり、長期筋は静観か

投資には常に強気材料と弱気材料が存在しており、市場がどちらに傾くかは投資家の熱量次第である。では、今の熱量はどのくらいなのだろうか?
筆者が参考にしているのはセントルイス連銀のハイイールド債のスプレッドであるが、このスプレッドは昨年末のゼロコロナ解除から急速に低下しており、21年後半から22年末まで弱気になっていた投資家がうって変わって急に強気になっていることを示唆している。
そして、その水準は21年初頭の強気水準から、1%ほど弱気な位置にある。

つまり、短期筋ならばここからの更なる強気相場を期待するところであるが、長期目線ではアップサイドよりダウンサイドの方が大きい。筆者はアジアETFを保有しているが、長期筋としてはこのイールド差が8%以上あることが望ましい。長期筋に属する筆者としては、利益確定をいつ行うかを思案する局面にある。

出所:セントルイス連銀

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