リコーダーの思い出が強すぎて特別な作品になった映画ドラえもん地球交響曲
藤子・F・不二雄生誕90周年記念作品、ドラえもんのび太の地球交響曲を観てきました。
春休み中に公開開始していたけれど、たぬきちのシフトや諸々の予定との調整がつかず、新学期にまたいでしまった。
ちょうど1年前のnoteにも当時のドラえもんの映画「空の理想郷」を観た感想を綴っている。
2019年の「月面探査記」以来毎年ドラえもん映画を劇場で観ている我が家の評価については(個人の感想です)
息子こだぬき
1位「月面探査記」
2位「新恐竜」
3位「理想郷」
4位「宇宙小戦争」
5位「交響曲」
娘こだぬき
1位「交響曲」
2位「月面探査記」
3位「新恐竜」
4位「理想郷」
5位「宇宙小戦争」
園長(こだぬきずの父)
1位「理想郷」
2位「月面探査記」
3位「新恐竜」
4位「宇宙小戦争」
5位「交響曲」
そして私たぬきちは
1位「月面探査記」
2位「理想郷」
3位「交響曲」
4位「宇宙小戦争」
5位「新恐竜」
「月面探査記」が4人とも高評価で、今回の交響曲については、意見が別れた。
娘が交響曲の評価が高かったのは「音楽」だからという理由だったので、ストーリーは度外視かという印象。
「音楽」には、感動に直結する特別な力がある。その「音楽」をメインテーマに置いた映画なのだから、評価は高くなりそうだ。
だが、その武器が通用しなかった息子と園長からすれば、「月面探査記」と似たプロットであり、星の滅亡の悲哀とのび太との友情がより丁寧に描かれていた「月面探査記」と比較した結果、評価が下がったようだった。(個人の感想です)
映画館で、鑑賞中の子どもたちの様子を見ていると、娘は演奏のシーンでは身体を揺らして楽しそうだったし、周りでも、手拍子をとったり、全身でリズムを取っている子を見かけたので、
((̵̵́ ̆͒͟˚̩̭ ̆͒)̵̵̀)⸝o̗「鑑賞中のみんなも一緒に歌おう!」とか、
((̵̵́ ̆͒͟˚̩̭ ̆͒)̵̵̀)⸝o̗「手拍子で一緒にリズムを取ろう!」とか、
普通の映画のマナーを超えた楽しみ方が推奨される仕掛けがあればもっと楽しめたかな?なんて思ったり。(たぬきの感想です)
一方のたぬきちは、息子、園長同様のシビアな印象をもったものの、たぬきちの経験が重なり、心が大きく動かされていた。
それが「リコーダー」
小学校高学年の音楽で登場する「リコーダー」、この楽器は低学年から登場する「鍵盤ハーモニカ」に比べ、うんと実力に差が出るのではないだろうか。
息を吹き出し、正しい鍵盤を押せば正しい音色が鳴る鍵盤ハーモニカと違い、正しい穴の位置を押さえても、正しい音色を奏でることができない。
このYouTubeのように、そのリコーダーが出す奇っ怪な音を楽しめれば、この上なく楽しい楽器ではあるが、学校の音楽の時間はそうではない。況や発表会をや。
昨年、4年生だった息子こだぬきはイライラしていた。日に日に募るイライラにたぬきちのイライラも募る。
わけを言えと詰め寄ると、「音楽の時間が大嫌い」だと言う。
保育園の頃から、人前で歌を歌ったり、楽器を演奏することが苦手だったこだぬき。しかし、彼が歌を歌うことが嫌いでは無いことを母は知っている。それだから、「音楽」それ自体が嫌いであるはずがないと確信もしている。
聞けば、今年の学習発表会はリコーダーの演奏2曲と合唱1曲。そのリコーダー曲2曲が全く楽譜も分からず、演奏も一向にできるようにならないという。
楽譜を見て驚いた。正直たぬきちにもさっぱり分からない。だが、しかし望みはあった。課題曲は息子こだぬきが好きなMrs. GREEN APPLEの曲で「青と夏」だったから。(演奏会の季節は冬でなんでこの曲?と思ったが、、、)
YouTubeでリコーダーの青と夏を探すと、小学校の課題曲として演奏動画がいくつもあがっていた。
楽譜の音符には補助で音程自体は書き込まれているものの、楽譜のルールをたぬきちもわかっておらず、繰り返しや、飛ばすところなど、次にどこを見れば良いのかが分からない。
さらにこの曲は穴を半分塞いで音を出す必要がある高音やシャープが多いときたもんだ。
その頃の息子の指は、第1関節までの皮がめくれ指紋が無くなっていた。たぬきちはこの指を過去にも見たことがあった。
息子が保育園の年長時代に、運動会の練習でパラバルーンに挑戦していた時の指だ。指を酷使すると、彼の指は皮がめくれあがる。
彼はただ怠惰で演奏できないわけではない。楽譜もよく分からない上に、正しい音を出すことも難しい。そんな中で懸命に練習し続けていたはずだとボロボロの指が教えてくれる。
そんなリコーダー演奏に、辟易し、同時に絶望もしていたんじゃなかろうか。
楽譜から音程やリズム、流れを読み解くことができない我々たぬき親子は、YouTubeでの演奏動画から、音程とリズムを覚えることにした。
まずは、動画を繰り返し見て、リコーダーなしで音程とリズムを覚えた。
次に難しい指運びのパートを何度も繰り返して練習した。その甲斐あって、元々好きなアーティストの曲でもあるので、できるパートが増える度に、本人も気持ちがのってきた。
それでもやはり最後まで課題は残った。穴を半分塞いで出す、高温や半音で正しい音程を出すことだ。
何回かに1回は成功するようにはなったが、まぐれでできる程度の成功率であった。
どんなに一生懸命やっても、ぷぴいぃぃぃぃやら、ぴよーーーーーーやらと奇っ怪な音が鳴り響く。
たぬきちは、それでもいいじゃないかと息子を励ましたが、そうは言っても合奏で1人でもそんな奇っ怪な音を出せば、目立つし台無し感は否めない。
実際に音楽の練習時間でも、注意されているに違いない。息子に限らず、上手く演奏できない子達にとって、どんなに大変な試練だろうかと思いやられた。
演奏会当日は、たぬきちは仕事で参加出来ず、ビデオ録画を帰宅後に視聴し、よく頑張ったなと心の底から思ったが、同時にこの課題が果たして正しかったのかとモヤモヤは残ったのだった。
今作中で、のび太が直面していた試練は、まさにたぬきちの現実世界でも繰り広げられた内容であり、当時の思いがまざまざと蘇り、心が締め付けられた。
ここからネタバレを含みますので、ご視聴予定の方は、ご視聴後戻ってきてくださいm(_ _)m
思うように演奏できないのび太に、ジャイアン、スネ夫のみならず、ドラえもんでさえ、のび太の怠惰だと攻めこそすれ助けもしない。
そうじゃない。リコーダーって難しいんだ。たぬきちも心が沈む。
そして極めつけのシーンが訪れた。上手く演奏できないまま、それでも演奏を続けるのび太に、演奏に加わるなと制するスネ夫とジャイアン。
いつもなら、すごすごと従うのび太も映画では勇気を振り絞り自分の意見を主張する。
「僕だって演奏したい」
これはリコーダーに手こずっている全国の小学生の思いなんじゃない?
上手く吹けたら、楽しいに違いない。一緒に演奏して曲を完成させた時には、特別な感動がある。そんなこと分かってる。
でも実際は、音楽の授業だけでは、サポートしきれない、向き不向きで難しかったりして、奇っ怪な音を出すことを恐れている子がたくさんいるんじゃないかって。
本当は、学校の授業も、発表会も、どんなに奇っ怪な音を出そうが、調子っぱずれな音が交じろうが、クラスで挑戦した。それが楽しかった。そういう経験であって欲しいと思う。
我が家では、親子でこの課題になんとか挑戦したが、自分の思いを伝えられなかったり、サポートを得られない子どもたちもいるんじゃないか。
そんな風に思っていたたぬきちの当時のモヤモヤが蘇って、涙を抑えられなかった。
リコーダーって難しくないですか?私もむちゃくちゃ苦手でした。
そういうご経験のある方にはどハマりする映画かもしれません、、、
今回は珍しく3000字を超えました。最後までお読み頂きありがとうございました。
Vaundyさんのちょっと懐かしい印象を醸し出す歌声もエンディングソングにピッタリです。
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