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いってらっしゃいおばさんが「おはよう」と言われた日

毎度毎度、意味の分からないいタイトルをつけている。「ザ・読まれるタイトル」とは程遠いんだろうなと思いつつ、集約した結果がこうなので仕方ない。

さて、この「いってらっしゃいおばさん」って何やねん。どついたろか。とはさすがに思っておられる血気盛んな方はいらっしゃらないかなとは存じますが、これはたぬきちが朝、家の前を登校する小学生に「いってらっしゃい」と声掛けすることをルーティンにしており、それで自分をそう呼んでみたということ。

わざわざ執拗に「いってらっしゃい」を言うためにやってると言えばそうだが、こだぬきずが登校するので、それの見送りの延長でやっているわけで。

我が校区では、市内で3箇所しか実行していない「集団登校」をしている。今から3年半ほど前、息子こだぬきがピカピカの小学1年生になった時、初めて「集団登校」の実態を知った。

PTAで毎年1年任期の見守り委員を決め、年度始めや夏休み、冬休みの長期休み明けの数日は、その集団登校を見守るという役割があり、たぬきちは一昨年に経験済み。

で、役員としての役割はその程度(見えている範囲では。見えない仕事はもっとある)で、実質は高学年から選出される班長と副班長が、決まった時間に、班の児童を小学校まで引率している。

息子こだぬきが1年生の時、集合場所には、ちょうどご自身の子どもさんを駅まで送っていった方の車が戻って来る時間で、狭い道でたくさん集まった子どもと車の兼ね合いが難しいということがあった。

そのためその近隣の方が、小学校に、「子どもが道で暴れて危ないから、集合場所を変えろ」と苦情が入り、集合場所が変わったことがあった。

たぬきちは、当時役員でないにも関わらず行ける日は毎日!集合場所に行っていたので、暴れているような事実はないのは知っていたが、自身に小学生のお子さんがいない方からすれば、たった5分でも子どもが集まっているのは迷惑なんだろうと理解はした。

また他には、幹線道路をまたいで登校する地域の子らの中に、歩道橋の階段で低学年の子が転倒、落下し、高学年の子らがおんぶしたり、支えたりする光景をその年はなんと3回も目撃した!なんてこともあった。

役員をしている方を通じてお伝えし、しばらくして府の担当課により歩道橋の滑り止め工事が実施された。たぬきちの告げ口が功を奏したのか関係ないのかは分からないが。

そんなこんなで、正直、子どもらを集めて子どもらだけで登校させるこの仕組みに諸手を挙げて賛成しているわけでなく、かと言って、保護者に見守れ!!などと一方的に意見するのも違うかなということで、朝、こだぬきずの登校に合わせて、玄関先に出て、見守り兼ねて「いってらっしゃい」というようにしている。気づけば4年目に突入していた。

できる範囲で自分の信念としてやってはいるが、下を向いてこちらを見ないようにしている子どもらにとっては「気持ち悪い」とか「鬱陶しい」存在かなとも思っている。

そして、子どもらにも色んな子がいるわけで、同じ班の中に、息子こだぬきの2つ年上の女の子がいるのだが、彼女は今年6年生で、集団登校最後の年。彼女に最初に出会ったのは3年生の時、集団登校に間に合わない日も多く、繊細そうな物静かな印象だった。

あれは彼女が4年生の頃だったか?こんなことがあった。珍しく早く集合場所に来た彼女が「待つのは足が痛いから、もう学校に行ってもいい?」ときたぬきちに話しかけてきた。当時は、この集団登校は任意なのか義務?なのか分からなかったので、本人には、「一応みんなで行こうね」と声をかけ、念の為役員に聞いたところ、学校からは「必ず集団登校でとお願いしておる」との回答があった。

正直、「集団登校」という仕組みにいいとも悪いとも判断できないので、自分のペースで学校に行くことも自由だと内心思っている。過去には朝、持病の頭痛と戦いながらも班長を担ってくれていた子もいて、本当に正しいのかは分からない。事実、歪みもあるようで、実態調査としてPTAから昨日アンケートが配布された。

昨年度から彼女は副班長になった。副班長は、班の最後尾について、低学年など歩みの遅い者にも注意を払う役割がある。しかし、相変わらず彼女が集団登校に間に合うのは、年に何回あるかなという程度。

今朝も「いってらっしゃい」おばさんをやって、もう子どもの姿もないので、道路の方は向かず自分の家の玄関周りをほうきではいていたところ、背後から「おはようございます」と、か細いながらもはっきりとした少女の声が聞こえた。

振り返ると、例の彼女が立っている。繊細な彼女が6年生になって、近所の人に自分から挨拶する子になったんだと知り、勝手に成長を感じて嬉しかった。そして、子どもたちの方からたぬきちに挨拶されたのは、4年間で始めてのことだった。

「いってらっしゃい」

その時、そういえばたぬきちが、こうやって見守ってるのは、万が一子どもを狙っている「誰か」がいた時に、この地域には気にしている人間がいると牽制するためだったと、当初の目的を思い出した。

そうだった!子どもらにとって気持ち悪かろうが、鬱陶しがられようが、子どもが傷つけられないようにやってたんだと思い出し、目的を思い出せてよかったと思った。

文中にあった子どもを傷つける者への牽制について、これは以前元警察官の人の講演で、子どもに対して恋愛感情を抱く人が、好きな子どもができると毎日会いに行き、その行動パターンを熟知していく。その際に、地域の人が、「あの人いつもいるな」などと認識することは、それらの人の行動を牽制できると聞いたからだ。いつもその見えない敵に牽制している謎の「いってらっしゃい」おばさんのお話でした。

イラストテーマ:おはよう!スパンク

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