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中学校教師 #51 中3数学 1年間指導を振り返る

4月から中学校で勤務しています。
いずれは小学校に戻ることを考え、この経験を記録に残そうと思います。
異動の経緯や考えは下記参照


中3数学 1年間の指導の振り返り

中学3年生の数学は1週間あたり4時間の授業です。
私は今年度3クラスを担当しました。
受験勉強に向けて学習にも熱が入る1年間。
それと同時に、これまで感じていた数学への苦手意識がさらに強まる可能性もある1年間。
そんなことを意識しました。
8つの章について、きちんと言語化して振り返ります。

①どのような挑戦をしたのか
②成果
③課題
④来年度に向けて

この4点を意識してまとめます。

1章 式の計算

①どのような挑戦をしたのか
中学校教師としての初めての数学の授業は3年生のあるクラスでした。お互い、緊張していたように振り返ります。もっと声出して、元気出してスタートしても良かったな…
いかに生徒に考えさせるかに力を入れて授業の準備をしていました。

カレンダーの実践は面白かったです。発展的に思考する生徒の姿も見られました。

②成果
生徒が考える時間を確保できるような授業の展開を意識できました。また、カレンダーの実践では、身近な事柄を数学的に思考することができて、盛り上がる授業でした。
③課題
私自身の不安さが露呈していました。1時間の学びを完結させようとする気持ちが強く、教科書通りに進めようとしました。生徒の思考に揺さぶりをかける仕掛けは少なかったです。また、この章の学びは平方根、2次方程式にもつながるので、問題演習の量や質に課題が残ります。
④来年度に向けて
3月の学ぶ姿をイメージして4月から授業実践をする必要があると思いました。「基本は定着させる」「生徒が主体的に学ぶ」「ICTの有効活用」この3点について来年度は改善させたいです。


2章 平方根

①どのような挑戦をしたのか
前半については、かなり講義型の授業が多かったです。数の世界が広がることについて、丁寧に説明しようとしていました。また、後半(平方根の計算)については、練習問題を多く扱うようにしました。文字式との類似点を意識できるように指導しました。応用については、コピー用紙のサイズの関係や黄金比について簡単に扱っただけでした。
②成果
正直、これといった成果を振り返ることができません。大きく仕掛けることができず、守りに入るような指導だったと思います。かなり反省です。
③課題
1時間ずつの学びはきちんと理解できているように感じていました。しかし、応用問題を考える歳に、平方根の学習を活かす姿が見られなかったことは指導に問題があると思います。
④来年度に向けて
生徒主体の学びを引き出すような仕掛けをしたいです。平方根という概念を生徒が気づき、言語化していくこと。平方根の計算についても、なぜそのように計算するか生徒が説明するような時間を多く確保できるようにしたいです。


3章 2次方程式

①どのような挑戦をしたのか
平方根と同様に、章の前半は講義型の授業がかなり多かったです。後半、2次方程式の応用の場面では、問題を用意して生徒が自らのペースで学習を進めるような設定にしました。「個別最適な学び」「自由進度学習」を意識していたのだと思います。しかし、短期的な仕掛けではそれなりな変化しか見られず、学級全体の学びが深まったとは言えない状況です
②成果
1章:式と計算の学び、2章:平方根の学びがきちんと理解できている生徒は、かなりスムーズに学習できていました。また、応用問題では自分のペースで進めることができることに前向きな反応をしている生徒の姿が印象に残りました。
③課題
1・2章の学びが十分でなかったこと、章全体の学びをイメージして単元設定をしなかったことが反省点です。これまでの学びを生かして、発展的な問題を解決できる点がこの章の面白さだと思うので、その経験を積むことができるような仕掛けができるとよかったです。
また、章の導入として「握手の問題」を扱いました。(詳細は省略)
その授業の時点では解決できないのですが、2次方程式の学びを進めると解決できるようになります。一部の生徒が「何も学んでいない状態で、とりあえず解け!みたいな授業で嫌だった」というリアクションをしていました。(学習アンケートで判明)仕掛けの意図はあったのですが、十分に伝わっていなかったため、説明不足だった点も反省点です。
④来年度に向けて
1・2章の学びをつなげて単元構想をすること。生徒主体で解決、説明する時間を増やすようにしたいです。


4章 関数(2次関数)

①どのような挑戦をしたのか
この章ではタブレットの可能性に挑戦するような実践が多かったと思います。
・Microsoft Whiteboardを活用して、黒板のデジタル化
・Microsoft Formsを活用して、学習内容の定着度を点検
・Onenoteを活用して、デジタルノートに挑戦
・ミライシードでは、動く点によって変化する図形について、画面録画した動画をヒントツールとして活用

②成果
Whiteboardでは、自分の席に座っていながらも黒板に記入することができるので、生徒の授業への参加度が高まりました。また、Formsで回答することを求めたため、生徒は必死になって学習内容を振り返ろうとしました。Onenoteでは、紙のノートとは違う感覚を楽しみながら書き込んでいた姿が見られました。ミライシードで活用できるようにしたヒントカード、繰り返し見ていた生徒がいました。
これまでの指導概念を取っ払い、ICTに振り切ってみたときに何が見えるかという気持ちで挑戦できました。いろいろ見えました。
③課題
ICTはあくまで手段です。この章で何ができるようになるべきか、どんな力を高めたいかという点についての押さえが弱かったです。その後の学習に活かせたことは少ないように感じました。
④来年度に向けて
やはり目標を見失わないようにすることが重要です。ただ、WhiteboardやOnenoteについてはその機能が分かったことは成果とも言えるので、次の実践に活かせるチャンスは来るはずです。


5章 相似な図形

①どのような挑戦をしたのか
図形の学習になり、追究用紙という形のワークシートを配付して、確実に学習内容を理解させようとしました。その中でも、生徒が自ら図形の性質を生かして証明できるような授業を目指していました。

②成果
これまでに学習した図形の性質や定理を生かそうとする姿が見られました。また、ワークシートがあるからこそ、数学が得意でない生徒も粘り強く考えることができたり、ワークシートにかかれた図形に考えを書き込みながら交流したりする姿が見られました。成果と言えると思います。
③課題
守りに入るような授業実践でした。相似な図形の考え方は日常生活や社会の事象にも活かせることが多いので、このあたりを章の最後のまとめとして取り組むことができるようにしたかったです。
④来年度に向けて
ワークシートを使用しなくてもできる授業はあるのか。学力低位の生徒も教科書だけで学ぶことができるのか。身につけることができるのか。このあたりが気になっています。挑戦する価値はありそうです。


6章 円

①どのような挑戦をしたのか
相似な図形と同様に、ワークシートを活用して授業を進めました。円周角の定理については、生徒が自ら証明することができるように、教師の説明の部分を少なくするように挑戦しました。これは、章の後半まで引き続きできたと思っています。学習スタイルが全体に浸透し、3年生が受験に向けてかなり学習も力を入れるようになったので、生徒に学びを委ねても大丈夫な時間や内容が増えていったように感じます。
②成果
やはり、図形の学習については、ワークシートを用意することで、何に取り組んでいるかがわかりやすくなり、ワークシートに書き込んだ情報でのやり取りは、どんなことを思考しているかがわかるツールとしても有効でした。
③課題
円周角の定理を理解して、活用することができることは何につながるのか。この点について生徒がつかむことができずに次の章の学びに行ってしまったように感じます。
④来年度に向けて
章の前半で取り組んだように、生徒に学びを委ねる部分と、この章で身につけた力を活用する部分をバランスよく取り入れたような単元構成にしていきたいです。また、相似な図形でも言えますが、ワークシートを用意するかどうか、この点も吟味していきます。


7章 三平方の定理

①どのような挑戦をしたのか
おそらく、令和5年度の実践で一番自信が持てるものでした。生徒が主体的に学ぶための授業の方法について挑戦できました。
・具体物を用いたシンプルな導入
・基本的な内容は教えつつ、その後は生徒が自ら問題を選択して学ぶ
・Canvaのリンク機能を活用
・章を3つに分け、スモールステップで学びを進める
このあたりは他の学びにも応用できると思います。実践内容はnoteでもかなり発信できたと思います。

②成果
とにかく生徒が主体的に学んでいた。数学が得意な生徒は、どんどん問題を解き、友達に解説をしたり、さらに発展的な問題に挑戦したりしました。また、数学が苦手な生徒はCanvaやミライシードでヒントを得ながらじっくり考えることができました。レポートを提出するにあたり、タイムマネジメントの力も伸びていったように感じます。生徒自身の満足度も高かったことが成果と言えるはずです。
③課題
三平方の定理の応用では、ある一つの課題を提示して授業が始まることがありました。3年生が本当によくがんばっていたので、それぞれが学びに没頭している雰囲気になります。そんな授業では、最後に課題の答えを確認しないことがあります。(ま、全員正解できたし、いいか…)と思ってしまいます。提示した課題の答えの確認、ポイントのおさえについて、どのようにあるべきか考えていきます。教師が解説?生徒に説明してもらう?時間配分は?その時の生徒の学びを邪魔していないか?いろいろ考えることがあります。
④来年度に向けて
この方法が他の章の学びに生かせるか、他の学年でも生かせるかの挑戦をします。年度末にこのような姿を引き出すことを目指して、4月からの授業づくりを考えていきたいです。


8章 標本調査

①どのような挑戦をしたのか
受験期の3年生の学び。モチベーションのキープが難しかったです。無作為抽出については、操作をしたり、ICTを活用したりしました。最後に、辞書に載っている単語数を予測するという授業をしました。
適当にページを開き(無作為抽出)、単語数を調べます。その平均値を求めて、ページ数を掛ける。班ごと行いました。結構盛り上がりました。
②成果
辞書を開いて単語数を数えるような操作活動は、中3の生徒にとっても面白いものだったと思います。また、班対抗・クラス対抗にしたので盛り上がりました。
③課題
受験期だったこともあり、県外受験のために欠席したり、学年費で購入した入試対策のプリントをこなしたりする必要があり、十分な時数を確保できなかったように感じています。
④来年度に向けて
標本調査の学びが、日常生活や社会での事象にどのように生かすことができるか。これを実感できるような授業をしたいと思いました。今回は教科書の学びを中心にという感じでした。


三平方の単元での仕掛けは今年度の中でかなり自信のある実践です。
それは、これまでの経験や学習指導要領の考え方を活かすことができたからだと思っています。私たちがきちんと考え、仕掛けていけば生徒の学びは変わります。本気で学ぶことができます。だからこそ、できた部分を生かし、1年間全体の見通しを持って日々の授業実践ができるようにしたいです。

早くも来年度の授業づくりが楽しみです。


【「えがお」を大切に  焦らず、誠実に、前向きに】

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