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NvidiaとArm

8月のNvidia決算、先週のArmの上場があり、半導体業界に意識を向ける機会が何かと普段より多かったかもしれません。今回はまだまだ概要ですが、この2社はいったい何をしていて、何が凄いのかを説明できればと思います。

まずはNvidiaから。昨年秋にOpen AIがChatGPTを公開して以降、生成AIを中心にAIが市場、テック業界で最も注目を集める領域となっています。Nvidiaの株価は年初来約3倍で、8月の決算も年間2倍の売上、純利益は昨年度より9倍という、驚異的な数字を記録しました。これはAIの領域ではNvidiaが一強で、同社のチップがシェアの9割近くを持つからです。

なぜそこまでNvidiaは強いのか。もともとはNvidiaは高性能のゲーム等に用いられる、画像処理に強いGPUという半導体に強い会社でした。もちろん、インターネットの発展で、3D空間で没入感の大きい処理量が膨大なオンラインゲーム等の普及でNvidiaは恩恵を受けていたのですが、こうした特徴を持つGPUがAI領域に最適とわかってきたため、広く脚光を浴びている形です。

NvidiaGPUの歴史(会社説明資料より)

テック大手やスタートアップは生成AIを活用したサービスやモデルの改良をどんどん進め、そこへインフラを提供するためにクラウド各社はデータセンターの増強を進め、そこへNvidiaのチップが必要となっている状況です。こうして、年間170%成長で、Nvidiaの売上の約7割を占めるのがデータセンター向け製造で、AIブームの恩恵を直接的に受けている構図となります。

売上年間100%成長、純利益850%成長(約9倍)
売上$13Bのうち約7割の$10Bがデータセンター向け。年間171%の急成長。

イーロンマスクがGPUは麻薬より入手が難しいと言ったり、各社Nvidiaの半導体がボトルネックになると言ったり、置き換えは簡単と言ったり、まさにAI領域の話題の中心という状況です。

納入まで一年待ちと言われるH100

ではArmはどうか。このAIブームの波に乗れているのか。Armは9/14にナスダックに上場し、公開価格はレンジの上限、上場日の株価終値は公開価格の25%超と、成功の様相を見せています。孫さんや経営陣がArmはAI発展の中心的存在と主張してきて、市場の反応からも、その答えはyesかもしれません。

ここは中々見方がわかれるポイントで、目論見書を見るとArmのデータセンター向けのシェアは10%ほどで、成長も17%と大きい分野です。もちろん、データセンターの増強に際して使用するチップはNvidiaのものだけでなく、Armのものも組み合わされるのが一般的なので、10%と見ると、Nvidiaのシェア9割と比較すると、AIの恩恵はゼロとも言えないが大きいとも言えない中々読みづらい状況です。

(Arm F1より)

Armがもともと強いのは小型で省エネの半導体で、90年代以降の携帯電話、スマホの普及で大きく成長し、スマホ向けはシェア9割、一般のスマホには必ずArm設計のチップが10-15個入っていると言われます。それはそれでソフトバンクがスマホ時代を見越してArm買収を決断したのは凄いことなのですが、AIブームのど真ん中にいるかというと、評価が分かれるかもしれません。

(Arm講演資料より)

また、バリュエーションに関しても、NvidiaでPSR20xで、売上二倍成長という数字から妥当かもしれませんが、前年度よりゼロ成長のArmが25倍をつけているのは、同業の半導体企業が5-6倍というのを見ても、高いという人たちもいたのも一理あります。

(23年度の予測ベースで比較期間が近くなるように調整)

NvidiaやArmは株価をキープできるのでしょうか。インフレ率と金利が高止まりする中、M7とAIが牽引する相場がどうなるのか、またインスタカートやクラビヨのIPOが続きますがこの再開したIPO市場がこれからどうなっていくのか、まだまだ目が離せない熱い相場が続きそうです。

出典

Arm F1
https://www.sec.gov/Archives/edgar/data/1973239/000119312523216983/d393891df1.htm

Arm講演資料
https://logmi.jp/business/articles/322321

Nvidia企業サイト
https://nvidianews.nvidia.com/news/nvidia-announces-financial-results-for-second-quarter-fiscal-2024

(見出し画像はNYTより)


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