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MS処理をボーカルの空間系に使う考察

 こんにちは。ぼいどすです。本当は怖いMS処理について扱うので、間違いがありましたら超やさしくこっそり教えて下さい。不備な点を見つけてもいきなり「メガンテ+パルプンテ」はご遠慮願います。
 今回の処理は動画でやる方がわかりやすいのですけど、なかなか手をつけられず、その時のための台本としてもnoteに書きます。ただ、今回の方法は少なくとも日本語圏では見当たらなかったので、当たり前すぎるものか、もしくは何か重大な欠陥があるかもしれませんことを予めご了承ください。
 また、この方法は自分のMIXの問題点や物足りなさに散々悩んだ挙げ句にたどり着いたものなので、またごっそりやり方を変えるかもしれませんし、どの曲にも合うかと言うとそうでも無いと思います。


前提条件1 ボーカルもしくは主役の楽器にリバーブなどの空間系にたっぷりかけたい

 リバーブ、気持ちのいいものですのでたっぷりかけたくなりますが、副作用としてこもった音、濁った音になりますよね。その際に、ダッキングしてやるとボーカルは明瞭に、なおかつリバーブは歌の隙間にといいとこ取りのような結果を得られます。

 で、上記動画を作ってしばらくした後にふと思いました。これMS別に処理したらどうだろう?と。

前提条件2 リバーブをかけたいボーカルまたはメイン楽器は定位がはっきりしていること

 もうお気づきかもしれませんが、ボーカルなど定位が真ん中にある2MIXのMを下げると消えてしまいます(が、真ん中=Midではないし、LもしくはRに全振りしてもMidに入るけど詳細については今回は割愛)。ということは、リバーブ成分のMidを下げてやれば、そのソースであるボーカルなどとはぶつからないのではと思いました。
 ただし、これにも落とし穴があり、スピーカー一発のモノラルで聞かれたとき・・身近な例ではスマホのスピーカーで聞くとき・・左チャンネルと右チャンネルが合成された状態だと、Midを下げた分だけ(厳密にはそうでないけど)リバーブが聞こえなくなってしまいます。あれ?Sideは下げてなければ残るんじゃね?って思いそうですが、リバーブのSide成分、感覚的には左右に残っていそうなリバーブ成分まで消えてしまいます(SideはPANの両サイドではないので)。しかし、そこを逆手に取って、ステレオで聞かれてるときにはリバーブの広がり感を感じさせ、モノラルで聞かれているときはよりボーカルが強調されている、みたいな効果は狙えそうです。
 で、実際にリバーブのダッキング処理を、Mでは強めに減衰、Sでそこそこの減衰で試してみました。結果から言うと、悪くは無いけどかかる手間の割に得られるものが少ないと感じました。もちろん単純にリバーブ成分をダッキングしただけより繊細な音像を作れたとも思います。もっとも、いろいろ精密に詰めていったら結果は違うのかもしれませんが。

リバーブ成分に対する処理の選択肢は増えた

Midだけダッキング

 ラウドネスを欲張ったMIXするなら(これに対する是非はあるでしょうが)、リバーブ成分のMだけダッキングするのは有効そうだと思います。ギチギチに音が詰まっている状態で、ボーカルとぶつかり、濁らせているものは下げておきたい。が、先程のモノラル時のMid成分に気をつける必要はあると思います。普通にダッキングするよりも、ほんのりやるのがいいと思います。Midの音量って想像以上に変化する感じあるので。

Midを少し下げるだけ

 仮MIX・本番ともに使っています。リバーブのダッキングと併用することもあります。リバーブの設定を追い込めばいいのではとも思いそうですが、リバーブプラグインのパラメータで出せない音像に手を出せる利点があると思うので、MSの音量を調整できるプラグインを一つ差すだけで実現できる手軽さはあります。もっとも、リバーブ自体にMSの音量スライダーが付いてるとラクなのですが、そういうのは出てこないでしょう。

Airwindows EveryTrim Studio One単体でもMS処理できるけどプラグインからやると便利
まだ実戦で試してないがSnap Heap上でMidだけダッキングするパッチ
コンプレッサーとはまた違うものとして扱う注意は必要かも
内蔵のリバーブを使うもよし、リバーブのSendトラックに挿して任意のプラグインのダッキングもできそう

MidでEQ

 これはそこそこ見かけますが、私なら上記方法を選びます。EQするよりも音量を動かしたい。

ただしやるのなら最終段階ではモノ互換を確認しながらやってます

 確認できるプラグインはいろいろあると思います。私はbx_true_peakで、Midのみ、Sideのみの再生が出来ます。もっともSideのみのチェックは・・いるかな?

bx_limiter True Peak 左右それぞれ、Mid、Sideだけの再生ができる

Sideに手を入れない理由

 結論から先に言うと、素人が下手に手を入れてもいいことがない、あるいはそこまでやるならエンジニアさんの出番ではないか、と思っています。環境によって消えてしまいかねない音に対して労力は割きたくないなと。
 いくつかの曲をSideだけにして聞いてみるとわかるのですが、大体の曲は、悪く言えば残りカスみたいな音になります。話は逸れますが、Sideの音量を上げて迫力アップ、は残りカスを増やして、かさ増ししてるようなものだと思います。
 EQぐらいはとも思いそうですが、通常ははっきり聞こえてこない音にEQしたところで得られるものはそう多くは無いかもと。ぶっちゃけSideって名前がMidの真ん中と、それに対する両サイドっぽい呼び方が良くないのではないかと思っています。

実際にやってみた

 完成品からは、はっきりと「こういう効果だ」とは分かりにくいですが、メインボーカルのリバーブのダッキング量をMid、Side別に処理したものです。

 ダッキングしつつリバーブのMidだけ抑える。

 で、最後まで書いてみてふと気づいたのですが、リバーブのSideはダッキングで下手にイジる必要ないんじゃないかと思えてきました。Snap HeapでMidだけのダッキングが簡単にできるので、次回以降試してみたいと思います。

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