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【コロナと音楽〈前編〉】CDが売れなくなった理由

普段は「僕はボイストレーナーなんでアーティストじゃないですよ!」といいつつやはりロックヴォーカリストとの血が流れているのは否めませんYoshikiです。

ちなみにドラムは叩きません(笑)

今回からしばらく現在の音楽業界についての記事を書いてみようと思います!

コロナウイルスの影響で収入が減っている音楽家の方が想像以上に多いという事実を知り、僕自身も改めて向き合わねば、文字にして状況を整理せねばと思い立ちました、かなり真面目な内容の記事になりますので、ご覚悟を。


1. コロナショックと音楽業界


長く続くコロナ不況、ライブ、エンターテインメントの業界は大きな転換点を迎えていると言って間違いないありません。

今回からしばらく、音楽業界についての記事を書いてみようと思います。


国内では非常事態宣言が度重なり、多くのライブアーティスト、ライブイベントスタッフは働き方を変えざるを得ない状況に追い込まれ、閉店したライブハウスは数知れません。

新型コロナウイルス関連倒産数は全国的に1000社は優に超えており、一番閉店の多かった飲食系では、居酒屋を筆頭にカフェ・バー、カラオケ・スナックなども閉店や倒産が相次ぎ、それに次ぐ業界として実は「建設・工業」、「ホテル・旅館」はそのまた次、「アパレル・小売店」と続き、「食品卸」「食品小売」となっています。


ところでご存知でしょうか?


ライブハウスは「飲食店」です。

ライブハウスの多くは興行場ではなく、飲食店として営業許可を取得しており、飲食をしない客が多いと興行場とみなされて無許可営業になる恐れがあるため、飲食店としての建前のためにワンドリンク制を採用しているところが多い。 また、興行場として営業しているライブハウスも、多くのところで慣例としてワンドリンク制を採用している。
(Wikipediaから引用)

営業許可を取る段階でそうなっているのです。

このことからも察しがつくのではないでしょうか?

最も打撃を受けた業界は「音楽業界」であると。



2. 「CDの売れない時代」から「CDの売りようがない時代」へ。


ここまでは割と多くの方がご存知なのでは?と思います。ここからは話に現実感を出したいので、まずはアーティストの収入の仕組みついてざっくり触れておきましょう。

アーティストの収入源はレコード会社からの収入(アーティスト印税)、プロダクションからの収入(印税やコンサートのギャラ、メディアの出演料など)、音楽出版社からの著作権印税があります。

これではイメージがしづらいでしょうからもっとシンプルにわかり易く言い換えいましょう。

作品が売れなければお金にならないのです。

その「作品を売るための手段」の主流はこれまでCDだったわけですが、CDが売れないのは当たり前、それどころか売らない時代になっていくのではないかと、私は考えています。


リクープラインというのをご存知でしょうか?
売り上げが製作費用を越えるラインのことです。それを超えて初めて黒字になるわけです。いわゆる損益分岐点ですね。
(CDに例えると、CDの売り上げが製作費用を超えていないと赤字になるわけですし、越えれば黒字です。一般にCD制作費用は最低でも300万、あとはお金をかければかけるほど限りなくと言ったところでしょうか😅)

ここから先しばらくはこれを知った上で読み進めていただけたらと思います。


98年の最後のCDバブルでは、国内での音楽CDの生産金額が8㎝・12㎝の合計で約5879億円、レコードやカセットテープも含めると6000億円を超えており、ミリオンセラーの数はシングル20作、アルバム28作の計48作でした。

以降はレンタル・中古業界の隆盛、コピーCDの増加、インターネット、携帯に伴って着メロや着うたの配信、違法アップロードの蔓延、ウォークマンやiPodの普及に伴って激化するデジタル化などの影響を受け、毎年CDの売り上げは落ち続けて行っています。

次第にCDの売り方は「アーティストを売り込む目的」から「CDそのものを売り込む目的」に推移していき、特典や限定盤、チケット応募券の付録など付加価値によって購入を促すようになりました。
残酷ですが、このことは「音楽を聴くのには、別にCDでなくても良くなってしまった事実を認めている」とも受け取れます。

そしてとうとうコロナショックの影響を受け、2020年上半期のCD売り上げは30年ぶりにアナログレコードを下回ってしまったのです。

もはやCDの価値は過去最低まで落ち込んでしまったのです。


もうCDは売れません。

それどころか使われません。

CDショップは激減するでしょうし、超低価格の各種動画配信サービスの普及によりかつて隆盛を極めたレンタル店ですらCDの取り扱いは厳しくなっていくでしょう。
音楽配信業界ですら、ダウンロードよりもストリーミングの比率が高まっているのですから。


3. ストリーミングサービスの落とし穴


ストリーミングの普及はそもそも「アーティストの利益を増やすため」「海賊版を減らすため」「大きな利益はライブ、ツアー、商品から得られるため」を目的としているとされ、SpotifyやApple Musicは収益の70%以上を音楽レーベルに支払っていると言われています。

一見素晴らしいサービスですし、この仕組みの中で誰よりも得をしているのはリズなーであると言って間違い無いでしょう。


しかしここで思い出していただきたい。

まずは音楽家の収入源の話です。
直接的にアーティストに収益が入るわけではありません。レコード会社が規約に基づき、アーティストに収益を分配します。
しかも、ただでさえ「超低単価なのに」です。料金が安いということは利益がそれだけ薄いということなのです。


さらに、さっきのリクープラインの話を思い出しましょう。
CD制作にかかる費用として例に300万を上げましたが、CDプレス料はこの中でも大した割合を占めていません。

この場合、リクープラインはどうなってしまうのでしょうか??


わかり易く数字にしましょう。
Spotifyの公表データをもとに試算されたCD1枚が売れれば110円の利益が出るとした時、ダウンロードでは1曲16.6円の利益になり、ストリーミングでは1再生0.16円の利益になります。
データの引用元:NHKの「クローズアップ現代 配信ビジネスで問われる創作の価値」


あ結局聞かれなくては意味がないのです。

そしてその現実はCD以上に過酷です。
ストリーミングは100回聞かれて初めて1ダウンロードに匹敵するのです。

そして1ダウンロードはシングルCDに比べ大幅に安くなるので、やはりこれも数曲買われないことにはCDに追いつけません。

加えて、ダウンロードとストリーミングの比率は年々変化しており、日本レコード協会の公表している最新のデータでは配信サービスの中でストリーミングの割合が2017年46%→2018年54%→2019年66%と推移しています。


そして最後の決め手となったのがコロナ不況です。

先ほどストリーミングサービスの普及について「大きな利益はライブ、ツアー、商品から得られるため」と書きましたが、

現状はツアーはおろか、ライブもできない、接触もできない、グッズを売る機会も減った。レコーディングすら新しい様式を求められることもあるでしょう。

CDは売れない。それでいて配信の収益化は困難。

もう従来の方法での収益化は成り立たないと言って間違い無いでしょう。


これほどまでに利益は生まれづらくなった。


今回のまとめ

一番悔しいのは創作物の価値が低く見積もられすぎなことです。

言い換えて仕舞えば、楽曲の価値は下がってしまったのです。


なぜ楽曲の価値が下がってしまったのか。

これはまた別の記事で書いていきましょう。


ダークだなぁこの記事(笑)

ありがとうございました。また次回お会いしましょう!

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