【新日本プロレス】1998年②1.26〜3.24

①ファイティングスピリット'98  1.26〜2.15

猪木の引退発表後最初のシリーズ。
このシリーズの目玉はIWGP…ではなく、正規軍vs nwoの7番勝負です。

IWGPヘビー級王座戦もあるんですが、シリーズ中盤の札幌で凱旋したばかりの西村が挑戦。そのままシリーズは流れて、最終戦の日本武道館メインイベントの健介vsノートンが既に決まっているという。万が一にも西村が勝つ可能性が考慮されていない無慈悲なシリーズだったのです。
このあたり、現場監督である長州の西村に対する評がわかりますね。
そして、西村が長州を忌み嫌う理由も、こういった場面から読み取れるような気もします。

特にこの頃の、引退以降の長州をファンが「長州のコピーを量産しただけ」「同じような選手ばかりになった」と批判するような事も多かったですし、第三世代の選手は「あの頃は長州さん嫌いでしたね」と振り返る人が多いように思います。
ただ、権平さんの死亡事故や北朝鮮大会後の大赤字を経験している長州の立場で選手全体の安全や生活を守るために相当ピリピリしていたのは容易に想像できます。
そういった中で、西村のような自分の言う事を素直に聞けない性格の選手に団体の顔を任せるのは不安でしょうし、そう考えるとこの時の「自分の言う事を聞く選手に団体を任せよう」というのは無理もない選択だったような気がします。
…書いてて思いましたが、プロレスじゃなく普通にどの企業でも当然行き着く考えですねこれ。

脱線しましたが、ともかくこのIWGP戦は健介が危なげなく防衛。
その裏で、ジュニアヘビー級王座は大谷がライガー相手に防衛失敗。またもIWGPジュニアのベルトはライガーの元に戻りました。
挑戦者側に回った時のライガーの勝率は異常で、IWGP戦にライガーが挑戦してきた時点でほぼベルト移動は確定、という状況でした。
このときも、大谷待望のタイトルマッチでのライガー超えが期待されましたが叶わず…。
ここから、ライガーの長期政権がスタート。二桁防衛を目指す戦いが始まります。

そして、メインの日本武道館。新日本対nwoのシングル7連戦。

 中西学vs天山広吉
 西村修vs nwoスティング
 小島聡vsカート・ヘニング
 山崎一夫vs武藤敬司
 橋本真也vsビッグ・タイトン
 越中詩郎vs蝶野正洋
 佐々木健介vsスコット・ノートン

まず、nwo側が武藤や蝶野ではなく、ノートンを大将に持ってきたことで「本気で勝ちに来ている」と思わせたのと、越中がシレッと本体側にラインナップされている事、さらにシレッと超大物、カート・ヘニングがnwoとして参戦していることなど、見どころは沢山ありましたし、事実として試合はどれも好勝負でした。
ただ、いままで様々な仕掛けをしてきた新日本プロレスが、長らくnwo頼みになってしまっている事も少しずつファンが感じ始めており、そろそろマンネリを脱却しなければ行けない局面に来ていました。
ちなみに結果は正規軍が4勝3敗で勝利したものの、大将戦に当たる健介vsノートンでノートンがパワーボムで完全勝利。後味の悪いエンディングとなりました。

そして同日、異種格闘技戦で小川とフライが再戦。
ここでもフライが勝利。なおも暴行を加えるフライに対して猪木が登場して、あわや乱闘に。
…と、いいつつ、この日盛り上がったのは間違いなくこの場面。この期の及んで猪木の持つカリスマ性にどの選手も勝てていないというのも、当時抱えていた問題だったと言えるでしょう。

②ハイパーバトル'98 3.6〜3.24

この年のハイパーバトルは、4.4東京ドームに向けたいわば「ロードトゥ・INOKI FINAL」というシリーズ。
この頃になると
・猪木の引退試合の相手は、トーナメントで決める。それらの試合には小川、フライ、藤原らが出場する
・猪木の引退試合は古舘伊知郎アナが実況を担当する
・当日のセミファイナルは藤波辰爾が健介の持つIWGPヘビー級王座二挑戦する

といった大会の情報が次々解禁されて行きます。
藤波のIWGP戦に関しては、リアルタイムでプロレスを見ていたファンからすると「いまの藤波にドームでシングルタイトルに絡ませるなんて正気か?」って感じでしたが、これも「昔ゴールデンタイムだった頃みてたよ」という人を引き込むには良い話題でした。

このシリーズのビッグマッチでは、タイトルマッチが一本も無いのに猪木が正道会館の角田信朗選手と公開スパーリングを行うという発表で札止めとなりました。
つくづく猪木という名前の大きさ、そしてカードを今後なくすことへの不安をほのかに感じさせるようなシリーズでした。

そしてこのシリーズを終えて、いよいよその猪木引退試合となるわけですが、その話はまた次回。。。



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