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【新日本プロレス】1997年⑥ nwo武藤始動!

①nwoタイフーン 10.10〜10.31

文字通り、nwoが主役となるシリーズ。
リングもいつものブルーではなく黒を貴重としたマットカバーを使用して記念グッズも発売して徹底的にnwoをプロモーション。

このシリーズ中に平成維震軍の後藤達俊、小原道由がnwoへの寝返りを画策。維新軍のメンバーに反旗を翻します。
本家nwoであれば、来る者拒まずで有象無象を吸収していきますが。蝶野nwoジャパンは違います。二人に対して「俺たちは一流の集まりだ、お前らマイナーリーグは相手しねーぞオラ!」と拒絶する姿勢を見せます。
そんな事言われても、もう元の仲間には唾吐いちゃったしnwoに入れてもらわないと二人には行き場がありません。

何とかしがみついて『査定してやる』とばかりにとりあえずnwoに帯同することになる二人。それでも蝶野・武藤とは絡まず、このシリーズ中は天山やヒロ斎藤らとのタッグで試合をしていくことになります。

そして、まさしく『メジャーリーグ』の蝶野・武藤は健介・山崎の持つIWGPタッグ王座を奪取。
蝶野は「こんなベルトいらねえんだよオラ!」とベルトを置いて帰りますが、次期シリーズではベルトにガッチリ『nwo』と塗りたくって参戦。原型を留めないレベルでしたが、当時のフロント陣は誰も何も言わなかったんでしょうか 笑

そして、最終戦では蝶野がIWGPヘビー級王座に挑戦。新日本制圧のかかった一戦でしたが、ここは健介が大苦戦しつつもそれを阻止。健介が初防衛に成功しています。

閑話休題:PRIDE1  10.11

詳細はまた、別の機会に書くつもりですが…
新日本プロレスがnwoを使ったエンターテイメントに邁進しているちょうどこのタイミングで、日本最大のバーリートゥードの大会『PRIDE1』が開催されました。

メインイベントは高田延彦対ヒクソン・グレイシー。

PPVで生放送された当大会で、多くの方が初めて『マジの総合格闘技』を目にすることとなります。
いや、正直メインイベント以外の試合に注目していた人は、最初からかなりの"通"で、この試合を見ていた人の9割9部は高田延彦対ヒクソン・グレイシーの試合に注目していたでしょう。
当時『400戦無敗』というキャッチコピーばかりが浸透しており、どこの誰かもよくわからないヒクソン・グレイシー。
多くのプロレスファンが「UWFの中心人物だしそれなりの試合にはなるんだろ」と思っていた高田がまさになすすべなく敗れた事に衝撃を与えました。

この前年まで新日本プロレスと対抗戦をしていたUWFインター(この時点でキングダムという団体に変わってます)の大将のこの敗戦に、いよいよ新日本プロレスの対応に注目が集まって来ます。




②FINALPOWER HALL in 福岡ドーム 11.2

4大ドーム大会の最終戦。
どうやら満員となっていますが、この大会はなかなか凄いのです。
何がすごいって、タイトルマッチが休憩前のジュニア7冠だけ。
異種格闘技戦と長州の引退ロード、そして蝶野・武藤vs天龍・藤波の世代闘争でドームに挑みました(前シリーズ中のタイトルマッチを一つでもこっちに持ってくれば良かったのに…)

この異種格闘技戦では、第一戦からドン・フライが山崎一夫の耳にかじりついたり、疑惑のグローブで殴りつけたりと「これはPRIDEへのアンチテーゼなのか?」と思うような大胆な仕掛けを展開。

その他、橋本と小川がそれぞれ立ち技系の外国人選手と戦って一本勝ち。
しっかりとダウンされて見せ場を作る橋本はさすが異種格闘技戦なれしてるな…という印象ですが、とにかくPRIDEが大々的に放映されてるのにこれをやるのか、と思ったファンの方が多かったと思います。

他、ジュニア7冠戦は大谷が海外のライバル、ペガサスに勝利し防衛。
長州は健介とのシングルマッチで無事介錯。武藤・蝶野は天龍・藤波のダブルドラゴンに快勝。
いや、ほんとよくこのカードでドーム埋まったなと。

また、この興行の直前、WWFから「ジュニア7冠王座に含まれる『WWFライトヘビー級王座』は、現在のWWF正規のベルトではない」というクレームが入り、今後防衛戦では使えない事になってしまいました。
思えばすべてのベルトが、団体の代表ではなく『その時点でのチャンピオン』の意思でかけたものでしたから、こうなっても仕方が無い…というのと、WCWと業務提携してる新日本がこの王座群を管理しているのをWWFが良しとしないのは当然といえば当然。
これに懲りた新日本は、ジュニア6冠に…ではなく、IWGP以外のベルトを全て元の団体に返還することにしました。これにてジュニア8冠(7冠)の時代は終焉を迎えます。

③SGタッグリーグⅦ 11.18〜12.8

去年までと違って、来日外国人は3名だけ。
カードを見て分かる通り、この頃から第三世代が台頭してきています。
前年優勝の橋本が中西と組み、天山はnwoスティングを引っ張る立場で参戦。更に小島と安田のタッグと、去年までとは様相がかなり違っています。

とは言え、武藤・蝶野のインパクトがかなり強いため、どうしてもここに話題を持っていかれるわけですが…。

※出場選手
・佐々木健介&山崎一夫
・橋本真也&中西学
・藤波辰爾&木村健悟
・小島聡&安田忠夫
・武藤敬司&蝶野正洋
・天山広吉&nWoスティング
・後藤達俊&小原道由
・カオス&レイジ

維新軍からの参戦が一組も無いのが寂しいところ(一応、藤波・木村は維新軍…?)
リーグ中に、後藤・小原があんなに頑張って入ったnwoに半旗を翻します。
武藤、蝶野を襲って乱闘し、直接対決ではリング上で小原の背中にスプレーで『犬』と書かれてしまう屈辱の展開。
ここから、次の日の試合でそのスプレーがくっきり残ったまま、またまた蝶野組の試合に乱入するなど意地を見せたことで、二人のコンビが自然と「野良犬コンビ」「狂犬コンビ」などと故障されるようになりました。

というわけで、ここに及んでも、リーグの星取そのものよりもnwoのストーリーラインが話題の中心に話が進みます。

また、あまり語られることはないですが、公式戦以外の試合で健介と橋本がタッグを組んで試合をする機会があるなど、本隊側でも新たな動きを見せようとする雰囲気だけは見られました。
(ただ、どうしても健介と橋本は元々の正確からソリが合わないようで、本格的にタッグを組むような流れには、最後までならなかったのは残念…いざ組むとこれほど心強いタッグも無かったので)

リーグ戦は、武藤・蝶野が順当に上がって来たのと、健介・山崎組と橋本・中西組が並んだことで、最終戦で『決勝出場チーム決定戦』を行い、勝った橋本組が決勝に進出。
決勝でも、特に中西の奮闘が光りましたが最後はなんと橋本がギブアップ負けとなり、橋本の2連覇はならず。
対して蝶野は二度目の優勝、武藤に至っては3度目の優勝。
また、G1においても優勝経験のあるタッグとあって、二人のリーグ戦における安定感が際立つ結果となりました。
そして、先シリーズに続いて反体制であるnwoが主役となってしまうという、この時点での新日本の勢力図がそのまま結果として出ることに。

この後、選手会主催興行であるバトルクリスマスを経て、時代は激動の1998年に進みます。

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