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【いろいろな日本語 vol.12】オーストラリアの公立学校で使われている教科書の「て形」の解説まとめ

今回は、私が勤務している小学校で使用されている「Hai」と「iiTomo」という2つの教科書で、「て形」がどのように説明されいるか紹介したいと思います。

学校のカリキュラムや学校が使用している教科書によって「ます形」を基本に教えるのか「辞書形」を基本に教えるのかは異なります。どちらを基本としているかで、「て形」の教え方も異なります。私が勤務している学校では7年生から日本語の勉強が始まりますが、「ます形」を基本として教えていて、11年生になって初めて「辞書形」を学ぶそうです。なので今回は、「ます形」から「て形」にするときのことを書きたいと思います。

Hai

まず、「Hai」という教科書は、9年生が使用している教科書です。この教科書では、「て形」はさまざまな表現方法と一緒に使われる形であることを説明した後に、日本語の動詞の種類には3種類あるということを紹介しています。その後でそれぞれのグループの動詞を「ます形」から「て形」にするにはどのようにしたらいいかを「Magic formula」という言葉を使って以下のように説明しています。

グループ1の動詞
ステップ1:「ます」をとる
ステップ2:残ったひらがなの最後のひらがなをみて「Magic formula」を使って「て形」にする
※Magic formularは「いちりって、にびみんで、きいて、ぎいで、して」のこと

グループ2の動詞
ステップ1:「ます」をとる
ステップ2:「て」を足して「て形」にする

グループ3の動詞
「します」と「きます」は特別なので覚える

また、動詞のグループについてのもっと詳しい説明として、動詞がグループ1なのか2なのかを見分ける方法について以下のように説明しています。
グループ1は、絶対に「ます」の前に1つ以上のひらがながあり、「ます」のすぐ前のひらがなは「i」の音が入っている。(例:買います、聞きます、作ります、立ちます)それに対してグループ2は、「ます」の直前のひらがなが多くの場合「e」の音が入っている(例:見えます、食べます、覚えます)か、「ます」の前に一つだけしかひらがながない。(例:きます、います、見ます)というような説明がされています。

iiTomo

次に、10年生が使用している「iiTomo」という教科書を紹介します。この教科書では、「Understanding verb groups」という題のもと、それぞれのグループの動詞がいくつか書かれた表が挿入されています。そして以下のルールに従ったら動詞がどのグループに属しているかがわかるということが書かれています。そのルールというのは、以下の通りです。

グループ1の動詞
・「ます」の直前のひらがなは絶対に「i」の音である
・「ます」の前にはいつも1つ以上のひらがながある

グループ2の動詞
・「ます」の直前のひらがなはほとんどの場合「e」の音である。でも「できます」、「おきます」など少し例外があるのでそれらは覚える必要がある。
・このグループの動詞のいくつかは「ます」の前に1つしかひらがながない(見ます、ねます、着ます、いますなど)

グループ3の動詞
・このグループの代表的な動詞は「します」と「きます」

この教科書ではこの説明の後に、特別に変化するグループ1の動詞は、「〜います、〜ちます、〜ります」は「〜って」に変化するなどのように表になっています。そしてその説明の後、特別な変化をするグループ1の動詞とグループ2、3の動詞を含めた約25くらいの動詞の「ます形」と「て形」が表になっています。

9年生が使用している「Hai」と比べると、「ます形」から「て形」の作り方を細かく説明せずに表にすることで、学習者自身にルールを見つけ出してもらおうとしているのが伺えます。動詞の種類の説明はほぼ同じですね。


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