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▶建築レポ #63『旧山本清邸』

洋館巡りを始めてから「和洋折衷建築」や「擬洋風建築」なるものを知りました。

「和洋折衷建築」とは、近代日本において建てられた和風建築と洋風建築の要素を意図的に折衷した建物で、

「擬洋風建築」とは、木造日本建築に西洋建築の特徴的意匠や、時には中国風の要素を混合した建物とあります。

今回は「和洋折衷建築」の一つである旧山本清邸を訪れました。

旧山本清邸 は、1938年(昭和13年)、鉄山や化学工業の経営者だった近藤寿一朗の邸宅として建てられました。

設計は武田五一の弟子・岡田孝男とありました。

400坪の敷地に中庭を囲んで部屋が繋がり、正面側が洋風、裏側は和風を主とした意匠となっています。

切石を積んだ門柱には重厚な木の扉が取り付けられ、日本庭園には茶室が置かれています。

玄関にはスパニッシュ風のタイルが貼られ、洋風の部屋には美しいステンドガラス、階段にも手の込んだ細工が施されています。

また守衛室と思われる建築物の扉にはクリスタルのドアノブが取り付けられ、玄関横には彩鮮やかな花桃が咲き誇っていました。

特筆すべきは、洗面所にある竣工当時からのレトロな湯沸かし器です。
こちら、なんと銅製の湯沸かし器だったのです!!
(※銅製の湯沸かし器にまつわるお話は一つ前の記事をご覧ください)

ちなみに、ガス瞬間湯沸かし器は、1930年(昭和5年)に陽栄製作所 (現ハーマン)が開発したR 121 型が最初のようで、当時の大卒初任給が60円だった中、35円もしたそうです。

いずれにしましても、レトロな建築物のみならず、レトロな生活用品が残されていることにより、モノの本質や歴史を知ることができるのは有難く、この先もこうしたモノが大切に保存されることを祈るばかりです。

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