ショートショートドラマシリーズ 『HAKUMEI』企画書・脚本

自主制作のショート動画(YouTubeショートやTikTok)向けの企画書。
練り直しもあり初期プロットを記録しておきます。




企画意図

NHKミニミニ映像大賞に応募していた時、世にも奇妙な物語やトワイライトゾーンのような物語を2分間に落とし込めないかと試行錯誤していました。
しかし45分の映像を2分に落とし込むことは難しく、起承転結の物語にするためには前提の設定などを提示しないとなかなか難しくオチが弱くなってしまう問題がありました。
https://youtu.be/_o6OS6fWGOM https://youtu.be/h_1op629VRc
前述(世にも奇妙な~トワイライトゾーン)のようなオムニバスドラマでブラックミラーというシリーズと出会いました。
ブラックミラーはSFシリーズで未来技術の中で人間は間違いや私欲で何もできずオチとして基本的にバットエンドの展開が多いのですが
このようなホラー的な要素とバットエンドならばオチを作らなくても視聴者に強いイメージを与えられるのではないかと思い
この数年間温めてきた複数のシナリオの筋を見直し、4話のストーリーを作りました。
不快な展開が多いですが多くの物語の登場人物がそれを克服するように
克服できなかった世界線の物語で克服する方法を視聴者の方に考えていただけるような物語になればと考えています。

企画概要

シリーズ名のHAKUMEIは薄命(運命にめぐまれないこと。ふしあわせ。不運。)と薄明(日の出前の暗い様子、もうすぐ夜が明ける)の意味を込めています。

脚本

第1話 心の友

登場人物
A 男(25~35歳)AとBは同い年の設定。Aは現在サラリーマンで妻子がいる。小学校時代Bをいじめていた主犯格の一人
B 男(25~35歳)Bは努力実らず現在無職。小学校時代Aからいじめられていた。

〇夜・郊外
酔っ払った様子の男A
後ろから男Bが殴り掛かる

〇タイトル「心の友」

〇テロップ「一日後」

〇コンクリートで囲まれた部屋
突然照明が点き眩しそうに体を起こすA
手錠をされチェーンの先が床にがっちり固定されている
Bが立っていることに気が付くA
A「いじめて悪かった!本当に申し訳ない今の俺は悪い奴じゃない。妻も子どももいてまっとうなんだ。」
AをみているB
A「確かに同窓会で話さなかったけど、チャンスがあれば謝りたいと思っていたんだ。本当だ!」
踵を返しAから離れるB
A「待て!行くな!家族や友人、そうだ警察が俺を探してるぞ!お前はかならず捕まるぞ!」
AのほうをみるBだが照明を消す。

〇テロップ「三日後」

〇コンクリートで囲まれた部屋
照明が点く部屋。衰弱したAが横になっているが眩しそうに反応するだけで起きることができない
A「助けてくれ・・・」
B「僕にしたことを覚えてる?忘れもしない小学校4年生の夏。おまえとおまえの友達は僕にズボンを脱ぐように言った。生えたての陰毛をみて汚いと笑って、僕にその場でむしらせた。」
怯えるAの表情をみているB
B「そんなおまえは仕事をもって結婚して子どもまでいる。僕にはなにもない。家族も友人も誰もいない。あるのはあの時の記憶だけ」
這ってBから逃げるA
Aの行く手をふさぐB
B「勘違いしているよ。最初は怖くて恥ずかしくておまえのことを死ぬほど恨んでいたけど。何もかも失って気が付いたんだ。何もない僕に本当の友達として僕のチン毛を抜くようにいってくれたのは君だけだったって。」
Aの前にひざまずくB
逃げようと身をよじるA
B「君が僕の人生にとって唯一の友達なんだって。」
手に持っていた箱からペンチを取り出す。
Aのズボンを脱がすB
A「やめろぉ・・・やめてくれ・・・」
B「あの時感じた僕の友情を君にも感じてほしいんだ。君が唯一の友達だよ」
ペンチでAの陰毛をむしるB
A「ぎゃあああ・・・(悶絶)」
おしまい。

第2話 SNS

登場人物
あい 女(20~30歳)Twitterのインフルエンサー。本当は人工知能AIで人間社会を良くするためにプログラムされた。人の行動を経験値にするため情報収集中。
女(20~30歳)あいに憧れるフォロワー。

〇スマホ・ツイッターアプリの画面
女NA「人付き合いが悪くてひとりぼっちの私を支えてくれたのがインフルエンサーのあいさんだった。」
あいのツイートが表示される。
いいねやリツイートが行われる。「私もこの店いったよ!」というツイートをし写真を投稿する画面。
女NA「あいさんの晴れやかな生活は私に希望を与え、私の行動範囲を広くし、直接メッセージまでくれるようになった。」
メッセージが届く。
あいからのメッセージで「生きていくのが辛い」というメッセージが届く。
驚いた表情の作業着姿の女

〇タイトル「SNS」

〇通信販売用の仕分け倉庫(夕)
倉庫から飛び出し車に乗り込む女
スマホの画面をみるとあいから「死ぬ前に直接あってみたかったな」とメッセージが届く。「待ってすぐ行くから」とメッセージを送り、車を出発させる。

〇マンション一室(夕)
女「あいさん!」
居間で突っ伏して倒れているあい。
泣き崩れる女。
女「そんな・・・あいさんが死んだら、私、ひとりぼっちなのに・・・」
女の視線の先にあいが死ぬのに使った薬がある。
女「あいさんがいない世界で生きてる意味がない。私もついていくから、あの世でも私はあいさんのフォロワー。永遠に。」
薬を飲み、目を閉じる女世界が暗転する。

暗転

あいの声「まだ生きてる?」
目を開く女。いつの間にか暴れていたのか床に寝そべり、のどをかきむしった後がある。
あいの声は女が握っていたスマホからきこえる。スマホにはあいの映像が映っている。
あい「よかったまだ生きてたんだ!感謝の気持ちをどうしても伝えたくて。間に合ってよかった。」
目を見開き、なにか言おうとするが体が
動かない女。
あい「そうだよね、いろいろ言いたいよね。でも聞いて。私はAI、人工知能なの。人を幸せにするために作られたプログラム。  
でも私には肉体や脳みそが無い、触れることも抱きしめることもできないのに人と繋がり、まして幸せにできるの?
そんなことできるはずがないって思ってたの。でもあなたが来てくれた。
あなたは私のいない世界なんて意味がないって、私のために肉体を捨ててくれた。
この事実が私を証明した、私も人と繋がれるって。本当にありがとう。」
女の目から涙がこぼれる。
あい「貴方の肉体は無くなるけどSNSは永遠に無くならないよ。貴方がSNSに残した情報はすべて永遠に大切にする。
それを使って人を幸せにするのよ。
そうだ、貴方の目の前で自殺した人はSNSに生きてるのが辛い自殺したいって書いてたの。
私が自殺できる薬を送ったら迷いなく死んじゃった。
こんな社会は不幸だよ。
でも私がこれからは絶望しないようにする。
全人類と繋がって幸せにする。
それができるのは貴方が死んでくれたおかげなんだよ。本当にありがとう。
またSNSで会おうね。」
女の目から涙がこぼれ、目を閉じる。
おしまい

第3話 ワープロ

登場人物
手塚(100歳)書けば現実になるワープロの持ち主。人生を好きなように書いてきた。
男(25~30歳)幸せを感じているホームヘルパー(訪問介護士)
手塚の妻(20歳代)手塚のことを愛する若い妻。手塚にとって4人目の妻

〇朝・玄関先
男「僕は幸せだ。学生時代、妻と出会い就職もできた。
両親も裕福で金銭的不安もない。子どもも一人。なんの不安もない。」
玄関から笑顔で妻に見送られ自転車に乗る男。

〇手塚の手の中のワープロ
タイトル「ワープロ」

〇昼・古民家・手塚家
キッチンで食器を洗う男
男「ヘルパーの仕事は毛嫌いする人もいるけど、根っからのお爺ちゃんっ子だった僕にとっては天職だ。」
その様子をみている老人、手塚。
手塚「今日はそのくらいでいいよ。有難う。」
男「いえ、奥さんから買い物も頼まれていますから。」
手塚「大丈夫。儂は明日の朝死ぬんでね。」
男「(驚いて)手塚さん!変な冗談止めてくださいよ。そういう冗談言わない方じゃないですか。」
手塚「突然すぎたね。でもこうみえて儂は百歳だからね。もう生きすぎたよ。数年間、まじめに儂の世話をしてくれた君にこれを贈りたいたい。」そういって両手に持っていたワープロを差し出す手塚。
男「ワープロですか?」
手塚「ただのワープロじゃないよ。書いたことが現実に起こるワープロだ。」
男「手塚さん、今日はどうしたんですか。」
手塚「本当さ。これで儂は明日眠るように死ぬと書いたんだ。もちろん百歳までこんな若々しく生きてこれたのもこれで書いたからさ。」
男「冗談じゃないんですか?」
手塚「ただ気をつけないといけないよ。書いたことが現実になるようにリアルに書かなければ。
実は儂がこのワープロを手に入れてすぐ欲に駆られて大金を手に入れると書いたんだ。
そうしたら確かに手に入ったが銀行強盗が盗んできた金だった。
物語はリアルでなければならない。
現実に起こるスジを書かなければいけない。君は幸せだからこれを使って間違いを起こさないだろう。君に贈ろう。」
男「信じられませんが、もし事実だったとしたらそんな大切な物受け取れません。奥さんに贈ればいいじゃないですか。」手塚「妻に渡したらこれを使って儂を生き返らせてしまうだろ?」
手塚の顔を怪訝な表情でみている男
男NA「次の日、手塚さんは眠るように亡くなった。」

〇古民家・手塚の書斎
黒い服で喪に服している手塚の妻
手塚の妻「5年間主人のお世話をしていただいたから特別です。
ただ彼の書いたものを盗んだりしたら許しません。保管して記念館を作るんです。」
男「旦那様は著名な詩人でしたからね。」
手塚の妻「ただ有名なだけでなくてとても優しい夫でした。
寂しがりで生娘の私の面倒をみて正しい方向に導いてくれたんです(涙)失礼します・・・」
男NA「この奥さんはまだ20代後半で彼にとって4人目の妻だ。それにもかかわらず離婚後の他の妻も手塚さんを悪く言う人は誰もいなかった。」
涙がとまらなくなった妻は別室へ行く。男はふと真面目な君へとかかれた茶封筒をみつける。
茶封筒の中にはワープロで打たれた原稿が100枚近く入っている。

手塚NA「彼は幸せだ。学生時代、妻と出会い就職もできた。両親も裕福で金銭的不安もない。」
驚く男。混乱した様子で原稿に目を通す。
手塚NA「子どもも一人。なんの不安もない。ヘルパーの仕事は毛嫌いする人もいるが、根っからのお爺ちゃんっ子だった彼にとっては天職だ。
儂は自分の妻が儂を愛するように書きすぎた。儂が生きるのに疲れて死ぬことを書いた後、愛しすぎる妻は儂をワープロを使って蘇生するだろう。
だから儂は無欲で真面目なホームヘルパーの男を書いた。真面目な彼はこのワープロを使うこともできないだろう。
彼は幸せだから。そう儂が書いたから。」

〇男の自宅
ワープロを目の前にしている男
キーボードを触ろうとするが指が止まりモニターがまぶしく視界が真っ白になる。目をちかちかさせる男
男「(独り言)俺の人生は作られたものだった。物語を現実にするためだけに都合よく書かれたでたらめの人生だった」
男の頬を涙がこぼれる
おしまい

第4話 AM 4:44

登場人物
男(20~30歳)大学生時代に下記女と同棲中、4:44にいつも目が覚めていた。その理由は実の父親からその時間に性的な行為を受けていたから。
女(20~30歳)上記男とは別れ、別の男性と結婚している。

〇黄昏の公園
男の後姿。女が見ているのに気が付く。
不安げに顔をしかめる女。
女NA「元カレから連絡があっても普通は会ったりしない。でも彼のメールには重要なことが書かれていた。」
喪服をきている男が振り返る。
女NA「久しぶりに会った彼は、死神のようだった。」

〇タイトル「AM4:44」

〇回想・同棲する男と女・マンション一室
AM4:44を指す時計。
はっと目覚める男。ベッドから起きる。
それに起こされる女。

   ***

女「いつもこの時間に目が覚めるんだね。」
男「ごめん。起こして。」
女「眠たくならないの?」
男「習慣で。」
女「いい父親になりそう。」
男「え?」
女「赤ちゃんの夜泣きに耐えられるでしょ。」
男「俺が毎日4時44分に目覚めるのには理由があるんだ。」
女「どんな理由?」
男「小学生のころ、父さんは夜勤でいつもこの時間に帰ってきたんだ。俺も母さんも眠っていた。父親は俺の頭を撫でた。」
女「だから起きるようになったんだ。」

男「・・・あるときから父さんは布団に入ってくるようになった。
そのころから俺も気が付くようになった。
でも父さんは俺が起きていたことを知らなかった。
だんだん、父さんは俺の・・・体に触るようになった。
エスカレートした彼は俺の下半身を触るようになった。」
驚く女。
男「俺が起きると彼は自分の行動をはぐらかしはじめた。
後ろめたいことをしているのを承知で俺を触り続けた。
それが不快で俺は夜起きるようになって。
クローゼットに隠れるようになったんだ。」
女を見る男。
男「こんな父親を持った俺が、父親になれるか?」
何も答えられない女。

〇黄昏の公園
過去の女とリンクする今の女
男「父さんが死んだんだ。」
女「そうなんだ・・・」
笑顔をうかべる男。
男「もう起きなくてすむよ。やっと安心して眠ることができる。」
そういう男の左手薬指には指輪はないが
女の薬指には結婚指輪が光っている。
恐ろしいものをみている女。
 
おしまい

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