見出し画像

女ひとり旅、超奮発してベネッセアートサイト直島に泊まってみた

ひとり旅が好きで、美術館が好きで、国内色んな美術館を巡る中でいつも頑張ってきたことは「旅費をいかに抑えるか」ということでした。
遠回りや無駄足のないよう綿密に旅程を組み、
新幹線は1ヶ月前の販売開始日に最安値で取り、
食事はスーパーやコンビニ、宿代はアンダー1万円を目指す。

そんな私が念願の「ベネッセアートサイト直島」という高級宿に泊まった話。

写真は全てRICOH GRⅢで撮影しました。


ベネッセアートサイト直島は、安藤忠雄氏の設計で建てられた宿泊と美術館の複合施設。

「自然・建築・アートの共生」をコンセプトに、美術館とホテルが一体となった施設として1992年に建てられたベネッセハウス。
「ミュージアム」「オーバル」「パーク」「ビーチ」の宿泊棟4棟と、一般の方もご利用いただけるレストランやカフェ、スパ・ショップを併設しています。建築はすべて安藤忠雄の設計によるもので、経年とともに瀬戸内海国立公園の環境と溶け込むように構成。
長いスロープや階段、通路による移動、切り取られた開口部から注ぎ込む外光など、施設内外の現代アートを身体全体で感じられる工夫がなされています。

ベネッセハウス公式サイトより引用

直島には様々な屋外・屋内アート作品が点在していますが、ベネッセハウス宿泊棟とその周囲には草間彌生の「南瓜」や地中美術館、李禹煥美術館があり、この辺りは「ベネッセエリア」と呼ばれたりします。

宿泊してよかったと思うこと

私の場合、「ベネッセハウスに泊まりたい!」というどストレートな思いでしたが、ここへの宿泊は直島旅行において実は恩恵だらけ。

宿泊者専用のシャトルバス

港から各アートスポットまでは島を巡回するバスやレンタサイクルなどが一般的のようですが、実は宿泊者は専用の無料シャトルバスを利用することができます。

この辺で待つ。赤かぼちゃは港に着いた途端あっさり出会える

バスはANDO MUSEUMやベネッセハウスミュージアム、地中美術館などのベネッセエリアの主要なスポットに停留所が設定されていて、好きな場所で降りたり乗ったりできます。
最高だったのは、キャリーケースをバスに残して身軽で動けること。チェックインまでに部屋まで運んでおいてくれる!

主要な美術館の入館料・再入館が無料

宿泊者特典として入館料無料、もしくは再入館無料になる美術館は以下の通り。(公式サイトより)

【入館料無料】
・ベネッセハウスミュージアム
・杉本博司ギャラリー 時の回廊
・ヴァレーギャラリー

【再入館無料】
・地中美術館
・李禹煥美術館
・家プロジェクト / ANDO MUSEUM

地中美術館は安藤忠雄氏らしい「光」を巧みに使った建物の作りが本当に素晴らしくて。朝の入館直後と、晴れ間が見えてきた帰り際のエントランスの印象は全然違ったので、西日が入るような時間帯の入場もきっと違う美しさがあるのだろうなと思います。

室内は写真NG これはエントランス

次の機会は、午前中と夕方など時間に違いをつけて行ってみたい。

Instagramでも一際目を引く「100生きて死ね」(ブルース・ナウマン)が展示してある、ベネッセハウスミュージアム。

100生きて死ね | ブルース・ナウマン

エントランスでタグを見せると「ご宿泊者様ですね、どうぞ^^」と通してもらえる。なんて良い気分…!(笑)

実はこの美術館には昼と夜で演出が変わる作品が。

三人のおしゃべりする人 | ジョナサン・ボロンスキー 

このお三方、昼間は静寂な美術館の中でお構いなくぺちゃくちゃおしゃべり。時には歌い出したりもするのですが、夜は口を閉じて静かにしていました。
無機質としてそれが本来の姿のはずなのに、昼間におしゃべりする姿を見ているからか静かに立っていることに違和感というか、逆に「怖い」みたいな感情が出てきて・・・なんとも不思議な感覚。

一般公開は21時までですが、宿泊者は23時まで入館できます。
誰もいない夜の美術館は雰囲気から最高だし、2階のテラスからは星がとても綺麗に見えました。(シャトルバスが終わった時間でも、車で送り迎えしてくれます)

美術館というと展示してある作品を見に行くものだけれど、地中美術館もベネッセハウスミュージアムも、光や時間も含めた「作品が収まっている空間まるごと」が作品で、それを感じてもらいたいがための再入場無料なのな〜なんて勝手に感じました。

夜に見たときのもの。暗闇に文字だけ光る様は圧巻だった

ラウンジが利用できる

ベネッセハウス内にあるラウンジは宿泊者、もしくは「杉本博司ギャラリー 時の回廊」入場者だけが利用可能。杉本作品がふんだんに散りばめられた空間はハイセンスすぎて、自分が今くつろげてるのか否かわからなかった(笑)

昼間はコーヒーマシンや紅茶のセットなどがおいてあって、セルフで無料で飲めます。週末の夜はバーになる。

時間を変えてもう一度。バーの準備をされていた

ラウンジから続く庭に置かれているのはガラスの茶室、「聞鳥庵(モンドリアン)」。かつてはヴェルサイユ宮殿にも置かれていたというから驚き。

なぜ”モンドリアン”なのか。実はピンと来ていていなかったのだけど、参加した宿泊者特典のパークアートツアーの解説員さんのお話で超合点がいきました。
ツアーは無料かつ予約不要で、時間になったら集合場所に集まるだけ。これに参加した後の「時の回廊」やラウンジの魅力はもう何倍にも増して、作品ひとつひとつを見る目が本当に変わったので宿泊予定の方には絶対おすすめ。

一流に触れるという経験

30歳を目前にした今年、「一流に触れる」を裏テーマに生きている私。その第一弾がベネッセアートサイトへの宿泊でした。
つまり、これまでに挙げた恩恵を受けるために泊まったというよりも「泊まる」という体験そのものが目的。

アンダー1万円の宿が常だった私が支払った今回の宿泊代は2万6千円。
4種類の宿泊棟の中でも一番手の届きやすい「パーク」でしたが、それでも私にとっては予約の手が震えてしまうような、これまでの自分の基準や境界線をぐっと引き上げる経験でした。

実際に泊まってみて、フロントやフロアスタッフの方々のホスピタリティや外国人観光客に対するスマートな対応に大感動。「自分をすごく大切にされて、すごくもてなされている感」を終始感じることができました。

自分がされて嬉しかったことは自分も誰かにしたい。ベネッセのスタッフの方から受けたホスピタリティは、自分の仕事においても活かしたいと思えて、とてもいい経験になりました。

(番外編)ベネッセハウス内の食事について

宿泊体験はここまでで書いた通り最高だったのですが、一点だけ苦労(?)したのが食事。

ベネッセハウス内にはフランス料理店と日本料理店の2つのレストランがありますが、それ以外で軽食を買えるような場所はありません。
一人でフルコースを食べるつもりはなかったので夕食は予約していなかったのですが、そこで気づいたのが「夜ご飯ないやん?」ということ。

夕食を予約していないことに気づいたフロントの方が気遣って下さり「お弁当の手配もございますよ」と教えてくれました。ただ、サンドイッチのお弁当で5,000円越えはちょっと厳しい。
その場で少し悩む私にフロントの方は「ホームページにも記載がありますので、お部屋でごゆっくりご覧くださいね」と。(返事を急かされなかったのはとてもありがたかった)

結局私はリュックに入れていたデーツ数粒を夜ごはんとし(笑)、空腹を紛らわすために夜のベネッセハウスミュージアムにいそいそと出かけたのでした。

この空腹のおかげもあり、朝のビュッフェは最高に美味しかったです。(結果オーライ)

一時期はコロナ対策で中止されていたビュッフェスタイル。私が行った2月には復活
注文ののち、出来立てを席まで持ってきてくれるオムレツ。チーズ入りをオーダー!


きっと宿泊者の多くは富裕層や外国人観光客など、「食に対してお金の糸目をつけない」人たち。
私は今回宿泊費について自分の境界を引き上げたけども、一人の食事でフルコースいただくことまでは欲していなかった。
それだけのことなので施設内の食事が高級志向であることに非難はしないし「コンビニや軽食置いて」というつもりもないけども、食事にかけるお金について私と似た感覚の人はごはん難民になってしまうのでご注意を。


1回の旅行としては間違いなく最高額となった今回の直島旅。だけどそろそろコスパばかり追うのやめようぜ私、と思えるいいきっかけになりました。
良いものには相応の対価を気持ちよく使える、そんな30代を目指したいものです。

また、頑張って仕事をして、いつか「オーバル」に泊まりたいな。


頂いたサポートは書籍購入費を中心に、発信に関わる使い方をさせていただきます!