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勝手にふるえてろと言われましても

原作の綿谷りささんの小説は、一度中学の時に読んだことあるのだけれど、内容は全く覚えていない。それにしても題名のインパクトよ。
多分原作ってもっと繊細で重い感じなんだけど、映画ではラブコメかってゆうぐらいポップに描かれて見やすさはあったかな。

イチという男性に中学のときから10年の片想いをする主人公ヨシコ。

なんかリアルだったなぁ。
大して仲良くないんだけど、誰よりも見てるからすごくその人のことを知っている気になる感じとか。教室であんまりじろじろ見ちゃいけないから、視野の隅でみる「しやみ」を駆使する感じ。
恋した人間なら誰もが、会得するスキルなのかも。
寡黙な感じも、ミステリアスで魅力的に見えたりしてね。
理解する側の人間と理解される側の人間。オタク文化のようなイチとヨシコの関係。理解してるつもりでもそれは表面でしかなくって、自分の中で作り上げてる部分も多々あったりしてね。

私も全然喋ったことない人に片想いしてた高校生の時を思い出して、感情移入しやすかった。
卒業後も、2年ぐらい想ってて成人式で一目見るのを楽しみにし、声をかけようとするもできなかったなぁ。
ネトストして、なんか怪しいビジネスみたいなんな手を出してるのが分かった時は複雑な気持ちになった。笑

ヨシコは一念発起してセッティングした同窓会で、イチと繋がれる。でも、イチはヨシコの名前する知らなかったことを知り絶望を感じる。

そりゃそうなんだよなぁ。
こっちが知ってる気になっても卒業して何年も会ってない訳なんだし、卒業するまでも会話したのは数回。仕方ないんだけど、なんかショックよなぁ。だって、こっちは何回も脳内でその人召喚して、忘れた時ないくらいだったんだから、相手も覚えてくれてると思うよねぇ。傲慢で視野狭窄か。

そんな中、ヨシコに告白する同僚の男性が現れる。イチに対して、勝手に「ニ」というあだ名をつけるヨシコ。
ニはイチとは似ても似つかないような性格なんだけど、二転三転あり結ばれちゃうんですよねぇ。

最後の最後にヨシコは、雨でずぶ濡れになったニに「勝手に震えてろ」って言ってキスして喧嘩の仲直りみたいになるんだけど、なんでこれが題名なんだ?
ヨシコはイチとニを時折比較する。結婚するならニだけど、好きなのはイチだもんと。勝手に震えてろって言葉も絶対、イチには言わないんだろうなぁ。むしろ言われる側か。そーなるとしんどいだろうし、言う側ぐらいがいいよねってか。
まぁ、ヨシコも素直じゃないところあるし、拗らせてるし、ヨシコなりの愛情表現の言葉か?それにしたって、勝手に震えてろって冷たいなぁ。笑

ヨシコはすごく仕事をバリバリこなして、カッコいい感じのキャラ。でも、中学の時は暗くて少し浮いた存在。そんな変遷がありーの、今の強気な素をニの前でなら出せるよねって感じか。
たしかに、イチの前では、中学の時に戻ったように上手く喋れず視線も泳いでた。

題名の謎は分からなかったけど、多面性のあるヨシコの魅力に私は震えましたとさ。



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