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世界陶磁器めぐり~ヨーロッパ編③「ウェッジウッド」~

「世界陶磁器めぐり」の第3回です。

前回の「ロイヤル・コペンハーゲン」のデンマークから海を渡り、イギリスに向かいます。今回は「クイーンズウェア(=女王の陶器)」として名高い「ウェッジウッド」


❖ウェッジウッドとは?

ウェッジウッドとは、1759年にジョサイア・ウェッジウッドによって設立された260年ほどの歴史をもつ陶磁器メーカー。ロイヤルドルトン社と並ぶ世界最大級の陶磁器メーカーであり、主に高級食器を製造販売していますが、近年ではアクセサリーやタオル、テーブルクロスなども扱っています。


❖ウェッジウッドの歴史

創業者のジョサイアはイングランド中部のスタフォードシャー州に、陶工の息子として生まれ、若いうちからその製陶技術や知識を評価されていました。29歳のときに叔父から工場を引き継ぎ、独立。

徐々に評価を上げたジョサイアは、エナメルを用いたクリーム色の陶器「クリームウェア」を製造したことをきっかけに、イギリス王室にも認められる存在となり、1765年には「クイーンズウェア (=女王の陶器) 」という名称を許可されました。その後、幾度かの工場移転を繰り返しますが、そんななか在庫が増えすぎて資金繰りが圧迫。経営が危機的状況に陥ったのをきっかけに当時としては先鋭的な「原価計算」を採り入れて乗り越えたとされています。

そのころには「ブラック・バサルト」や「ジャスパーウェア」などのウェッジウッドの代表作が生まれます。

ジョサイア・ウェッジウッドの死後も、5代目まで世襲で経営されたウェッジウッド。1895年には「ジョサイア・ウェッジウッド・アンド・サンズ」として法人化されます。その後も同業他社の買収を繰り返して規模を大きくしていったウェッジウッドですが、1985年には敵対的買収を仕掛けられたことをきっかけに、ウォーターフォード・クリスタル社と合併。しかし、2009年には事実上経営破綻。現在では、ロイヤルコペンハーゲンも傘下に収めたフィンランドのフィスカースに買収されて、WWRDグループの一員となっています。


❖ウェッジウッドの人気シリーズ

「クリームウェア」
まだ白い陶器をつくるのが難しかった時代に、エナメル加工されたクリーム色の陶器を発表。イギリス王室にも愛用された、ウェッジウッドの飛躍のきっかけとなったシリーズです。

「ブラック・バサルト」
黒に強いこだわりを持ち「黒は純粋であり永遠である」と語っていた創業者ジョサイア・ウェッジウッドの肝入りで考案された、美しい光沢を放つ黒色の陶器です。

「ジャスパーウェア」
現在でもウェッジウッドといえばこれ、と言えるようなシリーズはこの「ジャスパー」。ヘッダー画像も「ジャスパー」です。パステル調の色味が特長ですが、なかでもブルーは「ウェッジウッド・ブルー」と呼ばれ、ブランドの象徴的なカラーとされています。ブラック・バサルトの蝋画法を踏襲して、カメオ装飾されたデザインが特徴的。この技法を用いて制作されたポートランドの壺が特に著名です。


ウェッジウッドの日本公式オンラインショップはこちら。


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