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球根で育てる春の花!ヒヤシンスのペットへの影響は?


ヒヤシンスにはチューリポシド やシュウ酸カルシウムが含まれる

概要:球根で育てる花といえばヒヤシンス。小学生の時育てた人も多いのでは。ヒヤシンスには接触性皮膚炎のアレルゲン になるチューリポシドAおよびB,物理的刺激のもとになるシュウ酸カルシウムが含まれています。ペットが誤食しないようガーデニングやお散歩中はご注意ください。

■原因物質
シュウ酸カルシウム,tuliposide AおよびtuliposideB。tuliposideは花,葉,球根すべての部分に含まれます。tuliposideもシュウ酸カルシウムも球根に特に高濃度に含まれます。
tuliposide Aは皮膚炎のアレルゲン となることが知られています。また,シュウ酸カルシウムによる物理的な刺激で皮膚を傷つけます。
また,現在知られていない物質も中毒に関与しているのでは?と言われています。

■症状
嘔吐,流涎,抑うつ,下痢がみられます。大量に摂取した場合は頻脈,呼吸困難(dyspnea),皮膚のかぶれ(skin irritation)がみられる場合があります。

■中毒量
不明です。特に球根の摂取に注意が必要です。

■なりやすい犬種
特にありませんが好奇心旺盛な性格の子や子犬では気をつけましょう

■治療
特効薬は存在しないため対症療法や支持療法が中心となります。皮膚に接触した場合は洗い流して取り除きます。
嘔吐があれば制吐剤を使うほか他の疾患を除外するための腹部X線などの可能性があります

■注意すべきこと
ヒヤシンスに含まれるtuliposideによる皮膚炎は人間では花屋さんやチューリップ栽培者でみられる職業性皮膚炎の原因になることが知られています。飼い主の方もガーデニングする際はペットが接触しないよう注意しつつ,球根は手袋して扱うなどしたほうがよいかもしれません。

■参考
・BERTERO, Alessia, et al. Plants and zootoxins: Toxico-epidemiological investigation in domestic animals. Toxicon, 2021, 196: 25-31.
・LEE, Justine A.; OXALATES, Insoluble Calcium. POISONOUS PLANT DANGERS TO DOGS AND CATS TOXICOLOGY.
・LIESKE, C. Spring-blooming bulbs: A year-round problem. VETERINARY MEDICINE-BONNER SPRINGS THEN EDWARDSVILLE-, 2002, 97.8: 580-588.
・麻生五月; 須貝哲郎; 長野拓三. 職業性植物皮膚炎の 5 例. 皮膚, 1985, 27.3: 522-527.
・Knight A. Guide to Poisonous House and Garden Plants https://www.ivis.org/library/guide-to-poisonous-house-and-garden-plants/hyacinthus-orientalis-hyacinth 2023/02/12参照
・チューリポシドBの抗菌活性について https://dbarchive.biosciencedbc.jp/yokou/pdf/2008/200802660260296.pdf 2023/02/12参照


犬や猫、ウサギの獣医師です。色々と勉強中の身ですが、少しでも私の経験や知識を飼い主さんや動物に還元していきたいと思います。