【コーヒー農園】タイ・チェンマイのコーヒーツアーが最高だった
タイ北部・チェンマイ。曲がりくねった急斜面を進むと、どこまでも続くコーヒー畑があられます。数10mもの樹々がシェードをつくり、鳥や川の音が響く。「農園から1杯のカップまで」を全身で体験することができました。
今回のツアー運営は、チェンマイ市街地にある Zeit Roaster - Brewing Lab Cafe & Coffee shop。
代表は韓国出身で、JICAと同様のKOICA(韓国国際協力団)で20年以上ネパールのコーヒー生産支援を行ってきた方。世界各国の質の高い生豆を取り扱い、店舗ではフィルターコーヒーも楽しめます。(濃い味が好まれるタイではエスプレッソが主流らしい)
嬉しいのは、ここのバリスタやロースターがガイドとしてツアーに同行してくれること。
今回のガイドはバリスタ兼ロースター。なんと実家がコーヒー農園を営んでいて、品質について学ぶためにバリスタになったといいます。
農園ツアーのコンテンツ
約6時間のスケジュールで「農園から1杯のカップまで」をたっぷり満喫。
訪れたのはチェンマイ市街から車で40分の「テープサデット」。
コーヒーショップの代表がつながりをもつ、高品質な地元の農園のひとつ。
標高約1200mと高地で、周囲には温泉、滝、ジップラインが観光資源になっています。タイ北部の山岳地帯業を貧困から救う王室主体の事業:ロイヤルプロジェクトの舞台であることもご存知でしょうか。
Welcomeテイスティング
農家のおやつ バナナ、カカオとスターフルーツをご馳走になりました。
完熟のバナナはねっとり感が少なく、強い甘さにはキレ。日本でよく食べるフィリピン産より甘いのに軽くめちゃくちゃ美味しい。
カカオは手に取ると焙煎直後であったかい。砂糖をかけて一緒にかじる。
甘いカカオのロースト香と苦みがひろがる。ガリガリ、ゴリゴリと触感もたのしい。
農園散策と収穫
訪れたのは7月。コーヒーの木は青々と茂り、結実した緑色のチェリーの赤ちゃんがわんさかと枝についていました。日本より湿度は高いが、標高が1200mと高いため暑さは少し柔らかい気がします。
収穫の冬まで半年早いため、チェリーはほとんど緑色でカチカチ。赤くなり始めた実をかじると、ほんのり甘いが青っぽい。これが完熟すると、スイカやべっこう飴くらい甘くなるんです。
品種はアラビカ種のイエローブルボンとカトゥーラ。収穫期は家族総出でもちろんハンドピックで摘み取ります。コーヒーの木は約300本、生豆換算で600kg/年を生産しているとのこと。
コーヒーの木は、収量を高めたり寿命を延ばすために約5年でカットバックしているそうです。
野菜、フルーツ、カカオ、きのこ、米に紅茶にコーヒー。複数の農作物をミックスしている理想の状態。これならコーヒーの価格変動や不作の年でも十分に自給できます。ミドルマンと呼ばれる仲介業者(生豆の買取や収集を担当する)での買取価格は年々上がっていますが、この近隣ではコーヒーよりもお茶の葉の方が高く売れるとのこと。
希少な「コーヒーフラワー ティー」
日本では滅多にお目にかかれないコーヒーの花のお茶。白く可憐な花を大量に集め、乾燥させて軽く焙煎。ジャスミンのような甘い香りは凝縮されレーズンみたいな印象に変化します。花の蜜を思わせる風味と、軽く火を通すことでショウガのようなスパイス感が。日本でみつけたらぜひ試してみて下さい。国内流通のものは特に少ないので、きっと値段にも驚かされます。
精製を学ぶ
ウォッシュト、ハニー(パルプドナチュラル)、ナチュラルの3種を同じ品種で比べます。この周辺のコーヒー農園ではウォッシュトが主流。未成熟チェリーは硬いので果肉除去の段階でサイズ選別できて品質が安定しやすくなります。山手はスコールも多いので、ナチュラルはカビカビになって難しいとのこと。ハニーは乾燥に手間がかかるので生産量は少ないですが、コクが出やすくミディアムロースト向き。
農作物がミックスして栽培されているから、多様な微生物が育ち、それを餌にする虫や鳥が増えてエコシステムが上手くまわってくれるんです。これらはコーヒーの栄養にあたる窒素などの養分量や、根っこの張り方などに影響をもたらします。
つまり、地球の縮図みたいなこの農園の自然の恵みは、最終的に、カップの中で美しい酸味やなめらかな口あたりに変化していくんですね。
カッピング&嗅覚エクササイズ
このコーヒーは果たしてどんな風味がするのか、カッピング。
酸味は控えめで重量感は強い。甘みの印象が強く、温かい時はブラウンシュガーのような、少し冷めるとデーツのようなおちついた甘みに変化しました。
他国のコーヒーもブラインドで比較しましたが、タイのコーヒーの可能性について、ガイドがワクワクしながら語ってくれたのも特別な時間でした。
嗅覚のエクササイズでは、Le Nez du Café(ルネデュカフェ)という香りのキットを使って「これは何の香りでしょう?」のクイズ。はちみつやクルミなど、参加同士で香りと記憶を繋げていく珍しいトレーニングです。(Q Graderの旧センサリー試験と同じ)
興味深かったのは、農園には「自生するスパイス」でも学習できたこと。トレーニングキットの香りと、その場で収穫したスパイスとを比べて学びました。生産地の醍醐味。
焙煎体験
精製を学んだら、いよいよ自分の好みの味づくりに挑戦。バランスのとれたミディアムローストを目指し、生豆を投入。色や香りの変化や、パチパチ・ピチピチといったハゼの音を楽しみます。焼きあがったら冷風をあて、袋につめておみやげにしてくれます。
抽出とテイスティング
煎りたてのコーヒーをその場で抽出。産地でとれた作物をその場で味わえる、贅沢な体験です。焙煎したてだから炭酸ガスが豊富でブワっと膨らむ。誰かが淹れている時は、全員黙って真剣に見つめます。
カニを食べている時くらい静か。
おみやげ作り
ドライチェリーをブレスレットに加工、パーチメントコーヒーを瓶詰めするワークショップ。日本に持ち帰る際は検疫が必要なので注意。
自分の苗を植える
コーヒーの苗を1本、農園の区画に植えられます。30cm程度の穴をほって、優しく土に入れる。成長する3年ほどたったら再来して、ぜひ自分のコーヒーの木から収穫した生豆でコーヒーを淹れてみたいですね。
郷土料理ランチ
昼食には農家の方が手作りしてくれるローカルフード。
この日のメニューはスパイシーカレー麺「カオソーイ」。ピクルスの酸味がめちゃくちゃ合いました。辛さで汗がふき出ます。
ツアーに含まれていたもの
ガイド 全スケジュールに同行してくれる
送迎 空港やホテルなど 帰りも希望の場所まで載せてくれる
昼食 ローカルフードを農園で食べられる
お土産 自分で焙煎したコーヒー豆など
※生豆を日本への持ち込む場合は、空港で検疫が必要保険 旅行中の事故やケガに対応
おわりに
好奇心が満たされる、自然豊かなツアーでした。
収穫期(10~12月)は更に、完熟したチェリーの精製の体験もできます。
タイ山岳部ではほかにも農園ツアーを実施しているところも少しあるようですが、忙しい農作業の時間に普段の仕事も見せてくれるのはとても有難いことでした。(お腹もいっぱいに)
チェンマイにお越しの際はぜひ参加してみては?
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