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社会学の方法を批判するv1.0.0

本稿では、解釈主義(後述)の方法を採用する社会学に対し、科学的方法への準拠の観点から批判を加え、解釈主義をとる社会学は科学ではないことを主張します。

科学とは何か

私は、「科学とは、科学的方法に従い研究を行う学問である」と考えます。科学の定義に関する見解は統一されているとは言えないものの、科学的方法が科学の重要な特徴であること・科学的方法に従わない学問を科学と呼ぶのは不適切であること、この二点に関してはほとんどの科学者が同意するものと思われます。物理学・化学・標準医学・実験心理学などは、それぞれ研究対象は異なるものの科学的方法に従って研究を行うプロセスが確立されているため、科学であると判断して良いでしょう。
科学を科学的方法によって定義したため、次は科学的方法についての私の考えを述べます。

科学的方法とは何か

科学的方法を述べるために必要な語彙を次のように定義します。
仮説:現象を説明するために導入された命題。
観測事実:現象についての、信頼できる観測手段によって得られた客観的な観測値、もしくはそれを述べた命題。

仮説は以下の条件をすべて満たすことが求められます。
・仮説は、すでにある観測事実を整合的に説明している。
・仮説は、すでにある確からしい仮説と論理的・数学的・統計的に矛盾しない。
・仮説は、まだ観測されていない現象について、その観測値の明確な予測を与えている。

新しい実験や観察が行われ、新しい観測事実を入手できたとします。このとき、新しい観測事実を予測した仮説は確からしさが高まり、反対に間違った予測をした仮説は確からしさが下がります。
このように検証に耐えた仮説のうち、より少ない仮定や説明変数で記述されている仮説はより確からしいものとされます。

科学的方法とは、上記の基準に従って仮説の確からしさを高めていくプロセスだと、私は考えています。

社会学はどんな方法に従っているか

参考文献1(基礎社会学)によれば、「社会学者が論理的とみなす説明の形式」について実証主義と解釈主義が挙げられています。
解釈主義は、理解社会学、現象学的社会学、象徴的相互作用論、エスノメソドロジーなどを便宜的に総称した用語として導入されています。以降では、主に解釈主義の方法を採用する社会学について論じていきます。

解釈主義の特徴は以下の通りです。
・「事実」を「日常生活者が現実を特定の枠組みで解釈したもの」として捉える
・社会を記述するとき、「誰から見ても共通な単一の世界像を示す」という意味での客観性を目指すことはしない
・「社会の記述や説明の中で他の人が検討できる形で素材や思考のプロセスを明らかにする」という意味で「反証に開かれている」ことを重視する

私の見解を述べます。
・解釈主義をとる社会学においては、「観測事実」の概念が重視されていないように見えます。私は、「日常生活者が得た現実の解釈」を再現性を持って観測することは可能だと考えます。
・解釈主義における「事実」の記述に、社会学者の主観や仮説が入り込むことを拒否していないように思えます。
・解釈主義をとる社会学では「仮説」と「観測事実」を明確に区別することが重視されていないように思えます。私は、社会学においても仮説と観測事実を明確に区別した記述は可能であると考えます。

まとめ

解釈主義をとる社会学は、仮説と観測事実を明確に区別した記述を行わない限り、科学的方法のプロセスに従うことはできません。
よって、私は解釈主義をとる社会学は科学ではないことを主張します。

間違いの指摘、反論、批判などを受け付けています。コメント欄もしくは私のtwitterにお送りください。お待ちしております。

参考文献

1.基礎社会学

2.社会学のエッセンス 新版


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