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花束みたいな恋をした

菅田将暉、有村架純ときて、脚本が坂元裕二で監督は土井裕泰…。
それだけで観る価値があるってもんで、内容なんてどうでもいい…と、きっと多くの方に同意を得られるはずであろう気持ちを抑えきれないまま鑑賞した。

灰色でしょうもないムダな青春時代を過ごしてきた自分にとっては、物語に何ひとつ共感できるものはなく、ただ指をくわえてスクリーンを凝視する羨望の眼差しだけが自分と作品を繋ぐマテリアル。

鼻高将暉

ありふれた世間一般の学生時代を経験できなかった自分には、120分の虚構が永遠の現実として迫ってくる。
しかしそのためにそれだけのために鑑賞する価値がある作品といっても過言ではない。

特撮映画以来のガスタンク

一目惚れした人と趣味嗜好が一致した時の興奮は、鍵をかけて心の奥にしまい込んでいる闇をぶちまけたい衝動に火をつける。

やがてお互いの自覚していなかった孤独感が呼び覚まされ、補完しあう関係へと止揚されていく。
そしてふたりの変容した姿は、互いの方向性に差異を生成させていく。

緊張と緩和

関係を成長させる試金石となる差異は、二人に追憶か反復かのあれかこれかとなって迫ってくる。

しかし人は皆、生きる速度と死ぬタイミングが異なっているので、反復することでしか生きられないのだ。

同じ靴、別の向き

★★★★☆


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