ラーゲリより南極物語を込めて
とにもかくにもミセスのSoranjiが良かった映画。
実話をもとに創作されたシベリア抑留物語映画。
不本意極まりない現実を生きていく秘訣は、繰り返される理不尽な非日常を日常化して過ごす基本スタンスと、理不尽な現状の先に用意されてある未来を生きる為の明確な目的をイメージ出来るか否かだという事を主人公のニノと不愉快な仲間から学ぶことができる映画。
自然がもたらす厳しさと人間の卑劣さがもたらす環境を伝わらせないコンプライアンスとは、イケメンたちの笑顔(特に中島健人)であることを教えてくれる映画。
グッとくる実話エピソードと、あり得ない演出エピソードがはっきりくっきりと分かる映画。
鑑賞時にすこぶる機嫌が良かった私は、すべての案件を寛大な心で受け入れることができた映画。
ただ涙がサーっと引いて一気にサハラ砂漠に誘われたセリフがあった映画。
とってつけたようなシラけワードで、ずっと頭にこびりついて離れない邪魔ワード「戦争ってひどいもんですねえ」という水野晴郎オマージュをぶち込んできた映画。
浮草が多すぎてメダカが見えない風情皆無の水槽の如く、浮いて浮いて浮きすぎまくって自分の歯まで浮くほどの共感性羞恥を体験できた映画。
この「茶碗を持つ方の手」の思想を言語化させたシーンによって、ただでさえホワイト&ホワイト健人と、戦中戦後にはあり得ない北川美女史のせいで伝わりにくくなっていた戦争の悲惨さを、東京大空襲の後の焼け野原の如く無慈悲に消し去ってしまった映画。
せっかくニノが平井堅に見紛うほどの終末期演技をしてくれていたのに、安っぽい反戦セリフで台無しになった映画。
きっと鑑賞者全員が、ニノと同じような平井堅の顔になって叫んだに違いない映画。
「絶望!!」と。
そしてヴァンゲリスの曲が聞こえてきそうなクロの南極物語はやめてほしかった映画。
補足)これが実話だと知って驚愕。
さすがに南極物語をやめるわけにはいかなかったか。
引き揚げ船が宗谷に見えて、松坂桃李が高倉健になっていた映画。
補足)渡瀬恒彦はどこにいるか探すことにした。
ただ最後の遺言シーンと、それに続くミセスの曲で涙腺崩壊したのは事実であり、シロい歯もクロい南極物語もどうでも良くなった映画。
結論ミセスのSoranjiシーンが最高の映画。
★★★☆☆
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