去年の冬、きみと別れ
中村文則との出会いは、某芸人たちが「教団X」を褒め称える某番組を観た時からだ。
先ず最初に読破したのが「掏摸」、次に「銃」、そして「教団X」と読み進めていった。
この作品は未読だった。
普段、私は他人のレビューに左右される読み方や観方、聴き方はしたくないと偉そうなことを宣っているが、それは裏を返すと他者に容易く影響を受けてしまうほど脆弱な自我しか持ち合わせていないということなのだ。
岩ちゃんには興味なかったが、文ちゃん原作となればそこはマイブーム中。観ないわけにはいかないでしょうということで拝見する運びとなった。
先に原作を押さえた方が良いか、それとも楽しみは後に取っておくショートケーキの上に乗った苺方式が良いか。
気がつくと密林に足を踏み入れ、原作レビューの☆1つに狙いを定めていた。
星1レビュアーたちが吐露する悪口雑言に、自らの拝見意思決定権を委ねてしまったのだ。
さてストーリーは、決して悪くない。
それどころか、引き込まれていく。
原作読まずとも、文則臭さが伝わる仕上がりとなっている。
しかし登場人物に感情移入できない。
内容のせいかそれとも演者らのせいか。
用意されていたカラクリもそよ風の如く流れていき、「22年目の告白」の足元にも及ばない衝撃波で終わった。
鑑賞後のカタルシスを得られぬまま、悪い意味でモヤモヤしていた。
岩ちゃんの狂気が、全く伝わらなかった。
本来、この手のストーリーは嫌いじゃないのだが・・・。
ひとつはっきりしたことがあった。
観る前に原作は読まない。
既に読んでしまった「銃」が、同じような悪い意味でのモヤモヤ感を残す作品にならぬよう祈るばかりだ。
北村一輝が色っぽくてかっこよかったので★二つ。
★★☆☆☆
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